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第247話 合同演習が終わって(二年目)

評価、ブクマありがとうございます!

「ケンダル、マルコム疲れは取れたかな?」

 コスティが二人に声をかける。

「ぐっすり眠ったので何とかなりました」

「僕もです」

「去年は休みがあったのに、なぜ今年はなかったんだろう」

 ぼそっと俺が呟くとコスティとヤニスは苦笑した。

「去年はイレギュラーがあって、調査とかをしていたせいだよ」

 コスティが言うとヤニスも苦笑している。

 そうだった特大のハプニングがあった。あの時も師匠が解決してたな。

 さすが師匠!

 さす師?


「さてレポートだけど、野営とダンジョンは別にしようと思ってこういう感じの構成にしよう」

 コスティ主導で、それぞれの担当を決めて内容を考えて書き、それを組み合わせて、推敲していく。わいわい意見を出し合う場面もあって、それぞれの考え方に感心したり首をひねったりした。

 ダンジョンで罠にはまってしまったことが俺の最大の事件なので、そこは注意を促せるような書き方にした。ケンダルも、気絶してしまったことを後悔しているので、ハプニングにも冷静に対処できるように気をつけたいって書いていた。

 あれは上位存在のやらかしなので、めったにないと思う。

 でもケンダルは呪いを背負っているから今後も気をつけないといけないとは思う。


「よし、この方向でまとめるよ。提出する前にみんなには読んでもらって確認を取るからね。もう時間だし、これで解散だ」

 コスティがレポートをまとめてくれるということで、その日は解散。

 明日、空き教室に集まって確認後、学院に提出だそうだ。

 合同演習の成績はそのレポートを加味して採点だった!

 もしかしたらダンジョンでうまくいかなかった組の救済措置だったりするのかな。


 翌日、コスティがまとめたレポートを読んだ。すっごく綺麗にまとまっていた。さすが先輩!

 こういうレポートは一種才能がないと、上手く書けないと思うんだよね。

 あ、レポートで思い出した。論文を書かないといけないんだった。

 今から書く練習をしないとダメだよな。錬金術師は特許取る時もいろいろな書類も書かないとダメだし。事務処理能力もたくさん必要だ。

「なんだ、ルオ、目が渦巻きになっているぞ」

「タビー、他人事じゃないんだよ! 研究室はあと一年くらいで研究成果を論文として書かないといけない作業があるんだよ!」

「あ!」

「コスティ先輩のようにまとめる能力がいるんだよ!」

「ぶ、文官スキルをこれから獲得できれば……」

「論文を書いたら獲得できるかも?」

「ああ!!」

 タビーが絶望して頭を抱えた。


「ともかく、師匠の研究室に行こう」

「そうだな。しばらくポーション作ってないし」

 タビーもポーション作りたくなってる? あれ、不思議だよね。しばらく作らないと無性に作りたくなるんだ。

 研究室の扉をノックすると、ルーンの声が聞こえた。

「お邪魔します」

「お邪魔します!」

 部屋に入るとアリファーンとルーンがいた。

「やあ、久しぶり」

『久しぶりやで!』

「久しぶりです」

 チーもいた。

(久しぶり!)

 ラヴァがぴょんとテーブルにダイブした。チーもテーブルにいたので、近づいていく。

 そして追いかけっこが始まった。とりあえずチーはラヴァに任せよう。

「久しぶりだね!」

「おう! 久しぶり!」

 いつもの席にタビーと一緒に腰を下ろす。


「なんだか、大変な目に遭ったって聞いてるけれど、どこも怪我とかはしていないようでよかったよ」

「ありがとう。アリフが師匠に救出に向かってくれって言ったんでしょ。本当助かった」

「どういたしまして。ダンジョンにいた中で、ヴァンデラー先生が一番、力があったしね。人命には代えられないものね」

「ほんとありがとうな」

 タビーもアリファーンにお礼を言う。

「まあ、助けたのはヴァンデラー先生だけどね」

 くすっとアリファーンが笑うと、扉が開いて師匠が入ってきた。

「おう、俺がどうした?」

 噂をすれば影って奴だね。

「僕を助けてくれてありがとうって話だよ」

「おお? そうか。まあ、大事にならないでよかったよ」

 師匠は笑って、奥に引っ込んで、お茶を淹れて戻ってきた。師匠はこういうところ、気が利くよね。


「みんな無事でよかった。さて、研究の実証実験を再開しよう」

 師匠が紅茶をみんなに勧めて飲んでると、紙を渡された。

「そこに、これからの予定をまとめておいた。やることはポーション作り一択だが、論文を書くにあたって気をつけないといけない事がまとめてある。それと、メモは木板を使うが、記録は和紙でとる」

「和紙ですか」

 アリファーンが予定を書いた和紙を見る。

「普及という意味でもな。学院で使う量も増えてるしな。学院側がまとめ買いして、そこそこ在庫があるんだよ。それを今年の予算で分捕ってきた」

「さす師!」

 思わず呟いてしまった!

「ん?」

 師匠が怪訝な顔をして俺を見る。

「さすが師匠だなって」

「おう、敬うのはいいことだ」

 そこで師匠は謙遜はしないんだよね。さすがだ。

「まあ、ともかくポーション作りだ。小遣い稼ぎだと思って頑張れ」

「はい!」

 一斉に返事をした俺たちの心が一つになった。小遣い!

次の投稿は明日になります。


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