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目が覚めて

プロローグに


(…厳つい天井だ。)


目が覚めてから真っ先に入ってきたのは打ち放しコンクリートのような天井だった。というか、まんまコンクリ。

其処以外は見えないのでわからない。寝返りも打てないし、首も回らない。


朧気な記憶を辿ってみると、産まれた?記憶のようなものがあった。周りを見渡せないのは産まれたばかりだからだろうな。

誰かに持ち上げられた後の記憶が無いのはすぐ眠ってしまったからだろう。赤ん坊だし仕方ない。


現状は天井以外の情報が手に入らないのでこの転生についての考察でもしようか。現在考えられる事と言えば目視情報、現時点での記憶、身体情報の三つくらい。


目視情報…は首が回らないから止めよう。天井が打ち放しコンクリートで所々に鉄板の様なものが取り付けられていて、独房の天井みたいになってることなんて知らない。知ってはいけない。知りたくない。


独房みたいな天井の所々に赤黒い染みみたいなものがあるのもスルーだ。じゃないと寝れなくなってしまう。


赤ん坊って目が良いんだな。それでさえ体が小さくて天井まで遠く、暗くて見にくいのに、鉄板の皺や錆の一つ一つがはっきりと分かる。

そのせいで赤黒い染みと錆の違いが分かってしまったわけだが。ぼんやりなら錆だと思えたのに。


考察と言っても転生は自分で選んだからなぁ。『異世界』つまり前の世界とは異なる世界を選んだ訳だからここは俺のいた世界ではないわけで、つまり俺の大好きな日本が存在しない可能性もあるわけで。


日本が存在したとしてもあの素晴らしき信長様が産まれてなかったりして歴史が全く違う可能性も大いにあるから何処まで常識が通じるかも分からない。

もし、かつてのローマ帝国が日本だったりなんかしたら、親の思想によっては異端認定されて育ててもらえないかも知れない。(思想関係なくこんな子供は異端と捨てられる可能性もあるが)


逆にあの日本がもの凄い弱小国だったり、マイナー過ぎる国だったら、何で知ってるのかと不信感を抱かれる。

情報を集めるにも、俺の納めていない言語を使っている場合、文化も見当がつかないから下手に動けない。


つまりぐだぐだ考えた所で現状把握をしないことにはどうしようもないんだよなぁ。


まぁ現状把握は誰か人が来てからにするとして次は記憶について考えてみようか。


前の世界での記憶は割かし覚えている。が、本名や友人の名前、ペットの名前等の固有名詞は出てこない。恋人は覚えてるのに。

全体的には覚えていなくても問題ないが記憶の消え方が不自然で気になる。


元々、記憶したことは忘れることが出来なかったし、思い出しにくいことでもこんな風にぽっかり穴が空いた様に感じる事は無かった。

転生したことによってその特性の様なものが無くなったのかと思ったが、不自然な所以外ははっきり会話の一言一句思い出せるから無くなったとは思えない。


考えられるとすれば、転生する際のリスクか。あの変な空間でもノーリスクとは書いてなかったからな。


変な空間と言えば、最後に聞こえた音は何だったのか。いや、声か?何を言っていたかは意識が朦朧としていて覚えていないが、美しいソプラノボイスだった。また聞きたい。凄いどうでも良いことだな。


そう言えば俺は転生したわけだが性別はどっちだろう?どうにか声で分からない物だろうか。でも子供って声高いからな…というか俺は産まれたときに泣き声を上げたのか?上げなかったからこんな部屋に押し込まれてるとか?!


え、それだったらどうしよう。もしそうなら監禁か?こんな赤ん坊を?酷いな俺の親。みたこともない両親のことを決めつける俺も俺だが。よし、


「……ぁょ…ぅあうぇ!」


訳:俺の、第一声!


うん。言葉になってないな。やっぱり分からないし。そもそも赤ん坊の声をろくに聞いた事無いのに聞き分けることが出来るわけが無い。


そろそろ人が来ても言い頃だと思うんだが…いくら監禁してても赤ん坊何だし夜中とかに見に来るよな?普通。


と思ったら来たな。ガチャッってドアの開く音らしき音がなった。首動かせなくて確認できないがな!


