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第23話 まともな理由で決断してくれ



「そして勇者の覚醒は初代勇者のみが成功していますの。ついでにその方法も調べる事が出来ると思いますの。さらについでに魔王の封印の方法も初代勇者は知っていたのですの。そこを調べる事が出来ると思いますの。一石二鳥ではなく一石三鳥ですの。でも、リスクも大きいですの」


 一気に不安になる元気な回答をありがとう、エレファ。

 途中までは凄く良い案だと思ったのに。リスクがデカいって何なんだよ。


 明らかに落ち込んだ様子で肩を落とすエレファ。

 天才軍師のエレファがそう言うと不安しか残らないぞっと。でも、確かに1番効率が良さそうなんだよな。闇雲に色んな所を調べてもしょうがないと思うし。


「リスクは置いておいて、他に何か良い案があるわけじゃないし。やるしかないんじゃないか?」


「まあそうですね。本当にリスクが大きいですけどね」


 シープさんが真顔でそう言うと怖いんですけど。

 パンチャまで神妙な面持ちになっちゃっているし。まあラビィーとベアルの表情はいつでも変わらないですけどね。


「何がそんなにヤバいんだ?」


 俺がそう聞くとパンチャが大きなため息を付きながら説明をし始めた。


「いい。馬鹿にも分かるようにあたいが説明してあげるわ。伝説って言うか、おとぎ話みたいな話だけど、勇者余生の地はアミレプとスブデンの国境付近にあるらしいの。どの道を通っても、どちらの国にも立ち入る事になる。魔物の国スブデンはもちろん、アミレプさえあたい達を襲ってきてもおかしくない」


「なるほど。って、すげ~危険じゃない?」


「しかも立ち入るのが時期国王のラビたん。そして現四武太守のあたい達なのよ。国境付近だからどちらも警備は厳重だし、兵の数も多い。今、ラビたんやあたい達が死んだら次の生まれ変わりは0歳からなのよ。リーグエスは確実に滅亡するわ。事の重大さが分かったかしら。変態教育係。あっ、この説明でも分からないぐらい馬鹿だったかしら? ごめんなさい。もっともっとわかりやすく言わないと駄目だったみたいね。やっぱりあんた馬鹿~」


「見た目は幼女だけどさ、これって引っ叩いていいレベルだよね」


 しかし、とんでもない所にあるもんだ。勇者余生の地が国外にあるってどうよ。

 まあ800年以上過ぎれば国境どころか地形も変わってもおかしくないレベルだし、仕方がないか。本当にある場所は最悪だけど。


 国境付近だとどちらに襲われてもおかしくないって。

 魔物にならまだしも、同じ人間に襲われるって、この世界はデンジャーだね。うん、日本に生まれて良かった~! モノマネじゃないからね。


「魔王征伐を後にしてアミレプに援軍を頼んでスブデンから攻略する? アミレプにこっちの弱みを見せると、あとで相当面倒な事になりそうだけど。まあ、僕はパンチャの行く所に行くけどね」


「あとはかなりの下策だけど、王都フィーファに強襲をかけるとか。あたい的にはそれでもいいけどね」


「ラビィー様。どうしますか? あなたはもう国王になる身。私達、四武太守に命令する立場になるのです。ご決断を」


 シープがそう言ってラビィーに向って片膝を付いた。

 それに習ってパンチャ、ベアル、エレファも片膝を付き、頭を下げた。


 おぉ~、王族っぽい。やれば出来るじゃん。

 そうだよ。俺の想像していたファンタジーってこういう感じだよ。天然ボケに下ネタ、ツンデレ、変態とかいらないんだよね。


「ラビィー様。ご命令を」


 ここは決める所だよ、ラビィー。

 時期国王として威厳を出して、そしてカッコ良く、カッコ良~く決めちゃってくれ。大事な事なので2回言いました。


「わかった」


 ラビィーの真剣な表情……なんだよな? いつもと変わらないから分からねぇ。

 でも、目はなんとなく燃えているような気がする。さあ来い、ラビィー。どの選択をしても、俺達はお前の決めた事に全力でサポートするだけだ!


「……で、何を命令すればいいの?」


 一斉にズッコける四武太守&俺。

 どっかの新喜劇みたいに打合せしたみたいな流れだね。


 この場面でそれはないだろう。緊迫した場面が台無しだろ。

 天然とかいらないから。そして困った顔で俺を見るな! はぁ~。


「ラビィー。選択は3つだ。勇者余生の地に行く。とりあえずフィーファを奪還しに行く。アミレプに助力を頼む。大きい、小さい違いはあるけど、リスクはほぼ同じ。どれでもいいぞ。俺もシープさん達もお前の決断に従うだけだ」


 もう1度真剣な表情? をするラビィー。お願いだから今度こそ決めてくれよ。

 一応、カテゴリー的にお前は俺の物語のメインヒロインなんだから。

 

 このままだと下ネタお姉さんに食われるぞ。ツンデレロリ体型もキャラが立っているし。

 ただでさえ台詞量が少なくて影が薄いんだから、こういう場面ぐらいしっかり決めてくれよ。


「……じゃあ、勇者余生の地へ行く。遠足みたいで楽しそうだから」


「そんな理由で決めたのかよ! そして絶対にそんなに楽しい物じゃない!」


「あたいはラビたんと一緒ならどこでも楽しいわよ♪ だってラビたんの事、大好きだもん」


「パンチャお姉ちゃん、今はそんなカミングアウトはいらないですの」


「僕もパンチャが一緒ならどこでも楽しいよ♪ いつでも蔑んでくれるし。超興奮する!」


「変態を暴露する超ストレート告白で落ちる女の子はいないと思うぞ。そして黙っていろ、変態」


「では、早速出発の準備をいたしますわ」


「シープお姉ちゃん。ラビィー様が決めた選択方法を、いえ、何でも受け入れる事を止めてほしいですの!」


 ツッコミの頻度が半分になっている。

 エレファ、グッジョブ! まあ、これだけツッコミを入れられてもこの3人は反省ゼロだけどね。多分、これからも何も変わらないだろうね。

 ん? 会議室のドアを誰かがノックしてるよ。


      

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