第241話 合同演習の始まり(二年目)(三)
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第二階層でも順調に進み、特に苦戦することなく地図が埋まっていく。
「ここで休憩するよ!」
コスティの言葉を受けて広場のようになっている場所で休憩にした。
俺が水筒の水を飲んでいるとケンダルが話しかけてきた。
「ルヴェール先輩は剣は使わないんですか?」
「剣はダメダメなんだよね」
「……ダメダメ?」
「結構小さい頃から修練してるのに一向に上手くならないんだよね」
「そういえば前に短剣の方が得意だと?」
「そう、短剣術はすぐスキルが生えたのに、剣術はスキルが生えない。才能ないと思う」
「え、スキルがないから得意じゃないってことですか?」
「え、そうじゃないの?」
俺とケンダルは顔を見合わせた。
「確かにルオは剣術はそこそこだけど、そこら辺の冒険者より強いぞ」
「タビー」
「ルオの回り、達人級な大人しかいないから、ちょっと、常識レベルがおかしいかもしれない」
「え、どういうこと?」
「どういうことって、そのまんまの意味だよ」
タビーがいきなりディスってきた!! そしてそのままコスティたちの方に戻ってしまう。え、言いっぱなし?
「えーとルヴェール先輩は結局魔法も剣も上手いってことですか?」
ケンダルが困惑した顔をしている。
「魔法の方が得意だよ。うちの母、魔法師だから鍛えられた」
ちょっと遠い目になったのは仕方ないよね。
魔法師と聞いて、ケンダルの肩がビクリと震えた。
「そうなんですか。魔法の師はお母様ですか?」
あれ? なんとなく表情が暗くなった。
「うん。とっても感覚派の厳しい人なんだ」
思わず遠い目になった。
「僕の家族に魔法が得意な人はいなくて、ちょっと羨ましいです」
「剣の方なんだね」
「ちょっと違いますが、そんな感じです。すぐ上の兄は剣士なので剣は兄に教わりました」
「おお、剣士か! かっこいいね!」
「はい。ただ、教わり始めてすぐ学院に行ってしまってそれから騎士学院に行ってしまったので、直接教わったのは少しの間なのですが」
「そうなんだ。うちは父が剣を教えてくれて、あとは家令のローワンとか、騎士からかな?」
「父は領政が忙しくてとても……」
あれ? 大人から教えてもらってないのかな? ケンダルの家は伯爵だし、領軍くらい持ってそうなんだけれど。
「あの……ヴァンデラー先生ってどんな方なんですか? 噂で凄い賢者って話しか聞いたことなくて。まだ初級魔法から抜け出せてないのでお会いしたことはないんですけど」
「ヴァンデラー先生? うーん、凄い錬金術師でイケメン? あと優しくて面倒見がいいけど守銭奴、かな?」
あとお酒が好きなのは言わなくていいかな?
「優しくて、面倒見がいいんですね……守銭奴?」
あ、頬染めた。もしかしてすっごく師匠に憧れてるとか? 首傾げた仕草が可愛いな。先輩って呼ばれるとなんとなく嬉しいし!
『い、愛し子、何故、呪い子が側に?』
え、ダンジョンの精霊さん? 呪い子?
(呪い子?)
『魔法神様の神罰の印が見えるよ。怖いぃ』
(魔法神様?)
『そうだよぉ。魔法神様の神気がすごくて……魔法神様の愛し子がいる時も感じたけど……あ、今日もいる。怖い』
(師匠もいるのは学院の先生してるから……)
『そうじゃないよう。魔法神様の神気が……』
『余計なことを言うな。精霊よ』
あの時の声! やっぱりラヴァの言うように魔法神の声だったんだ!
『ひいいぃ』
ダンジョンの精霊さんの悲鳴が頭に響く。なにか、魔法神がしてるの?
「よし、出発しよう!」
コスティの言葉にみんなが立ち上がる。
『許せぬな。警告はしたのだぞ』
その声がした途端、足の下の地面が消えた。俺とケンダルが床に大きく開いた穴に落ちてしまった。
「ルオ!」
「ケンダル!」
俺たちを呼ぶ声がどんどん小さくなっていく。
穴の底が見えない。
ケンダルは魔法が使えない。
このまま落ちたら死ぬ!
こういう場合は風?
風が、下から吹き上げる感じ!
「風よ! 舞い上がれ!」
吹き上げる風に落下速度が落ちた。
(ラヴァ、ケンダルを俺の手の届くところまで引っ張ってこれる?)
(それならできるよ!)
ラヴァが俺の肩からケンダルに向かって飛ぶ。
ケンダルは気絶してるようだった。
ちょっと大きくなったラヴァがケンダルの服を口で引っ張ってきた。
「ラヴァ、ありがとう!」
(ふふ)
ラヴァは嬉しそうにすると今度は俺の頭の上に陣取った。俺はケンダルの腕を肩に回して腰に手を回した。
まだ落下するのか?
風の魔法を何度か発動して、落下速度を緩める。しばらくすると、地面らしきものが見えてきた。
体を起こして、足で着地できるようにする。
風の魔法を、足の下でホバリングするように発生させて、地面に降りた。
「はあ、なんとか、無事に降りられた」
俺は上を見上げた。暗くて見えない。
「ライト」
ぱっと浮かんだ光の塊を天井の方に向けて移動させると落ちてきたはずの穴が無くなっていた。
ぐるりと周りを見るとドーム状の天井に平らな地面。壁は岩肌で、通ってきたダンジョンの壁。
問題はどこにも出口がないってことだ。
「うわー、これ、閉じ込められた?」
(閉じ込められた?)
ダンジョンの精霊さんがこんなことするとは思えないからあの声の仕業だろうなあ。
「一体何なんだよ」
とりあえず、重いからケンダルを降ろすか。
ケンダルが神罰を受けてるなんてパワーワードをダンジョンの精霊さんが言ったけど、どういうことなんだろう。
次の投稿は明日になります。
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