第292話 3度目の合同演習
十月と言えばいろいろあった合同演習の季節だ。
今回は以前の塗料玉でのポイント争いとダンジョン探索がセットだ。
早々に退場させられてしまう脱落者の救済のため、1日目はダンジョン探索にて魔物討伐の体験を含めた採点を。
2日目の午後から野営の拠点づくりで野営体験を。
そして翌朝から4日目までの潰し合いになる。
「これ、スケジュール的に厳しくないか?」
タビーが案内を見ながら呟く。
「ダンジョン行った後に野営地探して拠点づくり。多分これ、下手したらそれだけでその日終わりそう」
タビーは肩を竦めた。
「そもそも、ダンジョンは凄く疲れるよね。まあ、前回は拠点と行ったり来たりだったわけだけど」
俺は接待されちゃうから迂闊に行けないけど。
「ダンジョンは危険な場所だからなあ」
タビーも頷くと、合同演習の概要が書かれた紙を指でピンと弾いた。
「今回の新入生も、俺たち先輩も大変だよ」
「これは、あれじゃない? いろいろ学院側が模索中とか」
「模索中……」
「安全にいろんなことを学ばせるか?」
俺は首を傾げた。
そもそも、最初の合同演習は武器が危ないから、塗料玉を使っていた。
ダンジョンでは武器が使えないと、命の危険があるから武器も魔法も使う。
森の中も、魔物がいる。
完全に丸腰は危ない。
一年の時のアクシデントは師匠がいたからこそ、被害を最小限に抑えられた。
「いろいろ策を練らないと、凄く疲れそう」
俺ははっきり言った。
「だよな~しかも俺たち、最終学年だし、フォローするべき立場だしな」
「いろいろやらないとダメってことだね」
ギードやコスティたちを見習って、頑張ろう!
そして、合同演習の顔合わせの日。
俺たちの組は六番。
サロンや実技棟の教室は事前に押さえてある。
迎えた二年と一年はなんと男女ペアだった。
あれえ?
俺たち、一緒の組で大丈夫?
「これは俺かタビーが女装するべき?」
「なに言ってんだよ? ルオ」
(主、大丈夫?)
「いや、つい混乱して」
「よし。とりあえず、挨拶からだな」
目線でタビーが俺にふる。一応爵位はうちが上だし、仕方ないかな。
「僕はフルオライト・ルヴェール。3-Bだ」
「俺はテイバート・トレメイン。同じく3-B」
三年の俺たちが自己紹介すると、二年の子たちから名乗りが始まった。
「僕はコラード・ジェンティーレ。2-Bです」
「私はフランカ・ルッソよ。同じく2-B」
二人とも、東の領地の貴族だ。ジェンティーレは子爵。
ルッソは伯爵家下位だったか。
「ほな、次は僕やな。ラウノ・ウェルディエいいます。1-Bです」
か、関西弁に聞こえる南訛り!
チー以外で初めて聞いた!
「私は、レギナ・ウェルディエ。ラウノと双子なんよ。1-Bよ」
双子なんだ。やっぱり訛ってるけど、女の子だから印象が違うかも。
「ルオ、よろしく頼む」
タビーと話し合って俺がリーダーをやることになった。
「えーと、リーダーは僕がやってかまわないかな?」
言って一旦黙って異議があるのを待った。
「いいようだね。今回の合同演習は、僕たちの一年の時の内容と半々くらいな感じなんだけど、ダンジョンが本当に危険なので、指示には従ってほしい」
四人とも頷いた。
「ありがとう。今日はこのまま、合同演習の概要を話すけれど、明日からは実技棟での連携訓練とサロンでの作戦会議をしていこうと思う」
俺が話を切るとタビーが話す。
「実技棟の教室と、サロンの予約時間。この紙に書いてあるから、この時間には各教室に来てほしい。サロンは制服でいいが、実技訓練は実技の時の服装で来てほしい」
タビーと俺が、紙を配る。
和紙に書いたよ。口頭は忘れるしね。
「質問があれば受け付けるよ」
にこっと笑って待った。
特にないようなので、解散。
「はあ。人前で話すの疲れる」
「領主の嫡男は騎士の前で話すこともあるし、旗頭だぞ。慣れないと」
「……そうだよね。父も魔物の氾濫の時は騎士たち引き連れて出ていったものなあ。あれを将来……」
「おい、遠い目になってるぞ」
「魔馬乗り熟せない気がする」
(その時は僕に乗ればいいよ)
ラヴァは諦めてないみたいだ。
「その時はお願いね」
(うん!!)
あ、ラヴァがめちゃくちゃ喜んでいる。
「がんばろう!」
「ああ、そうだな」
3年目の合同演習の始まりだ。
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