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第13話 徹夜調査とポンコツ会議



 お城で頭からの出血を止めた俺はラビィー、パンチャ、シープ、ベアルとともに会議室の机の前に座っていた。

 両手を顔の前で組み、某アニメの髭ジイ司令官のような振る舞いをするシープ。

 世が世なら訴えられて敗訴するよ、それ。


「では、会議を始める」


「なんでネルフの司令官のマネを……いや、ここはあえてスルー!」


「調べる事は3つ。我々は魔王の封印の方法を知らない。そして私達の覚醒の方法。今の所、覚醒出来るのはベアルのみです。ラビィーはもちろん、私やパンチャが覚醒出来れば大きな戦力となります。最後に麒麟様の呪……もとい、本に載ってしまう事。これにより、魔王軍に私たちの作戦&行動が筒抜けになってしまうと言う事です。」


「もう、呪い確定でいいです」


 涙をこらえてシープの話を聞く俺。健気だね。


「なあ、覚醒って一体何なんだ?」


「簡単に言えばアニメや漫画でよくある一瞬でパワーアップする事ですね」


「先生、具体的に言えば坊主頭の人が殺された時の『クリ○ンの事か~』で起こる現象」


「お前ら本当にファンタジー世界の住人か! 2次元の住人じゃないのか?」


 詳しいな、お前ら。この世界って漫画あるの? あるなら俺も読んでみたい。


「なんでお前らは覚醒出来ないのにベアルだけは覚醒しているんだ?」


「それがよくわからないんです。覚醒については歴代四武太守でも覚醒した人が少なく、方法もまちまちで、分からない事だらけなのです。勇者に至っては、初代勇者以外は覚醒をした者はいません」


「なにそれ? でも、ベアルが覚醒したなら同じ方法を試せばいいじゃん」


「それはみんな試しました。バナナの皮で滑って頭を打ったら覚醒したって方法なんですが」


「試したのかよ、それ!」


 それで覚醒するベアルもベアルだけど、試すお前らもお前らだ。

 そんな方法を試したアホな連中……ラビィーは俺の隣でウトウトしているし、ベアルはパンチャを見てハァハァしているし、パンチャはシープを見て目がハートになっているし。

 どれだけマイペースなんだよ、こいつらは。


「幸いにもこの城は別名カルサカの大図書館。古い文献がたくさんあります。文献に色々載っているかもしれません。手分けして調べてみましょう。M気質の麒麟様が露出プレイである呪いを解除するのには抵抗があるかもしれませんが、これも平和のため。ご了承ください」


「シープさんはどうしても俺をMにしたいみたいだな。違うからな」


「お姉さまが言うならその通りです♪」


「パンチャがそう言うならその通りだよ♪」


「zzz……」


「味方が誰もいねぇ」


 もう、何でもいいから本題に入ろうよ。

 これ以上俺のハートにヒビが入らないうちにさ。もう砕けて散るだけの状態だから、本題を進めようよ。


「では、手分けをして始めましょうか」


「パンチャとベアルは歴代教育係の本を調べてください。先代のファギー様から調べて初代まで全部。魔王の封印の仕方や呪いを解く方法が分かるかもしれません。私と麒麟様はこのお城にある文献を調べましょう。覚醒した四武太守たちが何か記しているかもしれません。ラビィーは……そうですね、城周辺の警備をお願いします。もう私たちがこのお城にいる事は魔王軍に伝わっていると思いますので」


「了解……任務を遂行するわ」


「配置にちょっと、いや、かなり異論があるけど、シープ姉さまの言われる事は絶対!」


 シープにそこまで嫌われたくないのか、パンチャ。

 血涙を流しそうなぐらい悲しい顔をするな。なんか俺が悪いことをしているように感じる。

 

 そしてベアルよ。

 嬉しいのはわかるが、声に出せ。俺の本に載るのだから読者にわかるようにしろ。俺の呪いの本は漫画じゃなく文字だぞ。

 無言で片手を天にかざして、(我が生涯に一片の悔いなし)みたいなガッツポーズをして感涙を流すな。同じ涙でもここまで違うとは珍しいよ。


「じゃあ、私は見張りに行くから。先生、頑張って」


「お、おぅ」


 あ、あれ? なんかラビィーの元気がないな。

 いつも無表情だから分かりにくいな。気のせいか? まあ、パンチャもシープも何も言わないから気のせい……だよな。


「さあ、魔物達がいつ攻めてくるか分かりません。すぐにでも取り掛かりましょう。あっ、ちなみに調べ終わるまでは、寝かせませんので。……寝かせませんのでの台詞は、私に向けて麒麟様が言ってくれたら、私、興奮しますわ」


「そんな事で興奮しなくていいからね」


 いやいやいやいや。シープさん、睡眠は取らないとその美貌が崩れますよ。

 というか、寝かしてください。この世界に来てからまともに寝た事ないし。

 ……俺がまともに寝たのってパンチャにボコボコにされた時だけじゃねぇ? シープさん、ドS全開過ぎですよ。


「では、始めましょうか」

 

 そのシープさんの笑顔は童貞男子には輝き過ぎです。もう何も反論出来ないです。


 ラビィーを除いた4人が書庫にこもる。

 パンチャはシープの、ベアルはパンチャの言う事に対して従順。


 凄い勢いで本を調べていく姿を見ていると、こっちが飽きそうだ。

 お前ら、訓練された犬かよ。て言うか、寝かしてくれ。もう2日も部屋にこもって調べているよ。


 ……誰だよ? 綺麗なお姉さん、可愛い少女と作業しているくせに寝るなんて馬鹿じゃないかって思っている読者は。


 1人は男だぞ。じゃあ、やってみるか?

 ウトウトすると本が飛んでくるんだぞ。分厚い辞書が凄い勢いで飛んでくるんだぞ。しかも本の角がテクニカルクリーンヒットするんだぞ。

 

 分かるか、この恐怖が。

 ……さらに誰だよ。(むしろ私たちの業界ではご褒美ですぞ)なんて思っているドMな奴は。


「はい、麒麟様。目を動かしましょう。脳を働かせましょう。余計な事を考えず、しっかり調べてください」


 シープさん、本当にドSですね……。


「すいません、トイレに行かせてください」


「すぐ帰ってきなさいよ。まだまだ調べないといけないんだから」


「僕はまだまだ平気だからパンチャの為に頑張る」


 パンチャ、目の下に大きなクマが出来ているよ。

 黙っていれば可愛い顔が台無しだよ。シープ姉さんに一言言ってみんなで寝ようよ。


 ベアルは変なテンションでパンチャの側から離れずに調べまくっている。

 1日目から全く表情を変えず平気そうなのはシープ姉さんだけだよ。


「と、とりあえず行ってくる。途中で倒れなければ、すぐ戻る」


 うん、俺の今の台詞は間違ってない。だって今にも倒れそうだもん。


(うぅ~、あとどれくらい調べるんだ? あれだけ調べてヒントすら載ってないって。いつ心が折れてもおかしくないって。ん? あれは…)




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