「チッなnだこ.o部屋.a素がこs.ぎるぞ」


なんか堅気じゃない感じの人だったー!!!あ、でも良い感じのテノールで落ち着く声だな。


「俺g.殺s..aでm.なくこn..a素n.う度で死nでnじゃねぇ.oか」


あ、落ち着いちゃ駄目な奴だこれ。いまいち分からないが殺と死は分かった。


言語は俺の知ってるのが複数と知らないのが混ざった感じか?粗方聞き取れるし問題無いな。

…言ってることから察するに暗殺者さん?え、俺殺される?これは起きた方が良いのか寝たふりしていた方が良いのかどっちが安全だ?


〘獲得完了〙


ん?なんか目の前に出てきた。

獲得?何を?そもそもこの青い煙は何だ?こんなに光ってたら暗殺者さん(推定)に怪しまれるんじゃないか?!まずいだろ!どうする?!


「あ?」


やばいやばいやばいやばい怪しまれた?!まだ死にたくないぞ!


「ッチ勘付かれたな…諦めるか。こんな所じゃまともに技も出せやしねぇ。足がついても困るしな」


そう言って暗殺者さん(推定)は消えた。あれ?来るときはドアから来たよね??忍者さんかな???


にしてもあの反応からするとこの青いののせいとかではないだろうな。

あ、青のも消えた。

何だったんだ?獲得完了とか書いてあったが…んーもしかして言葉を?急に聞き取れるようになったし。

しかも別の言語として定着してるし…違和感が凄いが。


「カイン!!!!」


ドカンと音を立てながら物凄い勢いでドアが開かれた。凄く吃驚した。

確認はできないが声からして男性だと思われる。さっきみたいに静かじゃないから暗殺者とかではないと思う。


「レイン〜そんな大きな音立てるとカインが泣いちゃうわよ〜?泣かせたら〜お仕置きフルコース…よ?」


男性より遠くからは女性の声が聞こえた。最後だけ綺麗なのにどすの聞いた声でとても怖かったです。


「す、すまん…」


だよな、怖いよな。俺に向けられた訳では無いのに泣きそうだもん。


「カイン無事か?今何か異物が紛れ込んだかと思ったんだが…この魔素濃度のせいで上手く監視魔法が作用しないからな…やはり誰か置くか?」


監視?!え、やっぱり俺監禁されてるのか?!まだ産まれたばかりだぞ!


「駄目よ〜普通の人間だと〜この魔素濃度の中で動くことすら出来ないもの〜。私達のどちらかが常についているほうがいいでしょうね〜」


さっきから出てくるマソ濃度って何だ?

濃度は分かるがマソ…間素?もしかして俺の理解を超える所に転生したのか?というか普通の人間じゃあ動くことすらできないって貴方方は普通じゃないんですか。人間に見えて実は人外とか?!…ん?じゃあ俺も人外か?手足動かせるぞ?嘘だろ…せめて人間が良かった…


「でもそうすると家族会議が出来なくなるぞ。幼い子どもに聞かせられるような話じゃないし」


「言葉を理解する頃には馴染んでると思うわよ〜」


「それもそうか…ならこのままさっきの続きするか。あの二人にもカインの魔力の事も説明しなくちゃだしな」


「なら呼んでくるわね〜」


そう言って女性が部屋から出て行く。

ところで貴方方は誰ですかね?


