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第238話 師匠に相談!

評価、ブクマありがとうございます!

 帰って師匠に突撃した。

 書類に埋もれていた。

「あー、夕食後にな」

 師匠は休みも休めないんだな。


 夕食には師匠は遅れてやってきて、早送りのように夕食を食べていた。

 消化に悪いなあと思いながら俺も残りの夕食を平らげた。


 居間に移動して、紅茶を一口飲んだ。

「森で何かあったのか?」

「その、森の空気が悪く感じたのと、多分、光神教の神官だと思うんだけど、森で浄化をしてたのを精霊の目を借りていた時、見たんだ」

「光神教の神官? 浄化か。まあ、通常業務だろうな。浄化や治療は彼ら神職の収入源だ。なにもおかしなことは……」

「浄化してたのに、浄化にならないで瘴気になってたんだ。おまけにその瘴気はダンジョンに吸い込まれていて……」

「は?」

「師匠、僕もそう思ったよ!」

「……あー……わかった。そうだな。今から行くか」

「今から? どこに?」

「北の森だ。とりあえず、冒険者の恰好に着替えて玄関にこい」

「ええ? 真っ暗だよ!?」

「合同演習までもう休みの日はないんだ。それに日が経ったら状況が変わるだろう?」

「……はい。すぐ着替えてくる」

(森? 行くの?)

 ラヴァが首を傾げる。

(え、私もかしら?)

 カルヴァも首を傾げた。

「そうだ。森に行く。もちろんカルヴァにもついてきて欲しい」

(わかったわ! 主)

(主、森行くの!)

 カルヴァとラヴァが張り切った。


 着替えて玄関に向かうとフル装備な師匠がいた。しかもレカルの里で着ていたマント姿だ。

「よし、行くぞ。掴れ」

 差し出された師匠の手を握ると次の瞬間、もう北の森に来ていた。

「え?」

 まさか、転移を使うとは思わなかった。

「確かに少し空気が淀んでる気がするな」

 師匠は森の中へと歩き出した。俺はその横を歩く。

「ルオは光神教のことはどのくらい知っている?」

「師匠が教えてくれたことしか知らない。ルヴェールには教会がなかったし、王都に来ても行ったことないから。この国で一番流行っている宗教ってことくらい」

「まあ、そうなんだがな。光神教のあるのは人族の国ばかりで他人種……ドワーフやエルフ、獣人などの国には広まっていない。なぜなら、世界は光の神に作られて、人族の繁栄のため常に見守っていることになっている。不幸になる者は祈りと奉仕が足らないんだそうだ。特に国全体が光神教信徒の聖シリウス皇国では貧するものは信心が足らないとか言われている」

「え? そういう人を救済するのが教会じゃないの?」

「光神教は金を出さないと何もしないし、祝福の儀でさえ、国から金をとっている」

「え、それ、し……」

「何か言ったか?」

「ううん。師匠みたいだとか言ってない!」

「言ってるぞ。俺の指導が足りなかったのはあとで、補完するとして……」

 補完て何!? 何を補完されるの?


「うん、瘴気が発生しているな」

 ぐるりと周囲を見回した師匠は息を吐きながら言う。

「瘴気が発生してるの? それってまずくないの?」

「瘴気が濃いところに精霊は寄り付かなくなる。下手をすると森が枯れる」

 師匠がうーんと唸っていると、風が吹いた。

 淀んでいた空気が風に吹かれて瘴気が押し流されていく。

「瘴気が流れていく方向は、ダンジョンの方だな」

「ダンジョンにはダンジョンの精霊さんがいるのに瘴気が流れ込むって大丈夫なのかな?」

「会いに行くか。掴れ」

 師匠に掴まると次の瞬間には精霊さんの部屋にいた。

『い、愛し子! き、来てくれたの? う、嬉しぃ』

 空中をダッシュしてきた精霊がぴとっと俺の顔に張り付いた。

(あー!! 主は僕の主なの!)

 ラヴァが吼えた。


 ダンジョンの精霊が出してくれたテーブルセットに俺と師匠が座った。

 俺ってダンジョンの精霊にすっごく好かれてる気がする。

「来たのはだな、あー……」

 師匠が言いにくそう。

「あのね。周りの森に瘴気が発生しているみたいで、それがダンジョンにも流れ込んでるから精霊さんが困ってないか、心配になって……」

 俺が言うと、ダンジョンの精霊の隠れている目が大きく見開かれた気がした。

『!!!!!』

 そして空中で固まった。

「せ、精霊さん?」

(なんなの? ダンジョンの精霊がこんなにルオが好きって、おかしくない? 愛し子だから好きなのはわかるけど!)

(僕の主は僕の主なの!!)

『い、愛し子はみんなの愛し子だよぉ? それにダンジョンの役割だから、心配しないでいいよぉ』

「ダンジョンの役割?」

 お茶の代わりに出されたポーション瓶に青くなっていた師匠が顔をあげた。

 エリクサーだからね。

 いいの? 大盤振る舞いじゃない?


『そ、そうだよぉ? 魔素と瘴気の濃さが一定の割合を越えたら、ダンジョンが生まれるんだよぉ。そこで生まれた魔物を人族が討伐すると瘴気が浄化されるんだぁ。その時に瘴気が色々なものに変わるけれど、瘴気の濃さというか、そういうのによって違うんだよぉ』

 師匠が手で目を覆って顔を天井に向ける。

 しばらくそうしていると顔を戻してダンジョンの精霊に向き直った。

「ルヴェールのダンジョンが魔物の暴走(スタンピード)を起こしたのは、まさか……」

『あ、そういう時は、ひ、人族が来てくれなくて、瘴気が浄化しきれずに吐き出された感じかなぁ。僕らも能力の限界はあるんだよぉ。だからできれば頻繁に来て欲しいんだよぉ』

 今度は両手で師匠が顔を覆った。

『このことはぁ、秘密だよぉ。精霊王と魔法神の愛し子だからぁ話したんだよぉ。魔法神の愛し子ぉ』

「……わかった」

『それからぁ、魔法神の愛し子はたまには祈りを捧げたほうがぁ魔法神もぉ喜ぶと思うよぉ』

 師匠は意外なことを言われたような顔をした。


「そういえば、祈りを捧げたことはなかったな」

『だったら、余計にぃして欲しいと思ってるよぉ。しなくても、目をかけてるはずだけどねぇ』

「じゃあ、近いうちに僕と祈りに行くよ。ね、師匠」

「あ、ああ……」

「近いうちにまたダンジョンにお邪魔すると思う。その時は他の人と同じ感じで……」

「うん。わかってるよぉ」

「あ、そうだ。うちの料理長が作ったクッキー置いてくね! ポーションありがとう!」

 俺はインベントリに入っていた、おやつのクッキーをダンジョンの精霊に渡した。

『愛し子ぉ大好きぃ』

「ありがとう」

「話を聞いてくれてありがとうな。今度甘いものが好きなら、色々持ってくるよ。今日は申し訳ないが……」

『いいよぉ魔法神によろしくねぇ』

「ああ、また」

「またね!」

 俺と師匠は転移で地上に戻った。

次の投稿は18時になります。


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