第280話 一年ぶりの工房
夕食が終わり談話室で話をしたあと、自分の部屋に戻ってきた。
しばらくするとギードがやってきて身支度の手伝いと浄化の魔法をかけて出ていった。
王都とは空気が違うって実感する。
標高が高いし、緑が多いせいかもしれないけれど、濃くて美味しい空気に感じる。
「ラヴァ、お休み」
(主、おやすみ!)
あっという間に眠くなって次に目を開けたら朝だった。
朝食前に走り込みをして爽やかな朝の空気を吸い込んだ。
「あ、兄様、早い!」
「イオも朝の走り込み?」
「うん! 行ってくる~!」
体を少し解した後、イオは駆けていった。
「速!」
(速いね!)
ぽかんと見ているとアイレが寄ってきた。
(おはよう、愛し子)
「おはよう、アイレ」
(おはよう)
ラヴァが前足をピッと上げる。
それを見てアイレが微笑む。アイレは美青年な感じだからラヴァよりだいぶ年上な感じがする。
「一緒に走らないの?」
(私は見守る感じです。風が吹くところには瞬時に移動できますし)
「え、凄い」
(私は風の精霊ですからね)
微笑むアイレはめっちゃ美形だった。
あれ? 俺の周り美形しかいなくない?
ラヴァも人型になったりしたら、赤い髪のめちゃくちゃカッコ可愛いとか、ありそう。
いや、ラヴァはこのままで超可愛い。
(主?)
思わず、抱っこした。
素振りをしている間にイオが帰ってきて一緒に素振り。
そうしているとカリーヌが呼びに来た。
カリーヌもお姉さんという感じに大人びている。
「朝食のご用意が出来ました」
「わかった」
「はーい!」
イオが手を挙げて返事をする。
もうそろそろ、可愛い仕草は見納めになるのかな?
俺も十四歳になったんだから、大人にならないとな。
あ、右手が疼くとかしないからね!
朝食を済ませると俺は工房に向かった。
師匠は精霊教会に行くと言って出て行ったので、自由な時間だ。
課題はまだ到着してないしね。
窓を開けて空気を入れ換える。
「埃溜まってるかな。よし、掃除だ!」
(掃除ー!)
陽の光に埃がきらきらしている。これは精霊ではないので、窓を全開にして追い出す。
掃除用具を出し、掃除を始めた。
特にガラス関係の用具や器具、機械は念入りに!
お腹が鳴って昼だと気が付いた。まだ半分も終わってないけれど、昼を食べに工房を出た。
「ルオ、工房にいたのか」
出るとすぐに師匠にばったり会った。
「師匠。帰ってきてたんだ」
「ああ、用事は済んだからな。なんだ? 埃だらけだな」
「工房の中掃除してたんだ」
「あ、ああ。一年放置だからな。他の人間は入れないようにしているし……よし。午後は俺も掃除をする」
「ありがとう! 師匠」
「まずは昼だな」
いいタイミングでお腹が鳴った。
師匠に思い切り笑われて俺は口を尖らせた。
午後は師匠と工房の掃除で日が暮れて、ガラスも弄れなかった。
明日こそはガラスをと、手を握りしめた。
「明日はメリーディエース伯爵領に行くぞ」
ガラス……。
「ラントにもお願いしてきたからな。浄化と畑の再生だ」
「わかった」
ガラスは延期だな。
は~がっかり。
肩を落とすと頭をぐりぐりされた。
「悪いな。もう少しだけ、付き合ってくれ」
「じゃあ、ひと段落ついたら一日中ガラス作っていい?」
「いいぞ。課題を忘れなきゃな」
「そ、それはわかってるよ」
「ならいいぞ」
「やった!」
俺は拳を突き上げた。
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