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第248話 ガラス作りは楽しいね!

評価、ブクマありがとうございます!

 合同演習の結果が渡された。

 6組は6番目の成績、ということで、序列的にはBクラスで一番ということになる。

「前回が良すぎたってことだな」

 タビーが成績表を見て言う。

「ダンジョンに散らばった学院生全員の成績つけるのってすごく大変じゃないかと思うし、魔物との出会いは運があるから仕方ないよね。僕、罠にかかったし」

「ああ、無事でよかった」

「心配かけてごめんね」

「それはもういいよ」

 タビーが反射的に謝った俺に両手を横に振る。

 ほんとにね。あの時は色々あったよね。貰った成績の紙を手に遠い目になる。

 一大イベントが終わり、二年目は単位獲得に向け、クラスのみんなも忙しくなっていく。

 研究室でアリファーンとルーンも混ざってそれぞれの選択科目や必修科目でわからないことを教え合ったりした。


 そうして本格的に秋の気配が深まって、やっと一日手が空いた日。

「ガラスの作製を行います!」

(行います!)

 ラヴァが前足をピッと上げて俺の真似をする。

 可愛い。

「ラヴァはいつものようにガラスを溶かすのを任せるね!」

(わかった。頑張る)

 ぴょんと薪の上に陣取って炎を体から噴きだすラヴァ。

 すぐにぱちぱちと音がして火がついて薪が燃え出す。俺は材料を用意して錬金釜に入れ、炉にセット。

 材料が溶けていくのを確認して、道具を用意する。


 今回は師匠のプレゼントを作るのがメイン。

 ペンダントライトを作ろうと思ったんだけど、ライトの基礎部分の魔道具がないんだよね。ほんとは付与魔法を教えてもらって、自作したかったんだけど、色々あったしなあ。

 師匠に喜んでもらえるガラス製品……。

 俺は部屋の中をうろうろ歩き回る。

(主、溶けた~!)

「ありがとう」

 俺は錬金釜の中を覗き込む。ドロドロに溶けた赤い溶岩のような状態のガラス。

「抽出」

 透明にするためのひと手間を施して、吹き竿を手にした。先端に溶けたガラスを水飴を掬い取るように巻きつける。

「とりあえず管ガラスを……」

 管ガラス?

「そう言えば試験管って見ない」

 師匠の錬金工房の作業部屋には銅製の器具はたくさん見たけれど、ガラス製はなかった。前世の錬金術と言えばフラスコなんかがすぐイメージされるけれど、ガラスは高価だし、ホウケイ酸ガラスでないと、熱で割れるからね。

 銅製なら比較的化学変化はしにくいからなのかな。

「そうだ! 実験用具を作ろう!」

 前世で見た、化学実験用の器具だ! 師匠の作業部屋にある銅製の器具と同じ物も作ろう。

 前世で、試しに作った事はあるけれど、専門じゃないからなあ。

 土瓶も耐熱のガラスの土瓶にするといいかもしれない。

 普通にティーポットでも……。

 ああ、楽しいなあ……。


「で、作りすぎた?」

「はい……」

 夢中になって作っていたら師匠に迎えに来られてしまった。

 とりあえず徐冷庫にすべてしまったけど、贈る前に見られちゃったなあ。

「まあ、いい。夕食の時間だ。明日詳しく聞かせてもらおう」

「はい」

「最近、ガラスを弄ってなかったから仕方ないとはいえ、寝食を忘れるのは問題だな。と言っても、鐘の音にも気づかないとなるとな」

 師匠が悩んでいる。

「ごめんなさい」

「怒ってないぞ。前も言ったと思うが、夢中になりすぎるなってことだ」

 そう言って、頭をぐしゃぐしゃと撫でまわされる。

 もう、幼児じゃないんだけどなあ、

 髪は乱れるけれど、師匠に撫でられるのってくすぐったくてあったかい気持ちになるんだよな。


 翌日、徐冷庫から作ったガラスの数々を並べて、師匠に見せた。

「師匠の錬金術の道具を、ガラスで作ってみたんだ。これは土瓶の代わり。派生でティーポット。これは試験管ね。色がわかるから、薬品の反応を調べる時に便利だと思うんだ。液体を入れてこう振ったりするとすぐ混ざるでしょ」

「これは……」

「こっちのフラスコや土瓶も耐熱だから、直接火にかけてもよほど高温じゃない限り割れないはずだよ」

「待て待て」

 師匠は顎に手を置きつつ、じいっと実験器具を眺めている。

 目を閉じて唸った後、顔を天井に向けてまた唸る。

 顔を戻してくわっと目を開けた。

「特許だ」

「えええ~~~~」

「大丈夫だ。献上案件じゃない」

「実験器具はもとからあったじゃない?」

「この試験管は初だと思うぞ」

 試験管だったか!

「でも、これ、師匠に喜んでもらおうと思って作ったんだよね」

「ん?」

「誕生日プレゼント……」

「あ……」

「見つかっちゃったけど、使ってもらえたら、嬉しいなって……」

「あー……ありがとうな。でもとりあえずこれに署名を……」

 その日、作ったすべてのガラス作品を特許申請した。

 ティーポットはお茶の時に使ってもらうことにした。色がわかるので好評だった。


「土瓶だと色の変化はわかりにくいがこれなら……」

 師匠がポーション作りにガラスの土瓶を使ってポーションの色変化を研究し始めた。

「味も、ガラス製の方がまろやかに感じるが、何故だ」

 ぶつぶつ言いながら、手も動いてるのはさすがだ。

「ルオ、ガラス製と従来型の土瓶で比較実験をするぞ!」

 自分で課題増やしちゃったよ!! そんなつもりじゃなかったのに!

 でも、師匠が楽しそうだからいいか。

次の投稿は18時になります。


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