第239話 合同演習の始まり(二年目)
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師匠は疲れ切った顔で寝室に消えていった。
俺も寝る支度をしてベッドへとダイブした。
「ダンジョンて凄いんだね」
(ダンジョン凄い……)
あれ? ラヴァが不機嫌そう。
ラヴァの鼻先を指でちょんちょんとつつく。
「ダンジョンの精霊さんは凄いけど、ラヴァは僕の相棒だからね」
(主)
「特別だよ?」
(主! 僕も主が特別!)
「ありがとう。ガラスを作るのにはラヴァの力が必要だしね。頼りにしてるんだよ」
(うん! 嬉しい。僕、頑張るね!)
「じゃあ、寝ようか?」
(おやすみ、主)
「おやすみラヴァ」
疲れていたようで、すぐに眠りに落ちた。
◇◆◇
明日は合同演習、最後の連携訓練と物資確認をする。学院側に提出していた魔道具や準備の品が戻ってきたからだ。
チェックリストをチェックしていくのはリーダーのコスティ。
「この結界の魔道具はルオのだったよね」
「そうです」
コスティから俺の手に戻された。ショルダー型の袋に入れる。これはマジックバッグじゃない。普通の背負い袋だ。
この結界の魔道具は【一人用結界バージョンⅣ】。防具の代わりだ。革鎧の胸当てくらいの装備の俺は防御力をこれで上げる。
師匠が去年のバージョンⅢから改良してくれたものだ。
Ⅲはルーン除けが入っていたらしい。その機能を外して、状態異常無効と攻撃を弾く機能が付いていると説明された。
ペンダント型なので上着の内側につけていれば落とすこともないのだ!
ちなみに特許を取っているらしい。
え、これおいくら? 壊したら弁償させられたりしないよね?
今更不安になる。
「それ、ヴァンデラー先生の作った魔道具?」
タビーが聞いてくる。
「うん。そう師匠が持っていけって」
「過保護。過保護だよ! そもそも、ルオは魔法使えば上層は敵がいないだろ? ラヴァもいるし」
「え、そうかな?」
ラヴァは呼んだ? とばかりにタビーの肩に飛び乗った。タビーがラヴァを撫でる。
「あー自覚ないなあ」
タビーが呆れたように言う。ラヴァもじっと主は強いよねって顔で見ている。
「あの……」
声に振り返るとケンダルだった。
「ヴァンデラー先生って中級魔法の講義を受け持っている錬金術師で、賢者の……」
ケンダルはおずおずとした様子で聞いてくる。
「そう、その【放浪の賢者】のヴァンデラー先生。俺たち研究生なんだ。ヴァンデラー先生の研究室の」
「そう言えば前に、聞いた気がします!」
ケンダルが身を乗り出してきた。
あれだ。
ルーンが精霊のことになると興奮するのと似ている。
「そうだよ。ルオもだ」
「うん。後二人、研究生はいるけどね」
「ぼ、僕も希望したら、なれますかね」
キラキラした目で遠慮がちに言うケンダルを見て、ケンダルは師匠に憧れているのかもと思った。
「そこは先生次第だと思うな。とりあえず単位を取りまくって中級魔法まで進んで、ヴァンデラー先生に直接お願いしてから、だな」
うーんと唸りながらタビーが答える。
そう、俺たちはコネだから!
「……僕、魔法は身体強化しかできないので、それは難しいですね……」
がっくりと肩を落としたケンダルはコスティから呼ばれて物資を受け取りに行った。
「生活魔法が使えればポーションは作れるけどなあ。実際、全部の生活魔法が使えるのが初級単位取得条件だろ?」
俺は去年のことを思い出した。
「あ、そうだった。ケンダルは生活魔法は使えるって言ってたよね?」
「言ってた気がする。あ、ルオ、ポーション……」
コスティが俺たちを呼んでいた。
そしてとうとう合同演習の日。
森の入口からやや離れた広場に学院の受付が設営されていた。
そこで、出欠のための点呼をし、時間になったら、演習開始になる。
「まずは拠点づくりだ。森に行くぞ」
コスティがテントの入った大きな荷物を背負いながら言う。
「早くこれを降ろしたい」
「そっちが本音だな!」
ヤニスがコスティが漏らした弱音に突っ込んだ。
「今回も番号順にスタートだ。そこは変わらないな」
「早めでよかった」
コスティの後にヤニスが呟いた。この二人息の合ったコンビだな。
「六組、間もなくスタートだ」
出発を管理する講師に声をかけられて、スタート地点に向かう。
「六組スタートだ!」
俺たちはいっせいに森を目指して駆け出した。
次の投稿は明日になります。
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