第300話 合同演習三日目~(三年目)
今、俺たちは最初の襲撃場所に移動中だ。まだ薄暗い森の中をゆっくりと進んでいる。ラヴァは外套の中に潜ってもらった。
(ラヴァどう?)
(六つの気配を感じるよ。人だと思う)
「よし、確実に人がいるな」
防音の結界の中で話す。
「じゃあ、襲撃は手はず通りに」
「了解。散るぞ」
あとはハンドサインと成り行きだ。
二人一組で、3方向から囲うようにして、襲撃する。
俺とレギナ、タビーとラウノ、ジャンテーレとルッソだ。
俺は防御役。レギナは投擲役。
俺のライトが合図だ。
ライトを襲撃先のテントの上に灯す。
それを合図に一斉に茂みから飛び出して、塗料玉を投擲。
あっけなく、完全制圧となってしまった。
「あれ?」
「あっけないな」
みんなも思ったらしい。
塗料玉を譲ってもらい、あとは採点役の先生に任せて次の襲撃予定地に向かった。
移動の最中も油断はしないように盾の魔法をみんなにかけた。
午前中に3組潰した。
今は昼休憩中で、午後からの襲撃の打ち合わせだ。
「順調だな」
タビーが満足そうに言う。
「全部で40組だったっけ?」
「確かそうだな」
「3組潰して、残りは36組か」
タビーが唸る。
「うーん、多分、他も潰し合いをしているはずだから、その半分くらいと見ていいと思うけど」
「そうだな」
(ラヴァ、どっちの方角が人がいる?)
(うーんとね、北の方)
「北か。やっぱりダンジョンとは反対の方に拠点を作ったのかな」
俺が首を傾げると、みんなの視線が集中した。
「ああ、ラヴァがね、北の方に人がいる感じがするって」
「そうか。さすがラヴァ」
タビーが褒めるとラヴァはふんすっと鼻息荒く胸を張った。
「可愛い」
女子の目が釘付けだった。
(そのほかにはどこら辺にいるかわかる?)
(んー、あちこちにいる。あ、こっちに来る)
「迎撃準備、他の組が来る」
俺たちは食べていたものを片付け、塗料玉を手にする。
俺がみんなに盾を張って、飛び込んでくる相手の攻撃を防ぐ。
ただ、どうやら、俺たちには気付いてない様子だ。
「こっちの方にいると思うか?」
「どうだろう?」
「索敵魔法、誰も使えないからな」
「覚えておけばよかったね」
のんきだ。
俺は、ライトを相手の頭の上に小さく点した。
一斉に塗料玉が相手に飛ぶ。
「うわ!! なんだ!??」
「え、襲撃?」
「あー、全滅?」
嘆く相手の塗料玉を奪い、その場から足早に離れた。
これで4組目。
それからも順調に襲撃を繰り返し、なんと、夕方まで8組を潰した。
日が暮れるまでに拠点に戻りつつなので、かなりの成果だと思う。
1年目の襲撃ポイントを越えた。
(主、拠点に人いる)
俺はハンドサインでみんなに停まれと指示する。
集まるように手招きし、防音結界を張る。
「ラヴァが俺たちの拠点に人がいるっていうんだ。待ち伏せされているね」
「マジか。でも誰でも考えるな」
「で、だ。もう暗いから、例の手が使える」
「例の手とは」
ジェンティーレが首を傾げる。
「ライト増強作戦」
俺はにやりと笑った。
「みんな、かかれって言うまで、目を開けないでね」
俺は目隠しするよ。
俺は拠点のテントにライトを点すと、光量を目いっぱいあげた。
「うわ、なんだ」
「目、目が!」
「見えない!」
悲鳴が上がってパニックになったようだった。
「かかれ!」
声にみんなが目を開け、塗料玉を容赦なく投擲した。
がっかりしている待ち伏せ組を追い出して、結界を張り直すと、一旦みんなテントで休んだ。
「疲れたよ」
「まだあと1日あるからな」
「うん。食事作る気力が……」
「なら、携帯食だな」
「うう、究極の選択」
「黙って休めないのか? ルオは」
タビーの片眉が上がったので横になって仮眠を取った。
見張りはラヴァに任せた。
(主の大事なお願い)
そう言って、張り切っていた。
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