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第18話 崖を馬で駆け下りるとか正気じゃない



 戦闘が行われている?

 次第に大きな音に変わっていっちゃってるんですけど。


 おいおい、これってかなり大規模な戦闘じゃねぇの? 怒号とか凄いんですけど。

 大規模戦闘になると個人の力なんてたかが知れているよね。

 俺、この物語の主人公だけど目立ってる? 大丈夫? 主人公はラビィーでもシープでもないからね。誰だ、元々主人公っぽくないって言ってるやつはよ。


 で、さすがにここまで来ると戦闘状況が良く見えるわ。

 だけど崖の上からってなんかのフラグ? しかもさ、魔物が凄い大群で人間側の陣に攻め込んでいるじゃん。あれ? でも、明らかに人間側の方が人数少ないのに互角以上に戦ってない?


「行くよ、先生」


「行くってどこへ?」


 うん、悪い予感しかしない。

 この崖を馬で降りて敵陣に突入なんてしないよね、ラビィーさん、命は1つしかないんだよ。俺には転げ落ちる未来しか見えないよ~。

 俺たちは義経にはなれないと思うぞ。


「崖の下」


「うん、予想した通りの答えだったよ。いや、無理だろ、これ!」


「先生、あれを見て。ベアルが馬を抱えて崖を降りていくわ。なら馬だって」


「あぁ? ラビィー。言葉は正しく使おう。ベアルが馬に乗って駆け下りていくだろって、はぁぁぁ~? なんでベアルが馬を抱えているんだよ! いや、覚醒したベアルならあれぐらいやりそうだけど。って、可憐な女性の姿で馬を抱えて崖を降りる姿なんて見たくねぇ……って、うぎゃゃゃ~」


 ジェットコースターってやっぱり安全設計なんですね。

 安全バーがあって、安心して『きゃあ~』って言える事がどんなに素晴らしい事かが良く分かった気がする。


 バンジージャンプってやった事はないけど、こんな感じなのかな~。

 なんで並走しているパンチャとシープは笑顔なの? 崖を駆け下りて、さらに敵陣に突っ込もうとしているのに笑顔って。

 絶対にこいつらの人生って常識って言う道から横道に逸れているよね。あっ、走馬灯が見える。


 時間にして3秒? いやいや、俺には5分以上の時間に感じました。

 あ~、生きているって素晴らしいね。ロリ体型とセクシーボディーの姉さん達よ。


 俺が青い顔しているのに平気な顔して降りてくるんじゃねぇよ。

 あんたたちも一応、乙女のカテゴリーの隅っこの方に分類されるんだからよ。


「先生、このまま敵陣を走り抜けるから適当に撃って」


「パンチャもシープも並走しているんだぞ。あいつらに当たったらどうするんだ」


「あんたのへなちょこ弾なんて、あたい達に当たるわけないでしょ。あんた馬鹿~」


「まあ、中に出されたら当たって出来ちゃうかもしれませんが、麒麟様になら……」


「この銃口をお前らに向けてほしくなければ、その口を閉じろ!」


「先生、行くよ。……イくよって言っても絶頂するわけじゃないから」


「完全にラビィーが毒され始めているよ……」


 そう言いながら俺は敵陣に向け、ラビィーの肩越しからライフルを乱射する。

 完全に意表を突かれ、慌てふためく魔物達。タイミングを見計らったように味方の兵士たちが一斉に引いていく。


 なんかさ、タイミング良すぎない?

 確かに味方への誤射の可能性も否定できないから、乱戦になるのは避けたいけどさ。誰か千里眼の持ち主でもいるの?


「これもエレファの作戦ですわ。麒麟様、攪乱はベアルに任せ、私達たちはこのまま突っ切りますわよ」


「い、いいのかよ?」


「大丈夫ですわ。エレファならこれぐらい読んでいますから」


「キリー、僕に弾を当てたら50G上げるよ~」


 俺と並走している2人。

 憎まれ口を言っていてもやっぱり凄いわ。パンチャは長い槍を振り回しながら敵を薙ぎ払い、シープは手綱から両手を離して魔物達を射抜いていく。


 ロリ体型とセクシーボディのお姉さんたちのこんな戦う姿を見て、萌える人っているの? 


 そしてラビィー。さすが勇者候補だわ。

 俺と一緒に馬に乗っているのに突然消える。そして敵を打ち取っては戻ってくる。


 いつの間にか俺の後ろに載って馬を操っている。何者だよ、お前は。これで覚醒したらお前はどうなるの? スーパーサ●ヤ人3みたいになるの?


 しかし圧巻なのは覚醒したベアルだわ。

 すげ~を通り越して、ちょっと恐いわ。前にいたかと思えば後ろに。右にいたと思えば左に。ベアルって4人いるんじゃないの?


 覚醒って凄いね。まさにベアル無双。敵が目で追えてないもん。

 俺も遠くから見ているからベアルが何をやっているかが分かるんであって、無双状態をこんなに近くで見られるなんて思ってもいなかったな。


 なんだよ……ああ、そうだよ。読者が思っている通りだよ。

 俺は馬にしがみついているだけだよ。悪いか! 俺が駄目なんじゃない。こいつらがおかしいんだよっ。おっと、無事に敵陣を突っ切れそうだ。

 

 俺たちが魔物軍の一帯を抜けようとした時、追い打ちのように人間の軍隊が魔物達の側面から攻撃を仕掛ける。


「人間側のタイミング良すぎだろ。すげ~統率力だな」


「あんた、馬鹿なの? 死ぬの? エレファはあんたと違って天才なのよ。それぐらい分からないの? やっぱ私が三途の川を見せてあげようか?」


「見たくねぇし、真顔で言うんじゃねぇ」


 そんな事を言っていると魔物達の軍勢が退却していったじゃん。

 やったね。そりゃあれだけ混乱したら逃げるしかないわな。

 おぉ~、人間側が勝鬨を上げてるよ。ってあれ? 勝鬨が段々エレファの名前に変わっていってる。エレファって奴は人気者なんだな。


「さあ、私の城に参りましょう。エレファも待っている事でしょう」



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