第297話 ダンジョン探索
ダンジョンの前に馬車が着く。
順番に準備ができた組から入っていくようだ。
野営の荷物はダンジョンには不要なものもあるので、そこはちゃんと学院側が預かることになっている。
「よし、行こう」
学院の受付をして、札をもらい、ダンジョンに向かう。
ひんやりとした空気がダンジョン独特だ。
タビーに地図係と索敵に専念しろと言われた。
どうしても戦う時は仕方がないが、目立たないようがんばれと励まされた。
タビー……。
頼もしすぎるよ!
「よし、今日は5階層まで頑張ろう!」
魔物の弱い階は最短距離で抜ける作戦だ。
そこそこ強い魔物からのドロップじゃないと、困るしね。
スライムくらいは無視して突破する。
約24時間くらいダンジョンで活動しなければいけない。
休憩をどうするかだなあ。
作戦としては各自戦果が上がって、5階層に達した時点でダンジョンを脱出、拠点を作りに行く予定なんだけれど、予定は未定だし。
あんまり考えすぎちゃうのもよくない。
こういうのはざっくりした予定の方がいいんだ。
(右の通路からくるよ!)
「右通路からくる!」
「わかった!」
俺がラヴァの警告を伝え、タビーが実質的な指示をする。
それに二年と一年の四人が連携して動く。
俺は簡易な地図を書いて迷わないようにするのと、罠などがないか確認している。
ダンジョンの精霊は罠を仕掛ける感じはしないんだけど、そこは個性があるみたいだからね。
分岐を書き込んで出てきた魔物も書く。
それを誰がどのようにして撃退、ドロップ品も書き込む。
その時間があるくらい、順調なダンジョン探索だった。
ん?
もしかしてダンジョンの精霊が忖度しているのかな?
普通にお願いって頼んだけど。
まさかね。
みんなが怪我をせずに五階層に到達した。
でも、戦いを散発的に行いながらの探索行はやはり消耗する。
魔法を使って戦っているジャンテーレとルッソの消耗が激しい。
もちろん剣士のラウノと弓のレギナも身体強化は使っているから、疲れてくるのはあたりまえだ。
五階層に降りて大きめの通路を真っ直ぐ降りた階段から離れて進む。体感としては南に向かっている感じはするけれど、ダンジョンの中だから、北かもしれないし、西かもしれない。
ともかく最初の分岐を左手に折れた。
そうしてしばらくすると広い場所に出た。
見晴らしはいいし、魔物の気配もない。
「ここで休もう」
ちょうどいいと思って提案する。
「そうだな。休憩するぞ!」
タビーが立ち止まって言う。
他のメンバーはほっとした顔をした。
俺とタビーの魔力量は多分、相当多いと思うから、あまり消耗した感覚はない。
「結界の魔道具を使うから、少し寝てもいいよ」
壁を背にして、みんなで座り込む。メンバーを覆うように結界を張る。
「ありがとうございます」
みんながそう言って、座り込み、水と携帯食料を口にした。
俺とタビーはこれからの行動の打ち合わせ。
「結界の道具は六時間は持つから切れる頃起こせばいいかな。俺とタビーが交代で見張ればいいよ」
「そうだな。いざとなったらラヴァが起こしてくれるよな?」
タビーがラヴァに訊くと念話で(起こすよ!)と言ってくれた。
メンバーの顔色を見ると、やっぱり一年の二人が疲れを滲ませている。
「ラウノ君、レギナ嬢、これ飲んでおいて」
二人にポーションを渡す。等級はノーマルランクだ。
「ポーション? 怪我はしてへんよ?」
ラウノは遠慮する。
「これからまた休んだら地上に戻るから回復した方がいいよ」
ポーション瓶を手に押し付けるようにして渡す。
「それから少し眠って。短時間なら大丈夫だから」
「はい」
「はい」
「あ、コラード君とフランカ嬢もだぞ」
タビーが補足してくれた。
四人は荷物を枕に仮眠を取る。
「まあ、順調だな」
タビーも水と携帯食を口にする。俺も携帯食を口に入れようとして、フリーズドライのことを思い出した。
「実は、新しい携帯食ができたんだけど、いきなり持ってくると非常識だからって、師匠に止められたよ」
「……なんか、知りたいような知りたくないような」
「色々試行錯誤を繰り返してやっと販売できるようになったらしい。僕はアイディアを出して、実際のところ、師匠とルヴェールの領民が頑張った感じだから」
「ちょっと、聞くのは考えておくよ」
「え、どういうこと?」
「とりあえず俺も仮眠する」
タビー!
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