第293話 打ち合わせと、連携訓練(三年目)
合同訓練の準備期間初日。
実技棟の空き室を借りて打ち合わせをする。これも三年目ともなればなれたものだ。
まず俺が準備の件について説明する。
「必要な荷物の振り分けをする。消耗品や野営道具、武器、着替えなどだ。魔道具は申請が必要だから早めに決めたい。結界の魔道具は必須だ。共有の荷物は分担して持ち込むことになる」
「じゃあ、振り分けな。これが必要な物資の表。で、手分けして準備だな。ポーション類は俺とリーダーが用意する」
タビーがあらかじめ必要物資を書いておいた表を広げた。
「これ、和紙だ」
「木板じゃない……」
「これ、試験でつこうてた紙やわ」
「ほんまや」
広げた表を見て呟く俺とタビー以外のメンバー。
「そういや、いまはまだ木の板の方が主流か。研究室はほぼ和紙だからな。木の板よりかさばらないし」
「生産量が上がったら普及も加速するんじゃないかな。量産に向いている素材をどうやらダンジョンから見つけたらしいし」
「え、そうなの?」
(そうなの?)
タビーとラヴァが首を傾げる。
「師匠情報」
「なるほど」
ダンジョンマスターさんたちが忖度してるとか、ないよね?
師匠は個人での和紙購入量ぶっちぎり一位だ。団体では学院。これは講師の購入も含めて。次点で王家や高位貴族。そして各ギルドの上層部。
「まだまだなのかな」
俺たちの使っているのは規格外の失敗作。
なのでお安いし、いわゆる訳あり品。
言わないけどね。
「和紙はうちの実家で作っているから、宣伝も兼ねているんだ。それより、肝心の担当を決めよう」
「はい!」
みんな揃って返事をする。
そこからわいわいと担当を決めていった。
「ダンジョンに行ったことのない人」
一年が手を挙げる。
二年は去年の合同演習でダンジョンに入っているから、入ってないはずはない。
「そうか。やっぱり間にある闇の日にダンジョンを体験しておこうか」
「ダンジョン」
「ほんまですか!」
おおっと双子妹が食いついた。
「もちろん。下見には行くよ。次の闇の日はどうかな」
「はい」
みんなが頷いて次の課題だ。
「野営の場所は?」
「んー場所はここらへんでどうだろう?」
もう二回も野営をしてるためか、何となく森の様子が目に浮かぶ。
「この辺とかは待ち伏せにいい感じじゃない?」
「うーん。そうだな。こことここがいいかもな」
タビーも拠点の候補地を挙げた。
「両方見て、当日の他の生徒の動きを見て決めよう。それでいいかな?」
みんなが頷いたところで、剣技なんかの確認と、連携訓練。
ダンジョンでは魔法が必要だからね。
俺はどうだろう。また接待されちゃう?
それは避けたいな。
ちゃんとお願いしておこう。
二年の二人はなかなかの魔法剣士ぶり。
一年は兄が剣、妹が弓だった。
「じゃあ、隊列は前衛に俺と二年のジャンテーレ。中衛にルッソとラウノ。後衛がルオとレギナでどう?」
タビーの提案に頷く。
「問題ないと思う」
「じゃあ、明日もまた、実技棟で訓練だな」
みんなが頷いた。
「じゃあ、また!」
「はい、お疲れ様でした!」
タビーがそう言い、みんな解散した。
俺とタビーは馬車止まりまで連れ立って歩く。
「タビー」
「なんだ? ルオ」
「タビーがリーダーでよくない?」
「はあ?」
いや、だって、ねえ?
「しっかりしろよ、ルオ。俺が騎士で雇ってもらったら、ルオは上司なんだぞ?」
「え、あ? ああ……?」
「その顔、後輩たちには見せるなよ?」
え、俺、どんな顔してた?
「えー……?」
眉をよせて首を傾げると、タビーはぷっと吹き出した。
(主、顔、変)
ラヴァにまで言われた!
「じゃあ、またな! 研究室は合同演習が終わるまでお休みなんだから、研究室、行くなよ?」
「いや、さすがに僕もそれはしないって」
「じゃあ、また明日な」
「うん。また明日」
俺とタビーはそれぞれ待っている馬車に乗って家路についた。
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