第15話 徹夜調査とポンコツだらけの会議
ラビィーと2人で書庫に戻るとパンチャとシープがすっきりした顔でこちらを見ていた。
……お前ら、俺がラビィーと話をしている間に少し寝ただろう。
しかもベアルに全て押し付けたのが分かるぞ。ベアルが死んだように寝てるじゃないか。
しかし、本当に女性にしか見えないな。頼むから衣服は直してくれ。
俺が行ってはいけない世界に旅立ちそうだ。しかし、なぜベアルの寝顔はこんなに満足そうなんだ? いや深くは追及する事はやめよう。真実を知るのが怖い。
「ちっ、三途の川を渡らなかったんだ。あんた、どれだけタフなのよ」
「パンチャ、ナチュラルに舌打ちするんじゃねぇよ。そして止めを刺そうとしたのかよ!」
「麒麟様、色々とわかりましたわ。期待ほどイかなかったですが、十分満足出来ました」
「うん。イントネーションがおかしい上に、言葉のチョイスも間違ってるよ」
とりあえず少しでも収穫があったなら徹夜した甲斐があったものだ。
だからさっさと本題に入って寝ようよ。
俺、そろそろ永遠の眠りにつくレベルだよ。まあ、俺が永遠の眠りにつけば、若干1名喜ぶ人がいるけどね!
「シープさん、とりあえず早く終わらせよう。限界だ」
「もう麒麟様ったら。限界で早く終わらせようなんて。そんな事を女性に言ったら、嫌われてしまいますわ。やはり殿方は女性が『もう限界』と言うまで……」
「ごめん、超ごめん。話を振った俺が悪かった。だから話を進めてください。お願いしますから」
展開がこうなるって予測出来たのに……。
眠たすぎて頭が働いてない。ツッコミ放棄しちゃうぞ。俺がツッコミ放棄したら物語が止まるね。
うん、これはうぬぼれじゃない……よね。
「では、どこから始めましょうか? 前戯はなしで進めますか?」
「シープさん、飛ばし過ぎです!」
「飛ばすのは殿方、麒麟様の役目で……」
「うん、早く説明を終わらせてゆっくり寝ましょうね。シープさん、絶対に睡眠不足でいつもよりもおかしくなってますよ。そしてラビィー、メモしなくていい。こんな大人になっちゃ駄目! 一番見習ってはいけない所だ!」
いつの間にメモ帳を用意したんだ。
シープ姉さんの見習わなければいけない所は他にたくさんあるだろう。礼儀とか体型とか。
おっと俺の好みが入っちゃった。とりあえず、今書いたメモは消しとけよ。
「では、まずは覚醒のお話からしましょうか。呪いと封印は関連性がある事が分かりましたので」
「ちょっと待て。それは俺が聞いても良いのか? ババア……ゴホン、ファンが覚醒したらどうするんだ?」
「大丈夫ですわ。これまで覚醒した数少ない四武太守の資料が見つかりました。でも、その方法は麒麟様には教えませんので、ババア……もといファンさんには方法はわかりませんわ。1つずつ試していって、覚醒出来たらラッキー。その程度ですけど」
「わかった。じゃあ、方法は聞かない。覚醒を試す時には言ってくれ。俺は見ないようにするから」
「あんたになんか絶対に見せないわよ」
「パンチャはなんで顔を赤くしているんだ?」
「もちろん、麒麟様に視姦してもらえないって分かったので怒っているのですわ」
「それは絶対に違うと断言出来ちゃう」
顔を赤くするパンチャがそっぽを向く。
こうして大人しくしていれば、滅茶苦茶可愛いのに。
うん、妹にしたいキャラNO.1候補になれる逸材だと俺は思うよ。……黙っていればの話だけどね。
まあ、人前でバナナの皮で滑って頭を打つ姿なんて見られたくないわな。しかし、この世界はこういう話を挟まないと本題に進めないの?
「次に呪いと封印なんですが、これには数々の謎があります。1つ目はリーグエスの長年の謎なんですが、初代勇者と2代目勇者、初代教育係、2代目教育係の呪いはありません。呪いについては3代目からなんです」
いやいいんだけどさ、もう完全に呪い確定前提かよ。
まあ、色んな妄想すら許されないって、プライバシーも何もないしね。
「初代と2代目はリンネ神殿などの歴史書に書いてありますね。しかし魔王を封印したはずなのに、その記述が全く載っていない事。そしてその初代教育係の物語が中途半端に終わっている事。2代目勇者と2代目教育係の話も途中で止まっているんですよね」
「じゃあ、呪いは3代目からって事?」
「はい、勇者も四武太守も25歳前後になると次の勇者候補、四武太守候補が生まれます。まあ、若干のズレはありますが。基本的には45歳前後で引退というか、次の跡継ぎが18歳になったら引退です。教育係は勇者が18歳の時に召喚され、善政を手助けし、王が引退するまで教育係です。しかし、2代目教育係は初代勇者が魔王との戦いで大きな怪我をしたので、すぐに召喚され、2代目勇者の子供の頃から教育係を。ですので、2代目教育係はかなり長い間、教育係をしています」
へえ、そうなんだ。
どこかの国みたいに、大事な議会中に居眠りする議員よりその方が良いのかも。税金で給料をもらって居眠りするってどういうことだよ。
どこの国とは言わないけどさ。で、封印と呪いの話はどこに行った。
「本題に戻りますが、色々調べてみると封印の方法及び呪いの解除方法ですが、わかりませんでした」
「これはオチとして駄目じゃねぇ?」
「と言うわけで、どうしましょうか?」
シープ姉さん、2日徹夜の代価はこのオチですか? 酷くないですかね。
あ~あ、パンチャも寝ちゃったよ。
ラビィー、お前はしっかり睡眠を取っているはずなのに、なぜパンチャの抱き枕になりつつ寝ているんだ!
「麒麟様。とりあえず、私達も寝ましょう。睡眠不足では良い考えも出ませんので」
「俺、それ、言ったよね」
「麒麟様は睡眠不足でイってしまうのですか?」
「もうツッコむ気力もない」
「突く気力がないなんて、イってしまって賢者モードなんですね」
「この流れで被せてくるのかよ」
どこまで飛ばすんだよ、この人。
若干、ヒロインがこの人になりそうなほどキャラ濃すぎだろ。本当のヒロインは爆睡しているよ。
もういい。俺もここで少し寝よう。この物語を読んでいる人、おやすみなさい。




