第251話 ポーションの品質
評価、ブクマありがとうございます!
冬の休暇前の試験は無事終了。タビーは何とか上位に食い込んだようだ。もちろん俺も上位。座学は記憶術スキルの活用で、だいぶ楽になった。苦手なのは剣術、ダンス、乗馬だ。
貴族の必須技能が平均よりちょっと下なんだけど、どうしよう。
俺の才能のリソースはガラスがほぼ占領しているんだ。そう考えよう!
試験が終わった日以降、たまにルーンはうちに来る。
精霊のユーグがこの屋敷の居心地がいいというのと、精霊王に感謝を捧げたいとルーンは真剣に祈りに来ている。
寮住まいなので、結界に引っかからないところにある街路樹にユーグは普段いて、通いの学院生が馬車で帰る時間に魔力補給しているという話だ。不便だな。
でも、寮でも生活費がいっぱいいっぱいらしいから、寮を出るのは難しいだろうな。
「この屋敷は精霊がいっぱいいますね」
特に庭にはたくさんいるので、ユーグが楽しそうだと目を細めた。今、ユーグは庭の草花の精霊と友好を深めているらしい。
「でも、冬に元気な植物は種類が少ないから、庭はちょっと寂しくなるよ」
「その代わり雪の精霊とか、冬にしか現れない精霊が来そうですよ」
「そう言えばそうか。小さい精霊は区別できるほど、凝視したことはないからなあ」
「エルフにはここは聖地に見えますよ」
「エルフの里から遠くてよかった!」
押しかけられたら大変だ!
「人族が多いところには基本エルフは来たがりませんよ。あの時は例外でしたし、かなりお仕置になったようで、父に出した手紙の返事が王国の人族にかなり気を使った書き方になってましたよ。それとルオのご機嫌伺いしてきました」
「はい?」
「精霊の愛し子はエルフにとっても、精霊王様に等しいくらい崇める存在なんですよ」
「え、そ、それは勘弁して」
五体投地のエルフはもう見たくないよ!
「大丈夫です。嫌われてるから来るなって書いておきました。そもそも、契約で縛られてるから大丈夫ですよ」
「あ、うん」
「大人しくポーション作って金を稼げばいいんですよ。ほんとに」
あ、ルーンの目から光が消えた。
「そうだね。ルーンのポーション、品質上がってきたしね!」
「ユーグと契約してからかなり変わってきました」
「なんだって?」
いきなり師匠の声が背後から!
「そこの条件付けしてなかったぞ。あー、そうすると、アリファーンも条件が変わってるかもしれないな」
俺とルーンは振り返って師匠を見つめる。研究者モードだ。
「よし、精霊と契約してない学院生も入れよう」
ぽんと師匠が手を打つ。
「争奪戦になりますよ! ヴァンデラー先生!」
「アリフがいるのに、下手な学院生入れられないでしょ?」
「そうだった。うーん、ちょっと考えておく。ルーン、夕食は食べていくか?」
あ、それを聞きに来たのか。
「食べたいです!」
「食べたら送っていくから安心しろ」
「はい!」
ルーンは夕食に舌鼓を打って帰っていった。
次の日、研究室で、師匠はデータとにらめっこしている。
「どうしたんだ? ヴァンデラー先生」
タビーが俺に訊いてくる。
「実はね。ルーンのポーション作製結果に疑義が生じて」
「え、普通に作っていただろ?」
「それがですね。昨日、ポーションの品質向上が、ユーグとの契約にあるのではないかと言ってしまいまして」
ルーンがこそっと言ってきた。
「え、そうだったのか。私はあまり変わらないのだけど」
アリファーンが肩のチーを見ながら言った。
「チーは……精霊じゃないから、かな?」
『仲間外れかい!?』
俺がぼそっと言うとチーがすかさず突っ込んできた!
「チー、誰もそういうことは言ってないから、興奮しない」
指先でチーの頭をアリファーンが撫でると、チーは蕩けた顔になった。
文鳥か。
「まあ、それはともかく、僕もタビーも契約者だし、師匠もだからね」
みんなで頷いた。
「よし。やっぱり新人を入れよう」
師匠が言いきった。
「とりあえず、全く知らない新人は入れないから安心しろ」
ほんとに?
「新しい研究生だ」
「よ、よろしくお願いします。ケンダル・メリーディエースです」
「よろしくお願いします。マルコム・マルティネーズです」
ケンダルは物凄く緊張していて、そんなケンダルをマルコムは苦笑してみていた。
いや、確かに全く知らないわけじゃないけど!!
そう来るか、師匠!
次の投稿は明日になります。次回からは一日一話更新になります。
12時半を予定しています。
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