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第19話 ようやくまともな奴が来た



 城に入った俺たちは、執事やらメイドさんに案内され会議室に案内された。

 おぉぅ、シープがテキパキと指示を出してる。

 

 守備隊長や衛兵たちの様子を見るからに、シープ姉さんは本当にここの太守様だったんですね。

 ただの下ネタお姉さんと思っていた事を心よりお詫びいたします。


「さてと、エレファを呼んできますのでちょっと待っていてくださいね」


 部屋から出ていくシープ姉さん。

 そう言えばエレファって15歳前後って事以外、情報が全然ないな。


 シープと同じようにエレファが下ネタをマシンガンのように言って来たら、ツッコミが追い付かない事は間違いない。

 やべっ、不安になって来た。お願いだから2人同時にボケるとかはやめてね。


「お待たせいたしましたわ」


「ど~ん!」


「うわぁぁぁ!」


 扉からシープが登場したと思ったら、俺の胸に誰かが飛び込んできた。

 上目使いで俺の顔を見てくるその笑顔は、まさに天使。

 誰? この可愛い女性は? 俺やラビィーと同い年ぐらいかな?

 で、エレファはどうしたの?


「私、インテセルム・エレファトーニ。エレファですの。会いたかったですの、麒麟お兄ちゃん。よろしくですの」


 おぉ、笑顔が眩しい。

 ってあれ? 15歳ぐらいじゃなかったの? 俺の思い込み間違いか~。


 ん~。やっぱり、どこをどう見たって俺と同い年ぐらいの美少女。

 そして俺がいた世界ならグラビアアイドル並みの身体だよ。エレファの写真集が出たら買うよ、俺。


「あ、あぁ、よろしく。エレファ。あのさ、エレファって歳はいくつ?」


「レディーに歳を聞くなんて麒麟お兄ちゃん、失礼ですの。でも教えてあげますの。今、12歳ですの」


「マ、マジで?」


 前言撤回。写真集を買うのは倫理的、教育的、人道的にまずい気がする。

 エレファって小学生から中学生ぐらいの年代なんだね。


 ……パンチャ、身体的には完全に負けているね。

 いや、エレファが発育し過ぎていて、パンチャが発育し無さ過ぎているだけなんだけど。思わず2人を見比べる俺。


 神よ、なぜこの2人を逆のスタイルにした。

 18歳なのにどう見ても小学生にしか見えないロリボディーのパンチャ。12歳で完熟したダイナマイトボディーのエレファ。

 パンチャが可哀想すぎるだろ。神様も罪深いことするね。まあ、パンチャの場合は需要があるから……まあいいか。


「なによ。何か言いたいの?」


「いや別に」


 この流れは良くない流れだな。

 この間も俺に抱き付いているエレファ。うん、行動は小学生だね。

 サイドテールが良く似合って、すっげ~可愛い!


 って、これさ、パンチャが俺に、ベアルがエレファに襲い掛かるパターンじゃねぇの?

 とりあえず、エレファを流れ弾に当たらないようにしないと。ってあれ? 何も飛んでこないし、ベアルが大人しい。


「久しぶり、エレファ」


「エレファ、もう少し落ち着きなさい」


「相変わらずだね、エレちゃんは」


 ラビィーはともかくパンチャとベアルの性格からしてこの状況はありえないだろ。

 いつもの2人ならエレファに飛びついて抱き付いて、それで18禁のような描写になるのに……熱でもあるのか?


