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第12話 変態しかいない

 凄い勢いで近づいてくる。

 少し、いや、かなり怖いよ。ラビィーとかなりいい勝負をする美少女が土煙を上げながら走り寄ってくるってどんな面白映像だよ。

 某サイトに映像をアップしたら、再生回数が結構行く気がする。


 あれ? 俺の第六感が何かを告げているよ。

 ……ラビィー達と混ぜるな、危険の予感がするのはなぜ?


「パンチャァァァ~」


「うるさい!」


 あっ、到着した瞬間に殴られた。

 おいおい、お前と同じ属性の仲間じゃん。専門用語『百合』同士でイチャコラすればいいんじゃないの?

 俺の本って色んな専門用語が出るね。良い子のみんなは知らなくていいからね。


「先生、ベアルは男」


「はいはい、心の中を読まれる事にも慣れてきちゃ……はあぁぁぁ? 何言っちゃっているの、ラビィー。あれが男? 確かに声は少しハスキーボイスだけど、どう見たって女性だろ。シープさんより出る所は出てないけど、モデル体型でしょ。あれが男なら世の女性がみんな泣いちゃうよ」


「男ですわ、麒麟様」


「はい? ごめん、よく聞こえなかった。もう一回聞くぞ。あの人、女の人だよね?」


「先生、男よ。先生と同じモノが身体の中心についているわ」


「何をぉぉぉぉ~~」


 女神リンネだっけ? なぜ俺と同じモノをベアルに付けたんだ!

 完全に性別が間違っているだろう! ベアルが東京で歩いていたら、芸能界にスカウトされるかナンパされまくるぞ。

 もし、ベアルが学生で『好きです。付き合ってください』って言われたら、俺は食い気味でOK出しちゃうレベルだよ。


「パンチャ~。可愛いよ~。ラブリーだよ。愛くるしいよ~」


「あたいに近づくんじゃない!」


 変態のベクトルはまるっきり一緒なのに、なぜ受け入れないの、パンチャ。


「拒否プレイって、パンチャは意外にマニアッ……」


「三途の川を見に行って渡って来い~!」


「げふぅ! こ、これは急いで駆け付けたご褒美! パンチャ、もっと~」


「この人、アウトォォォォ~!」


 ごめん、パンチャ。

 変態の中でも全然ベクトルの方向が違ったよ。いや、ごめん。マジでごめん。


「先生も私が殴ったり蹴ったりすると喜んでくれるの?」


「こいつもアウトォォォォ~~~!」


「パンチャ、そろそろボコボコにするのはやめましょうか。色んな意味でベアルがイっちゃいますので」


「この人もアウトォォォォ~! スリーアウトでチェンジ!」


 ベアルをボコボコにするのをやめたパンチャが嬉しそうにシープに近寄る。

 うん、例えるならパンチャは小型犬だな。


 俺には吠えまくって噛みついてくるけどさ。

 ベアルはベアルでボコボコ至福の表情。色んな意味で可哀想すぎて直視できないぞ。


「ベアル、麒麟様に挨拶を」


「あ~、マインツ・ベアッスルだ。よろしく。変態教育係」


「お前のカテゴリーと一緒にするな!」


 笑顔が可愛い……おっと、こいつは男だった。

 赤面する俺が情けない。って、なに、この人。初対面でケンカを売ってんの? 


 この世界に来てから、俺、貶されまくりだよ。

 なんかのCMで優しい世界を作ろうって言っていたけど、この世界じゃ無理だな。断言できちゃうよ、俺。


「そうよ、先生は変態じゃないわ。ムッツリなのよ」


「ラビィーは女の子だけど、引っ叩いていいかな?」


「そうですわ。麒麟様は真性のM気質なだけで……」


「もう黙れ! お前達は口を開くな!」


 誰もフォローする気はないのね。いや、期待はしてなかったけどね。

 でも、夢ぐらい見せてくれてもいいと思うんだ。僕としては。


「さて、教育係君。いや、あえてここは親しみを込めてキリーと呼ばせてもらう。キリー、1つだけ忠告しておく」


「ん? なんだ?」


「パンチャに手を出したら……こ・ろ・す(ハート)」


 いや、語尾にハートマークを付けられてもわかんねぇよ。

 ついでに俺の首に当てられている大鎌もどけてもらえますかね。

 

 ホストスマイルで言うんじゃねぇ。目が笑ってないから余計に怖いわ。

 まあ、お前のパンチャへの求愛行動は、違う意味で怖いんですけどね。


「あの~、2つほど質問して良いですかね?」


「もちろんさ、キリー」


 うぜぇ……またツッコミの機会が増えるんだ。

 そしてこの状況に慣れてきた自分が少し怖い。


「えっと、なんで男なのにそんな恰好?」


「わからないのかい? パンチャが好きだからに決まっているだろう! パンチャは女性が好き。ならば僕が女性になればパンチャに好かれる。これは自然の理。間違ってないだろう!」


「間違いしかないと思うぞ。ベアルはなんでそんなにパンチャの事が好きなんだ?」


「なに? キリーはこれだけの長い時間、パンチャの側にいたのに分からなかったというのかい?」


 こいつも面倒くせぇ~。この世界ってこんな奴ばっかりなのか?

 それとも勇者&四武太守に選ばれる人間が全てこうなの? もしそうなら、この世界は確実に終わるぞ。というか、滅んでしまえ。


「教えてあげよう。パンチャの魅力を、全てを語ってあげよう。3日ぐらいかかるけど、時間はあるかな?」


「すいません、時間がないので3分以内でまとめてください。お願いします~」


 うん、この世界の破滅の音が俺にははっきりと聞こえるね。


「パンチャは神に選ばれた申し子! 考えてもみたまえ。18歳にしてこの顔、体型、髪型に声。幼女以外何者でもあるまい。この世界の法律に16歳以下の子供に手を出すと厳しい処罰が下される。死罪だ」


 へぇ、この世界にもそんな法律あるんだ。

 良いことだ。まあ、俺はロリ系には興味はないからどうでもいいけど。


「しかし、パンチャは18歳。法的に口説いても問題は一切起こらない。そして合法的にあのアリコン系体型を好きに出来る。まさに神の申し子。可愛いこそ正義。プリティーこそジャスティス。アリスコンプレックス、至高にて究極ぅぅぅ~!」


「せ、せめて……ロリコンって言えやぁぁぁ~~!」


「ぎゃあ~~」


 うん、前と同じで間違ったツッコミをしているよ、

 パンチャ。アリスコンプレックスの言葉を知らない読者のみんなは自分で調べてみよう~!


 まあ、俺からすれば大した差はないけどね。

 知らなくても生きてく上では何の問題もないよ。


「さあ、ラビたん、お姉さま。バカ達はほっといてさっさとお城に行きましょう」


「そのバカ達の中に俺が含まれるのがなぜだか分からない。パンチャはそろそろツンデレの文字ごとく、デレを俺に見せてくれても良いと思うんだ」


「あんたに見せるデレなぞないわ!」


「ぐはっ!」


 パンチャさん。

 あなた、俺のいた世界ならプロ野球選手になれるぐらいコントロールが良くて球威もありますね。


 でも、石はやめてください。その内、本当に三途の川を見に行く事になるからさ。

 で、お城に行くならさっさと行こうよ。

 俺の頭から出ている血を早く止めないと、出血多量で意識がなくなりそうだし。

 あっ、もう駄目かも……



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