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第254話 冬の休暇(二年目)

評価、ブクマありがとうございます!

 ルーンの誕生会兼お茶会で、冬休みの予定を話した。

「僕たちは寮居残りです」

 そう言うケンダルとマルコムは肩を竦めた。

「遠くて行って戻るだけで休みが終わるので帰れないんです」

 マルコムは苦笑してから紅茶を飲んだ。

「僕もそんな感じ」

 ルーンも頷く。

「私は王城でいろいろ公務を熟す感じかな」

 アリファーンは肩を竦めた。

「課題と予習、頼むルオ、一緒にやらせて」

 タビーが拝んできた。

「んー」

 ちらっと師匠を見る。

「いいぞ。雪が酷くなければ馬車を迎えにやる」

「ヴァンデラー先生! ありがとうございます」

 タビーが机に額をぶつけた。


「え、ヴァンデラー先生が冬に補習をしてくれるんですか?」

 ケンダルが首を傾げた。

 そこで一年を除くみんなの視線が俺に集まった。

「……僕、ヴァンデラー先生の弟子で一緒に住んでいるんだ」

「え?」

「え?」

 ケンダルとマルコムの目が点になった。


 二人は知らなかったな。契約してるから教えてもいいのか、師匠は止めなかった。

「僕が学院にいる間だけ、師匠は学院の講師をして、指導もしてくれてるんだけど……僕が卒業したら一緒にルヴェールに帰る予定だよ、ね?」

 師匠が苦笑して頷く。

「上級学院には行かないのか?」

 タビーが俺に聞いた。

「うーん、ガラスと錬金術で手がいっぱいなんだけど……一応嫡男だし、卒業して父の補佐をするかも」

「上級学院に行くなら、ルヴェール卿に聞いてみるぞ。今なら余裕はあるだろう。イオもルオの卒業の一年後には貴族学院に入るんだしな」

 そこで師匠が俺の頭をぽんと叩く。

「上級の学院に入ると、ガラスの研究時間が無くなりそう。錬金術はまだポーション作製とガラスの成分を取り出すことしかできないしなあ」

「俺は、どうしよう。ルヴェール子爵家に仕官? だとすると騎士学院か、文官系の上級学院に……」

 タビーが腕を組んで唸る。

「来てくれるなら、側近枠かな!?」

 タビーが来てくれるなら、心強い! 


「じゃあ、ルーンはこっちに……」

 アリファーンがルーンの肩をぽんと叩く。

「ふぇ?」

 あ、ロックオンされてる。ルーンの目がぐるぐる回っている。

「……き、危険手当は出る?」

 思わずルーンが訊いた。成長している! ルーンだけ、お友達予算出てなかった経験が!

「待遇はお互いの条件のすり合わせで」

 アリファーンも負けてないな。

「ルオ、なんで俺たち、お金に貪欲になったんだろう?」

 そんな二人を見て、タビーがちらっと師匠を見る。

 師匠が視線を逸らした。

「先輩たちは卒院後の進路も真剣に考えてるんですね。すごい」

 ケンダルの尊敬の目が眩しいよ!


「話を冬休みに戻そうか。ケンダルとマルコムも課題を進めたいならうちに来るといい」

 師匠が二人に誘いをかける。

「え、行ってもいいんですか?」

「一応予定もあるから、あらかじめ候補日をあげておいてくれ。その中から指定する」

 師匠が頷くとケンダルとマルコムは嬉しそうな顔になった。

「はい!」

 二人は仲良く同時に返事をした。


 そんなことがあってあっという間に冬休み。

 課題はタビーが来る日に合わせて進めるとして。

 ガラス、ガラスだ!

 錬金術の器具以外も作りたい。最近ずっと試験管ばかり作っていた気がする。

 その蓋に合わせたコルク栓も加工のスキルが上がるからって作らされた。

 ちゃんとお金、口座に入れてくれてるのかな。今度ちゃんと商業ギルドで明細貰ってこよう。


「ルオ、ちゃんと食事の時間は出てくるように」

 師匠に釘を刺された!!

「はい。わかりました」

(主、僕、時間お知らせする?)

「頼もうかな?」

(僕、お知らせするね!)

 肩を往復するラヴァが可愛い。

(私も気をつけてないとダメね。主も似たようなものだから)

「……気をつける」

 師匠も大人しく頷いた。

 そう言えば師匠も研究に夢中になるところがあった。

「工房行ってきます!」

 藪蛇にならない間に行こう!


 工房に入るまでの外の空気が寒い。

 吐く息が白い。空も灰色の雲が多くなっていて、どんよりとしている。

「そろそろ雪が降るのかなあ」

 そう言ったら、雪がちらついてきた。

 雪の精霊がキラキラしている。

(主が呼んだみたい)

「え? 僕が?」

(主を喜ばせたいって雪の精霊が思ってるみたい)

「ええ?」

(主のこと、みんな好き! でも僕が一番!)

「僕もラヴァが一番好き」

 思わずぎゅむっとラヴァを抱きしめる。

 ほんのりあったかいラヴァにほっこりする。

「今日も手伝ってくれるかな」

(僕、頑張る)

「ありがとう」

 工房の扉を開けて中に入った。

次の投稿は明日になります。


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