「なによ、その顔は?」


「キリー、鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしてどうした?」


「いや、その、なんだ。2人ともエレファに抱き付いたりしないんだなって思ってさ」


「はあぁ~、何言ってんの? エレファはまだ12歳よ。私にとっては妹だわ。本当に馬鹿なの? 死ぬの? なんなら私が三途の川を見に行かせてあげるわよ」


「キリー、16歳以下に手を出したら犯罪だよ? そんな事も分からないのかい? キリーにはがっかりだよ」


 本当に熱があるんじゃないの、この2人。

 ありえないぐらい正論を言っているが、信じられない。


「2人の正論がイラつくのはなぜ(ですの)?」


 ん? このツッコミ。エレファとハモったぞ。

 俺と同じ匂いがするよ。もしかしてエレファはこっちの人間? 期待していいの? これで裏切られたら泣くよ。


 エレファと視線を合わせると、笑顔を見せてくれる。

 その笑顔はまるで『私はツッコミ役ですよ』と言わんばかりだった。俺は思わずエレファを抱き寄せた。


「マジで? マジで嬉しい。もう1人ツッコミ役が増えた~」


 俺の抱擁に抵抗せずに抱きしめられるエレファ。

 少し涙ぐむ俺の頭をよしよしと撫でてくれる。君はこの世界に生まれた天使ですか? 本当に嬉しいよ~。


「わかります。わかりますの、麒麟お兄ちゃん。ここまで大変でしたの。お兄ちゃんの本を読みましたの。凄くすご~く、よくわかりますの。今は泣いても良いですの」


「わかってくれるだけですっげ~嬉しいよ」


「麒麟様、せめてエレファが15歳を過ぎるまでは子作りは駄目ですよ。エレファはまだ赤飯も炊いてないので」


「シープお姉ちゃん、その情報は言う必要性は全くないですの!」


 おぉ! 俺がツッコミを入れる前にシープにツッコミを入れている。

 超が付くほどの有望株がここにいる。この子は逸材だよ。大事に育てないとね。

 

 この中で一番年下なのに、誰よりも大人だよ。

 ここにいる連中はエレファを見習うべきだ! エレファの頭をなでちゃう。


「うわぁ、ロリコン。馬鹿なの? 死ぬの? うなじでも爆発させるの? 変態!」


「衛兵、ここに変態がいるよ~! キリーを牢に~」


「そこの百合属性に真性ロリコン。黙れ!」


 こいつらだけには変態呼ばわりされたくない。

 って、この言い方だと俺は変態って肯定しちゃっているよね。


 違うよ。俺はロリコンじゃないからね。本当だよ。

 ……なんかラビィーの視線が冷たく感じるのは気のせいか?


「エレファ。それで何か分かったの?」


 やっぱりなんかラビィーの機嫌が悪いぞ。

 いつも口調で感情は全く出てないけど、表情がなんとなく……女の子の日でも始まったか?


 この台詞はもちろん口には出さないけどね。

 こんな事を口に出したらシープやパンチャに何を言われるかわからないし。


「あっ、えっと、麒麟お兄ちゃんの本をちょっとだけ読んだ所で魔物達が攻め込んできたですの。だからまだ、私の中で結論が出てないのですの」


「それは仕方のない事ですわ。では先に私から重要なお知らせがありますわ」


 おぉ! シープの真剣な表情。何か重大な事でも起こったのか?

 ラビィーが常識を覚えたか?

 パンチャが百合属性を捨てたか?

 ベアルが男の格好に戻るとか?

 エレファがツッコミを放棄するとかか?


 一番最後の選択肢だけは心底、本当に勘弁してくれ。

 もうエレファ無しの生活は考えられないぞ。主にツッコミ的な意味でね。


「私、今日はもう疲れて頭が働いていません。ですので、話し合いは明日にしましょう。食事とお風呂の準備がもうすぐ出来ますので、あとはご自由に。では!」


「では! じゃねぇだろ。いいのか、それで」


 そそくさと部屋を出ていくシープを唖然と見送る俺。

 確かにここまで殺人的なスケジュール&強行突破で俺もかなり疲れているけどさ。でも、時間ないんだろ。のんびりしていてもいいのか?


「麒麟お兄ちゃん。ご飯を一緒に食べようですの」


 エレファが俺の腕を取り、扉の外へ引っ張っていこうとする。

 う~ん、上目使いが可愛いぞっと。妹にしたいね。身体は年下に見えないけどさ。色んな所が当たっているよ、エレファ。


 おっと。いかん、いかん。こいつらは俺の本を出せるんだ。

 邪な考えはヤバい。円周率でも考えよ。 3.1514……あっ、これ以上知らねぇや。


「先生、ご飯行くよ」


 おい、ラビィー。何を怒っているんだ?

 そんなに強く引っ張るなよ。痛いって。


「ラビたんが食事にするならあたいもご飯にしよ」


「パンチャがそうするならもちろん僕も食事に。食事のあとはパンチャをおいしく食べた……」


「三途の川を見に行けや~」


「あぎゃ!」


「自業自得ですの」


 うん、そうだね。自業自得。

 シープ姉さんがいなくて下ネタは無いと思ったのに、ベアルがぶっこんでくるとはね。

 予想外の展開でツッコミを忘れていたけど、エレファがツッコんでくれたわ。

 

 油断していたから本当に助かった。

 さて、パンチャに殴られて吹っ飛んだベアルはスルーして、飯でも食べに行きましょうかね。



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