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第237話 北の森

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 学院前でみんなを拾い、北の森までやってきた。

「ではご予定の時間に迎えに参ります」

「うん、ありがとう」

 スピネルは屋敷に戻っていった。


 北の森の入口。

 師匠とダンジョンに来た時と同じでにぎわっている。森の入口に店や冒険者ギルドがある。そこを通ってダンジョンではない森の奥に向かう。

「ギルドの依頼は受ける感じです?」

 コスティに聞いてみた。

「いや、下見と訓練だから、特には。素材が手に入ったら売る感じでいいと思う」

「わかりました」

 みんなが頷いたところで、森に踏み込む。

 去年の合同訓練以来の森。記憶にある森より、若干雰囲気が変わっている。なんだか、少し息苦しい気がする。

 なんでだろう?

 それに少し、視界も悪い。

 ダンジョンより広いし、木々で視界が悪いから、不意打ちが来るかもしれない。


(ラヴァ、目を借りられる?)

(ん~? あんまりいない。それにいやな感じがする)

(精霊が少ないってこと?)

 改めて周りを見ると、輝く精霊の光が少ないのに気付いた。

 タビーの足元を見ると、アームがしがみ付いていた。

 いつもは土の中に半分埋まっているのに。

 精霊がいないのは魔物に荒らされた村の風景を思い出す。

 この息苦しさは精霊がいないせい? でも、去年はこんな感じじゃなかったのに。

 精霊が少ないなら索敵は精度が落ちるな。

(とりあえず、お願いできる精霊に頼んでみてくれる?)

(わかったー!)

 視界が切り替わる。あちこちの精霊に頼んだみたいだけど、それぞれが結構離れている。

 前衛、中衛の四人は慎重に進んでいる。でも中衛の二人は森の中を歩くのに不慣れなようだった。

 前方の木に爪痕が見える。

「コスティ先輩、熊系の魔物の爪痕が前方の木に」

 小声で伝える。

 そうするとコスティ先輩はハンドサインで『魔物、警戒』と注意を促した。


 直接見える範囲では魔物は見えないけれど、タビーの斜め前の茂みから何かが飛び出してきた。

 ホーンラビットだ。

 タビーが小盾で受け止めて弾き返すと、地面に倒れたホーンラビットに矢が刺さる。

 マルコムの矢だ。

 そこへケンダルが飛び出して剣で首を刎ねた。

 見事だ。

 ヤニスが警戒しながら近づき、絶命を確認すると袋へ仕舞う。

 血が零れた地面にタビーが盛土の魔法をかけて隠した。


「うん。連携は問題ないかな? ケンダルもマルコムも魔物討伐は問題ない感じだね」

「ありがとうございます」

「ありがとうございます」

 ケンダルとマルコムが照れた顔をして礼の言葉を述べた。


 それから、何度かホーンラビットやビッグラットなど小型の魔物を倒して行き、野営の候補地につく。

 少し開けた木の間にある広場で、ダンジョンからそれほど離れていない場所だ。

「一応、ここが第一候補だね。ダンジョンに近い方がいいと思ってね」

「通いでダンジョンに行くなら近い方がいい」

 コスティの言葉を補完するようにヤニスが言う。

「じゃあ、帰ろうか。警戒は怠らないで戻ろう」

 コスティが注意を促して、みんなは、はいと頷いた。


(主、変な人いる)

 ラヴァが念話でそういうと、視点が切り替わった。

 神官のような服を着た三人が、何かを唱えている。

『浄化』

 浄化?

 その呪文を唱えた神官らしき人の周りが黒い霞に覆われた。

『まったく、ダンジョンの周りは瘴気が濃いというのは本当であったのだな。ダンジョンは本当に困る。こうして我々が浄化しないといけない』

『いい浄財になるのですからありがたいと思わなくては』

『まったくですな。これも光神様のお導きでしょう。治療院も賑わっていますしね』

『さあ、あと二カ所は回らないといけないのですから、気をつけていきましょう』

『わかりました』

 三人が去った後は黒い霞が濃くなっていたけれど、風が吹いたのか、流れていく。

 見ていた精霊はその流れを追いかけているのか、どんどんと風景が変わっていった。

 そしてダンジョンの入口が見えた。

 そこに黒い霞が流れ込んでいく。

 よく見ると、ダンジョンは黒い霞を吸い込んでいるようだった。


 どういうこと?


「ルオ、大丈夫かい?」

 コスティがぽんと俺の肩を叩いた。

「あ、はい。ちょっと索敵に気を取られました」

「何かいた?」

「いえ、気のせいだったみたいです」

「索敵もいいけれど、近くも警戒してね」

「はい。すみません」

 とりあえず、帰ってからだな。

 師匠に相談だ!!

次の投稿は明日になります。


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