第90話 トマトトマトトマト?
それからいろいろと魔法を試したり、レベルが上がったことによる身体能力の変化などを確認しつつ、ダンジョンへ挑戦した。
初級と言われる第一階層から第五階層まで。
レベルは五まで上がった。
経験値とか出ないから、あとどの程度で上がるのかとかわからないけど。大体普通なんじゃないかと師匠が言っていたから普通なんだろうなあ。
貴族学院ではそのくらいあれば何とかなるって保証されたからそこは安心。
サンドブラストに関しても何とか形になってきた。
問題は。
「どうも、ルオだけの現象だぞ」
「え~」
「まあ、喜ぶべきことじゃないのか?」
「それ、本気で言ってる?」
「……」
「目を逸らさないで!」
ちょっと第六層に降りてみて、壁を鑑定。入口付近にはなかったんだけど、ちょっと奥の通路に光るところを発見、鑑定した。
こぶし大の石が落ちて俺の方に転がってきた。
綺麗なサファイアの原石が見えた。速攻インベントリに仕舞った。
「師匠、とりあえずこの現象は秘密で」
「ああ、資源を採掘するのは採掘師に任せよう」
そういえば、前世ではサファイヤの鉱物名は『コランダム』だ。ルビーもコランダムで、いろんな色のコランダムがある。
師匠の名前もコランダムだ。この石は師匠がいるから現れたのかもしれない。
「ふふ」
「どうした?」
「思い出し笑い」
「なにを思い出したんだ? おい。今度は何をやらかすつもりだ?」
「師匠、酷い。僕、何にもやらかしてないんだけど!」
ダンジョンの中を騒ぎながら歩いてしまった。
(主、前からビッグマウス)
(主、横穴から、こうもり型の奴よ)
「よし、俺は離れるから、ルオ頑張れ!」
「えええええ。サンドストーム」
横殴りの竜巻に巻き込まれて魔物はあえなく昇天した。
「なかなかコントロールができてる」
「大分、上達した気がする。杖も調子いいよ!」
師匠はぐりぐりと俺の頭を揺らした。
そして俺は帰ってきた!
その次の日の俺の誕生日はみんなに祝ってもらった。
イオからは河原の石。他の皆からは魔法の杖。
そして、神業農業師さんから可愛いトマトができたからと鉢植えをもらった。
ミニトマト!
観賞用と言われるのもわかる。黄色に赤に緑。
葉の色と相まってとっても鮮やかで綺麗。
しばらく飾って、熟れたのは収穫して食べよう。
神業農業師さんにお礼を言いに、翌日農場へ向かった。
広大な大規模農園になった俺の実験農場。
増えた土地に思いっきりコメが青々と植えられていた。
仕方ないよね。精霊王様がそのために土地をくれたんだから。
その他はいつものコーンに、大豆、砂糖大根はあれかな? そしてトマト……トマト!? 凄いいっぱい植えてあるんだけど、微妙に違う?
「あの、トマト、凄くない?」
「たくさんの種類を育てようと思いまして……ダメでしたか?」
「ううん。あれって一種類の苗だと思ってたけど、違ったんだね」
「品種改良しました」
「すごいね!」
神業農業師さん、凄いな!
「同じ種類の同じ土地で育てて大丈夫なの?」
「え?」
「え?」
こてんと首を傾げた神業農業師さん。
「土地がやせたりとか、よく育たなかったりしない?」
「ああ、栄養がなくなってしまうことですか? まず土をその作物に適した土壌にするのが一番始めにする仕事です。栄養がいきわたったところに植えるので、大丈夫ですよ?」
連作障害を気にする必要がないの!? でも、師匠の領地は塩害だって言ってた。最初はここでもあんまり豊作じゃなかったよね?
俺はぐっと拳を握る。
「相談したいことがあるんだけど、いいかな?」
俺はやりたいことを相談して、父に許可が取れたらいいですよと約束してもらった。
神業農業師さんは本当に神だった。
コメは水田じゃなくても十分育つんだね。あ、土精霊が雑草抜いてる。
そうか。ファンタジー世界の農業はほんとにファンタジーだね。というか、神業農業師さんほんとに凄いよ!
そして、麦の収穫後に行われた、行商人たちが集う、販売会。初夏の収穫祭と呼ばれている。秋の収穫祭はそのまま収穫祭。ややこしい。
「ご注文の品です」
「ありがとう」
師匠が商人さんに頼んでいたオリーブの実と、苗がやってきた。
「それがオリーブ?」
「ああ。苦くて食べられないから塩漬けにするんだ」
「そうなんだ」
知らなかった! 種抜きで売ってるのしか見たことなかったからね。
「あとは油を搾る感じだな。確か実の大きさとか、種類で違うと思ったな」
師匠、詳しい。やっぱり実家で扱ってたからなのかな?
「わかりました。こちらは森との境界に植えましょう」
神業農業師さんが請け負ってくれたなら百人力だね。
次の投稿は明日になります。
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