「ん?なんだカイン、起きてしまってたのか…私がお前の父親だぞ〜」


だらしない顔で覗き込んできたこの男が父親らしい。長い髪を後ろで縛り、少し童顔。整っているほうかな。


と考えて少しした頃に何かが突進してくるような地鳴りがした。


すると


「おいジジイ!カイン無事だろうな!無事じゃなかったら殴るぞ!!」


「グレン兄さん少し静かにしてくださいよ。その怒鳴り声でカインが泣いたらどう責任をとるのですか?静かにしないとダストボックスにぶち込みますよ」


「おおぅ…すまん。でも俺はゴミじゃねぇぞ…」


「兄弟を泣かせる可能性が有るものは全てゴミです」


「俺も兄弟だよ…」


一癖も二癖もありそうな人達が来た。


今までの情報からすると

まず、俺の名前はカインで、さっきのだらしない顔してたのが父親でレイン。次がゴミ呼ばわりされたグレン(覗き込んで来たとき怖かった)。最後が毒舌な人。

わかったのはこんな感じか。

グレンと毒舌な人は兄弟で、毒舌な人は俺を兄弟といったから兄さんか。


兄さんを毒舌な人って呼ぶのは嫌だな…名乗ってくれないかな。


「茶番してないで早く来い。会議やるぞ」


茶番なんだな。それでいいのか。


「あぁ、そうですね。今まで私がカインと会わせてもらえなかったことをじっくり聞かなければなりませんからね」


「ノアの言うとおりだジジイ。どうしてカインを隔離したのかもな」


へぇ、ノアって言うんだ。ノア兄さんって呼ぼう。グレン兄さんグッジョブ。

ノア兄さんのおかげで俺がこの部屋に入れられた謎が解けそうだ。ここが牢屋とか実験室とかで無いことを願おう。


「ほら〜二人とも〜カインが怯えちゃってるわよ〜?落ち着いて〜」


知りたいことが聞けることに興奮して震えてたのを怯えと勘違いされてしまったようだ。


「それじゃまずは王家がうちに喧嘩売ってきた事についてからだな」


王家があるって事はここは王国か。喧嘩って言えるということはそれなりに力がある…と


「あぁ、昨日ジジイが訓練場破壊させた原因か」


「実はな、あのお気楽クソ野郎がな…うちの可愛い可愛いカインを色ボケ脳足りん我が儘王女の婚約者にし、自称天才無能俺様第一王子の腹心にしたいとか抜かしやがってな…」


力のある家とはいえ王族に向かってそれでいいのか…不敬罪に当たるだろうに


「父上…全面戦争と行きましょうか。大丈夫ですよ、王国軍の半分は掌握済みです。勝てます」


「おいノア暴走するな。その発言は反逆罪だぞ」


ノア兄さん?!王国軍の半分も掌握済み何ですか?!大丈夫かこの国!そして脳筋そうなグレン兄さんが止めたことに少し驚いた。


「いやグレン喧嘩売ってきた王家が悪いだろ!全面戦争に乗り切るにはまだ早いが準備はすべきだろ!ノアの言うことはいきすぎでも大事だろ!」


「んな分けねぇだろうが。むしろ王国軍の半分も掌握したなら戦を全力で回避する事に使うべきじゃねぇのか。そもそもジジイが親友の舵取りできてねぇのが悪いだろ。それにだな、今戦争してカインはどうすんだ。戦後の領が疲弊し食糧が限られ民が荒んだ醜悪な空気の中で育てる気か?それともカインを危険に放り込みてぇのか?今と違って安全性がガクンと落ちんだぞ反乱軍ってのは。分かってるだろうが。自己満足に浸って教育を間違えてからじゃ遅ぇ上にカインのために戦してカインの身に何かあったら本末転倒だ。カインのために一切ならない事してどうすんだ。一端頭冷やせ阿呆共」


グレン兄さんが淡々とお説教(?)為てる間にいつの間にか父さんとノア兄さんが正座してた。しょげてる。


やっぱり想像してたグレン兄さんとノア兄さんの立ち位置が反対だった…グレン兄さん格好いい…初めて呼ぶ名前はグレン兄さんにしよう。そうしよう。


「それで母さん、なんでカインを隔離してんだ?あんたはこいつらと違って血迷うとは思えねぇんだが」


グレン兄さんは口調や外見は父さんに似ていて性格や状況判断は母さん似なのか?そしてノア兄さんはその反対…と


「それがねぇ…この子この魔素量だから普通にやっちゃうと爆発するかと思ったのよ〜」


「マジかよ。その魔素全部カインのか…末恐ろしいな」


…は?

爆 発 ?

何だその危険極まりない単語は。詰まり場合によっては死んでいたと言うことですかな?怖すぎるわ!!

そしてグレン兄さんあり得るとはどういうことで御座いましょうかね??

この世界では赤ん坊は、死にやすいんですか?いや赤ん坊は死にやすいだろうけど爆発する物なんですか?どんな世界だよここは。


「まあこの部屋なら普通の子と同じくらいの負担ですむだろうからな」


あれ…なんか頭がぼんやりしてきた…


「そうか。で、家族会議とやらの議題は?」


「ん?どうやってあの阿呆の家を潰すかだが?」


「 解 散 」









少しずつキャラが安定すると思います。それまではブレブレでも御勘弁を。

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