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第252話 見覚えがある風景

評価、ブクマありがとうございます!

おかげでランクインしました!

 師匠が連れてきたケンダルとマルコム。

 アリファーンとルーン、俺とタビーも軽く自己紹介した。二人はアリファーンが第二王子だと知って驚いていた。ルーンがエルフだっていうのも驚いていたけれど、同じ寮生なので、ルーンの方がグイグイいって何でも聞いてと言っていた。


「さて、先輩たちのポーション作製を見学してから実際の作業に入る」

 師匠がそういうので、みんなでいつもしている作業に入ることになった。

 いつも通りにポーションを作ってポーション瓶に入れる。

 結果、俺のは最上級。もう、ずっと最上級で、検証はもういいんじゃないかと思えるんだけれど、他の三人が同じ手順で最上級を叩き出せればそれで終了らしい。

 タビーとルーンは精霊の契約者だからなのか品質が上がってきてるみたいだった。

 俺と師匠も契約者だから、あとはチャロとアリファーンに……アリファーンも、チーがいるから普通の人じゃないんだよね。

 師匠の研究室、普通の人いないんじゃない?


 三人の作ったポーションの品質が安定するようにならないとブレが出るとか何とかで、もう少しかかるということだった。

「ポーションって、こういう風に作るんですね」

「作業が細かいんですね」

 ケンダルとマルコムは感心したように言いながら、じっとポーション瓶を見つめる。

「師……ヴァンデラー先生、二人はちゃんと契約したの?」

 つい気になって聞いてしまった。

「まだだ」

「え?」

 三人から声が上がった。


「どういうことですか? まず契約をって言って相当な金額取られましたよね」

 アリファーンが師匠に詰め寄る。

「そうですよ! 助手代から差っ引くって、実際差っ引かれてましたよ!」

 タビーも詰め寄る。

「わ、私もです!」

 ちょっと涙目なルーンも詰め寄る。

「何かある度差っ引かれてる!」

 思わず俺も詰め寄る。そもそも助手代、俺のポーション代からなんだけど!

 師匠はみんなから視線を逸らした。

 ケンダルとマルコムはぽかんとして見ていた。

「わかった」

 師匠は観念したらしい。


「というわけで」

「何がというわけなんですか?」

「全然わかってないんですけど」

 ケンダルとマルコムから物言いが入った。

「あー。まず魔法契約を交わさないといけないというところを、飛ばしてしまったわけだが」

「魔法契約?」

 二人が揃って首を傾げる。

「守秘義務を明文化したものを守りますとサインすればいいだけなんだが」

 師匠が魔法契約書を二枚出す。俺には見慣れた契約書だけれど、普通、そうそう目にするわけないはずなんだよね。

「ヴァンデラー先生、きちんと説明してあげてください」

 アリファーンが厳しい。

 王家もいろいろ師匠にぼったくられているからなあ。

 え、俺のせい?

 まさか、そんな。


「この契約書は非常に高い。金貨一枚だ。君たちの負担になる」

 ケンダルとマルコムがぽかんと口を開けて絶句した。

「そうだよな。これが普通の反応だよな。俺たち慣れすぎじゃないか?」

 タビーが突っ込んだ。

「誰のせいというわけではないんでしょうけれど、そうですね」

 ルーンが苦笑する。

「もちろんすぐ払えというわけじゃない。払う助手代と作ったポーションは売れるからその代金から引かせてもらう」

 周りの突込みに苦い顔をしながら師匠が二人に言った。

「そう、なんですね」

「よかった。僕たちお小遣いもそんなになくて」

 胸をなでおろす二人。

「ケンダルは伯爵家じゃないの?」

 そんなにオーア王国の貴族は貧困にあえいでるの?


「昔はそこそこ裕福だったらしいんですが不作が続いていて。オリーブの木も葡萄の木も立ち枯れや虫害が多く出てしまって、油もワインも打撃を受けてしまっています」

 ケンダルは肩を落として呟いた。

「うちの領も同じ状況で。蓄えもいつ尽きるかという状況なんです。一応中央と寄親に援助は求めているらしいんですけれど、寄親の状況も同じようなんです」

 マルコムはお手上げというように肩を竦める。

「王族の直轄地はまだそれほど、不作から立ち直ってはいないんだ。豊作はルヴェールだけで、デュシス侯爵領近辺が少し盛り返してきたという状況なんだよ」

 アリファーンはちらっと俺の方を見た。ルヴェールは神業農業師のラントのおかげじゃないかなと思うんだけど。


「わかった。ポーションをたくさん作れば、儲かるぞ。経費は差っ引くが」

 師匠の言葉に二人は目を輝かせた。

「契約します!」

「僕もします!」

 なんだか見覚えのある風景と思ったけれど、気のせいだよな。きっと。


(みんな守銭奴?)

 ラヴァの声が頭に響いた。

次の投稿は明日になります。


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