第263話 イオからの手紙
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学院の勉強、研究室でポーションと錬金術、家ではガラス。違った。錬金術時々ガラス。
季節は春から初夏に向かっていた。そんな毎日の中、手紙が届いた。
「え、まじで?」
(まじ?)
可愛いラヴァの言葉に頭を撫でた。
手紙はイオからだった。
字も綺麗に書けていてうちの弟凄いと思わずブラコンを発症してしまったが、その手紙は雪が酷かったので最近になって祝福の儀を受けたということと、天職が【剣聖】だったということが書かれていた。
剣聖?
英雄になる天職じゃないの?
近くに賢者がいるんだけれど、聖女と勇者はどこに……って違う。そうじゃない。
「師匠!!」
思わず師匠を探して手紙を読んでもらった。
「ほう、聞いたことのない天職だ。つくづく精霊教会がルヴェールにあってよかったな。聖の字の付く職業は光神教が取り込みに来るからな。無理やり連れて行くこともある」
「え、無理やり? でもなんで?」
「聖属性を持つ者は光神教の教会で奉仕するべきなんだと主張している」
「奉仕って」
「タダ働きだな」
「絶対やだ」
「だろう? 俺も危うく教会に奉仕させられるところだったんだが、母が庇ってくれたんだ。それにさすがに貴族には教会側も強く出られなかったみたいだな。これが皇国だったら、まず抵抗できなかったと思う。オーア王国で生まれてよかったよ」
「あ、師匠は全属性だから……」
「そう。それに今まで出なかった天職だったからな」
「それは魔法神のせいとして……イオ、危なかったよね。魔法属性が風属性と聖属性だもの」
「だから剣士じゃなくて剣聖なのかもな。天職と聖属性が結びついてるのかもしれない」
「風属性は絶対、アイレのせいだよね。風の精霊の加護もある……というか、こんなの手紙に書いてきて大丈夫だったの? 届かない可能性あったのに」
「この手紙はちゃんと秘密厳守の契約をして送ってきてるぞ」
封筒をじっと眺めていた師匠がそういった。鑑定に出たのかも。
「え、そんなお高い手紙送るなんて。夏に帰ってからでもいいんじゃない?」
そういったら、師匠に呆れた目で見られた。
「イオは大好きなおにいちゃんに報告したかったんじゃないのか? ちゃんと手紙の返事を書くんだぞ。魔法の手紙、割引するから」
「魔法の手紙を?」
「出血大サービスだ」
師匠の守銭奴!
でも普通の和紙のレターセットのお値段にしてくれた。通常、魔法の手紙はその十倍はするんだよね。
書き上げたら師匠が送ってくれた。
お祝いの言葉と夏に帰る時、お土産も持っていくって書いた。
「あ、夏だがな。俺の実家に行くぞ」
「え?」
「転移魔法でルヴェールにはちゃんと帰るから、少し付き合ってくれ」
「手紙に夏帰るって……」
「ルヴェールには帰るぞ?」
師匠は何が言いたいんだと言わんばかりに首を傾げた。
そういうとこ、そういうところだよ!
「師匠の実家に行ってからルヴェールに帰るって、ちゃんと師匠が両親とイオに報告してください」
「あ」
あ、じゃないです!
そのあと、師匠が魔法の手紙を送っていた。
もちろん俺は一青銅貨も出さなかった。もっと早く俺に言っていたらその手紙、書かなくて済んだのにとも言わなかった。
ケンダルにちゃんと言ったのかな。
そこも気になるから、あとで問い詰めよう。根回しって大切なんだから。
報連相は大事っていつも言ってるの、師匠だからね。
そして、俺は十四歳になった。研究室でみんなが祝ってくれた。
「ありがとう」
みんながそれぞれ、プレゼントをくれた。
ケンダルとマルコムにも貰ってしまった。嬉しい。
二人にも、ガラスペンを誕生日に贈ろう。
あれ、いったいいつが誕生日? 過ぎてない?
「僕は九月二十五日です」
ケンダルは九月か。
「僕は十月二日です」
マルコムは十月か。
まだでよかった!
よし、頑張っちゃうぞ。俺は拳を握り締めた。
「ルオ、ほどほどにね」
アリファーンがぽんと肩を叩く。
「そうだぞ、ルオ」
タビーも肩を叩いた。
「そうですよ、ほどほどで充分なんですから!」
ルーンが念を押す。
「まあ、できるならルオじゃないな」
くすくすと笑いながら、師匠が言う。
もう、いったいどういうこと?
みんな、もっと俺を信用して!
次の投稿は明日になります。
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