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ギルド登録

翌朝。




窓の外から、鳥の鳴き声が聞こえてきた。




ヒロはゆっくり目を開ける。




「……朝か」




見慣れない天井。




少し遅れて、昨日のことを思い出した。




異世界。


ガラン。


大陸。


《風の匙亭》。




そして――




「ひより」




小さく名前をつぶやく。




ヒロはベッドから起き上がり、窓を開けた。




朝の空気が、ひんやりと頬に触れる。




街はもう動き始めていた。


ギルド本部の広場では、冒険者たちが集まり始めている。




「……いい朝だな」




軽く伸びをして、ヒロは部屋を出た。








寮の一階。




団欒スペースには、すでに数人の住人がいた。




厨房の見習いらしい若い男がパンをかじっている。




「おはよう」




ヒロに声をかける。




「あ、おはようございます」




軽く会釈をして、ヒロは外へ出た。




向かう先はもちろん――




《風の匙亭》。




店の扉を開けると、香ばしい匂いが一気に広がった。




パンの焼ける香り。


スープの湯気。


香草の匂い。




「お、起きたのね」




ノエルがカウンターの向こうから手を振る。




「おはようございます」




「よく眠れた?」




「ぐっすりでした」




ノエルが笑う。




「それはよかった」




その奥の厨房から声がした。




「ヒロさん?」




ひよりだった。




エプロン姿で、鍋をかき混ぜている。




「おはようございます」




「おはよう」




ヒロはカウンターに腰を下ろした。




「いい匂いですね」




ひよりは少し照れたように笑う。




「朝のスープです」




「あとで出しますね」




そのとき、奥の席から声がした。




「おや、起きてたのね」




トワだった。




湯呑みを持ちながら、ゆっくり歩いてくる。




ヒロは軽く頭を下げた。




「おはようございます」




トワは椅子に腰を下ろし、ヒロを見た。




「今日はどうするつもり?」




ヒロは少し考える。




「まだこの世界のこと、よくわからなくて」




「でも、旅をするなら――」




ギルド本部の方を見る。




「やっぱり冒険者とかになるのが普通ですか?」




トワは小さく笑った。




「そうね」




「一番わかりやすいわ」




ノエルがカウンターから身を乗り出す。




「だったらさ」




「今日、ギルド登録しちゃいなさいよ」




ヒロ




「え?」




ノエル




「ここ、本部に次ぐ大きな支部なのよ。


冒険者登録くらい、すぐできるわ」




トワも頷く。




「登録自体は簡単よ」




「推薦人がいればね」




ヒロは首をかしげた。




「推薦人?」




トワは湯呑みを置いた。




「私が書くわ」




ヒロ




「えっ」




ノエル




「トワの推薦なら一発よ」




ヒロは思わず笑った。




「なんか……話が早いですね」




トワは静かに言う。




「ガランがタグを渡した子よ」




「それくらいはしてあげるわ」




ヒロは少し驚いた顔をしたあと、頭を下げた。




「……ありがとうございます」




そのとき、ひよりが朝食を持ってきた。




「はい」




「朝のスープとパンです」




湯気が立ちのぼる。




ヒロは一口すすった。




「……うまっ」




ひよりが小さく笑う。




ノエルが言った。




「よし」




「腹ごしらえしたら、ギルド行くわよ」




ヒロはスープを飲みながら頷いた。




「はい」




窓の外では、朝のギルド広場が賑わい始めていた。






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