第255話 レトロとは?
評価、ブクマありがとうございます!
おかげでランクインしました!!
図書室にあったランタンのような魔道具を覆う灯り用のガラスはすでにあるんだよね。
俺が知らないだけで王城ではガラスを使ったシャンデリアとかあるかもしれないよなあ。
俺は天井からぶら下がっている蝋燭のペンダントライトを見る。
「とりあえず、作ってみよう!」
ちらちらと降る雪が目の内に残っている。
そういえばレトロなガラスが流行っていたなと思い出す。
田舎の祖父の家で見たガラス戸。
もう、あんまり前世のことは思い出さなくなっていたけれど。
灯りが滲むガラスの地模様。
型板ガラスと呼ばれたそれはあの当時はもう作られてなくて、再現するのも難しいといわれていたな。
多分、型に流し込んで作っていたと思うけれどそれを宙吹きで再現できるかはわからない。
「難しいものに挑戦する。この世界で初めてのガラスを作る。挑戦し甲斐があるよね!」
(主、炎出す?)
「お願い」
赤い融けたガラスを鉄棒に巻き取ってくるくると回す。
息を吹き込んで膨らませる。
「細かい模様と、大きな模様の繰り返し」
雪の結晶が降るような、そんなガラス。
切り開いて板にして、模様を刻み込む。奮闘してできたそれは、これじゃない感満載だった。
「一度でできることの方が、不思議って奴だよね」
(主、失敗?)
「失敗だね。ラヴァ、もう一度お願い」
(うん!)
そんなことを何度も繰り返して、大量にできた失敗作をもう一度融かすために炉に入れた。
ラヴァが炎を出して、溶かしていくのをじいっと眺めた。
「はー」
「どうした? ちゃんと食事に出てきたと思えば浮かない顔だな」
「思ったようにできないんだ。頭の中に完成形はあるのに、手が追いつかないというか」
「ああ、試行錯誤の途中って奴か。悩め悩め! ルオはまだ思いっきり若いんだからな」
「師匠、おじさん臭い」
「なんだと。そんなことを言う奴にはもうガラス材料を調達してやらないぞ」
「え、ええ。よ! 師匠! お肌が二十代!」
「とってつけたような褒め方だな。そもそも、外見だけだろう。さっきのは中身に対する評価だったぞ」
「ははは」
「その乾いた笑いはやめろ」
師匠にじと目で見られた。師匠は出会った時もおじさん呼びはショックを受けてたな。
「もう、師匠が錬金術で何とか……ん? 錬金術で?」
そうだ。俺には【加工】というスキルがあったじゃないか!
「何か、閃いたのか?」
「僕、錬金術師だった!」
ぐっと拳を握って立ち上がった。
「お、おう? 天職はそうだな」
(何叫んでるの? 食事中なのに。さっさと食べなさい)
カルヴァがお母さんみたいになったので、立ち上がった俺は素直に座り直して、昼食を再開した。
「はー、お腹いっぱい」
食べ過ぎた。
(主、お腹いっぱい? 僕もいっぱい。でも魔力も欲しい)
「夜いっぱいあげるから、もう少し付き合って」
(わかった! 約束!)
「うん。約束」
ラヴァが頑張ってくれて、何個も作り直した。
そしてやっと、スキルが発動するくらい、覚え込んだ手順。
宙吹きで作った板ガラスを作業台の上に置く。まだ熱いそれに手をかざした。
「加工」
魔力がたくさん引き出される感覚。
透明の赤みを帯びたガラス板が、グニャグニャと波打っていく。
細かい凹凸模様が表面に出来ていく。
そして、雪の結晶をそこにちりばめる。結晶の部分は切子のように彫り込んで削った感じになる。
ぽたりと汗が額から滴り落ちる。
赤いガラスがだんだんと冷えて、模様も固定された。
ふうと息を吐いた。
「すっごい疲れるんだけど! 師匠、鏡を作る時もっと簡単に【加工】してたよね? あれ? 経験の違い?」
(主、綺麗!)
ラヴァが出来上がったガラスを見て褒めてくれる。
雪が舞い落ちるような模様のガラス。
「とりあえず徐冷庫に入れて……二枚目は無理かも。集中力が続かなそう」
(主、もういいの?)
「うん。疲れちゃった。また明日だね」
そして、夕食はそこそこにベッドに入るとラヴァが俺の上にダイブした。
(主!)
「わかった、多めにどうぞ」
俺はすとんと寝落ちた。
そして翌日師匠に出来たガラスを見せた。
「どう? ランプの周りに覆ったら綺麗じゃないかと思うんだけど。この上のペンダントライトの周りに……」
師匠はガラスをじいっと見てひっくり返したりして見た後、書類をおもむろに俺に差し出した。
特許ですね。
わかりました。
「素晴らしい出来だ。透明のガラスなのに、向こう側が滲む。雪の結晶なのは雪が降り始めたからか?」
「そう。雪の精霊さんを見て思いついたの」
「模様はいろいろ出来そうだな」
「ただ、錬金術師のスキル【加工】を使ったからハンスには難しいかも」
「なるほど」
師匠はじいっとガラスの表面を見つめた。
「これは、いろいろ応用がきくな。もう何枚か、作ってくれるか? 素晴らしい物を作ったな。凄いぞ」
「はい!」
やった! 師匠に褒められた! ガラス、頑張るぞ!
次の投稿は明日になります。
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