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第262話 ランプ

評価、ブクマありがとうございます!

おかげさまでランクインしてます!!

「魔法陣にはこの蓋をして蓋の真ん中の窪みに魔石を嵌めるんだが、こっちの蓋にも魔法陣が必要だ」

 ジャムの蓋のような丸い金属の薄い蓋の真ん中が窪んでいてそこに金属の爪が出ている。それが魔石を支える爪になるそうだ。その爪を通して魔石から魔力が魔法陣に流れて魔法が発動する。そして爪がスイッチに繋がり、灯りをオンオフする機構がスイッチだ。

 これは魔法陣というより魔法回路だね。なんか前世の基盤というのを思い出した。

「こっちの魔法陣を描いてさっきと同じようにこの蓋の裏に張り付けろ」

「はい!!」


 見本の魔法陣を見ながらインクで描いていく。

 ガラスペン作っておいてよかった。羽ペンとか、絶対引っ掛かる。

 ガラスだからインクの染みこみもないし、すっと羊皮紙に一定の太さで描ける。

 しかも、魔法陣を一つ描くのに最後までインク切れがない!

 作ろうと思ったあの時の俺、褒めたい。本当に作ってよかった!!

 俺の使っているのはハンスがくれたペンだけど。

 ペン先は消耗品なので、欠けたりする。

 それを再度火を入れて元通りに出来るのがガラスペンの強み。

 太さも書き味も調整できる。

 俺とか師匠の持つペンや王族に献上したものは不壊の付与はしてあるんだけど、調整は可能なんだ。

 ハンスが今作っているのは不壊の付与はしてない。割れたらお終いなので気をつけるように、お客さんには注意書きを渡している。

 息を詰めながら慎重に描く。記憶術も仕事をしたのか、脳裏に魔法陣が浮かぶ。無心に描いて、やっと描き終わる。


 ふーっと息を吐くと、手元の魔法陣を見る。

 うん。歪みも、間違いもない。

「師匠、できた」

「どれ」

 師匠が羊皮紙を受け取るとじっと見つめている。

「うん。大丈夫だ。さっきと同じようにこっち側に付与をしろ」

 ジャムの蓋の裏側ってことか。内側に付与して蓋を閉めて魔法陣をわからないようにするんだ。

 なるほど。

 俺はさっきと同じように羊皮紙に魔力を通す。

「付与」

 魔法陣が輝き、ふわりと浮かぶ。蓋の裏側に張り付いて輝きが収まる。

 師匠が蓋を確認した。

「よし。成功だ」

 俺に蓋を渡すと、嵌めてみろという。

 台座の魔法陣を覆い隠すための蓋を被せる。そこには溝がついていて捻るとがっちりと噛み合った。

「いいか、これに加工を施して開けられないようにするんだ。見本を見せるから覚えろ」

「あ、でもここに穴が……」

「そこにはあとでスイッチを組み込む」

「そっか。スイッチつけないとダメだよね」

「よし、行くぞ」

「加工」

 師匠が呟くと、蓋と台座が最初から一体だったように隙間がなくなった。

「え、ええ? すごい」

「すぐにできるようになるさ。次はスイッチだ」


 ぜんまいの巻きねじのような形の金属の棒の方を差し込むと、また加工と師匠が唱えた。

 師匠はそのねじを摘まんで動かした。

「よし、このねじで光量を調節する。それは蓋側の魔法陣に組み込んである」

 師匠は小さな魔石を嵌め、ねじを動かした。

 魔石がうっすらと光を帯びてその魔石の上の空間に光明ライトの魔法でできる光の塊ができた。

「え」

 思ってたのと違う。

「何をぽかんとしてるんだ?」

「え、光明ライトが剥き出しだから?」

 俺は首を傾げた。

 蛍光管とか、電球が光るかと思ってたんだよ。そうだよ。ガラス管は俺が作るまでなかったし、蛍光管とか電球なんて作れるわけがなかったよ!

「だから、ガラスを被せてるんだろう?」

「あ、そうか」

「これが一般的なランプだ。みんなこのガラスを使ってるな」

 師匠はねじを回して光明ライトの光球を消すと、俺が図書室で見た魔道具のランプと同じ型のものを隣に並べた。


「僕が初めて見たガラスだ」

「光を通す素材じゃないと、明るくならないからな。ガラスが適していたんだろう」

「和紙でもいいとは思うけど、そもそも植物で作る紙はなかったしなあ」

「和紙をガラスの代わりにするのか?」

「木枠で糊で貼って?」

「ノリ?」

「ああ、接着して」

「待て、ちょっとメモする」

「蝋燭でもいいと思うけど、火事になるかも」

「ああ、燃えやすいからな」

 師匠はメモをし終わる。

「で、ガラス部分は、もう作ってあるのか?」

「この間作った雪結晶のガラスにする」

 五枚を合わせてシェードにしたもの。細長い台形で広い方が開いている。

 それを金具で吊って被せた。細長い釣り金具はそのまま取っ手になる。

 台座部分と繋いで完成。レトロランプだ。


 ねじを捻って光明ライトを点ける。滲んだ光が優しいランプ。

「完成したな」

 師匠が頭をぐりぐりとかき回した。

「うん! 師匠、ありがとう」

 さすが俺の師匠。師匠の指導がなかったら作れなかった。

「量産してがっぽがっぽだな。ああ、和紙の方も作ってみよう」

 きらりと光った師匠の目は、金貨になっていた。

 そして、俺は魔法陣をたくさん描く羽目になった。

 商機は逃さないんだね。さすが師匠……。

 さす師!

次の投稿は明日になります。


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