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第229話 ダンジョンでは何が起こるかわからない

評価、ブクマありがとうございます!

リアクションも嬉しいです!

「これは酷い」

 俺の目の前にはチーとラヴァによる蹂躙劇が繰り広げられていた。

『我役に立つ』とチーが言い出したからだ。

(滅ぼしに来てる!?)

 俺の頭の中でダンジョンの精霊の悲鳴が響く。

 どうしてこうなった。


 師匠、俺、タビー、ルーン、アリファーンと、王都ダンジョンにやってきた。そしてカルヴァ、ラヴァ、アーム、ユーグ、チーも一緒に参加する。

 冒険者ギルドカードを出して手続きすると、俺たちはダンジョンへ入った。

 金のスライムは出ないよね?

 宝箱は勘弁だよ?

 俺は最大に警戒しつつ、他の冒険者がいない第一階層を進む。

 陣形は最前列にタビー、アリファーン、その後ろに俺とルーン、殿は師匠だ。


「スライムだ」

 タビーの声にびくりとする。

 思わず確かめたら普通のスライムだった。

 よかった!

 タビーが剣で突くとあっけなく討伐された。あとには小さい魔石だけが残る。

 よかった!

 宝箱じゃない!

 ありがとう! ダンジョンの精霊さん!


 第一階層のスライムをタビーとアリファーンで片づけているとチーがそわそわしだした。

『な、なあ、アリフ』

「どうしたの? チー」

『我が魔物、討伐してもええんやで』

「間に合ってます」

 アリファーンの返しが訪問販売を断る主婦のよう!

『なんでや! 我も役に立ちたいねん! 我はフェニックスやで? 王宮でペット扱いは楽しいんやけど、ちょっと違うんや!』

「楽しいならいいんじゃないか?」

『アリフ~~~』

 すげないアリファーンの返しに涙目になるチーは見かけだけならめっちゃ可愛い。

 ウルウルした目でアリファーンを見つめるチーに根負けしたのかアリファーンは唸った。

「わかった。でも他の冒険者が来たら止めること。いいね?」

(ええ? チーがするなら僕も討伐したい!)

 ああ、ラヴァはチーと仲がいいから……。

「ちょっとならいいよ? 他の人に迷惑はかけないようにね?」

(わかった! 僕頑張るね!)

 ラヴァは俺の肩からアリファーンの肩に飛び移った。


「ルオ、俺は嫌な予感がする」

「師匠、大丈夫だよ。ラヴァは良識があるはずだから」

(そうかしら? チーとはいつも張り合ってあそんでるのよ?)

 カルヴァが師匠の肩の上に座って首を傾げる。

「あ、そういえば従魔がダンジョンで戦っても、大丈夫だよね?」

「それは大丈夫だ。テイマーなどは従魔ありきだからな」

「なら、多少は見られても大丈夫って事かな」

「ああ、多少はな」

 ちらっとアリファーンの両肩に乗っているチーとラヴァを見てほっと息をつく。

『スライムや!』

 チーがスライムを発見するとチーが放った炎の魔法がスライムを焼き尽くした。

 魔石も残らなかった。

「高火力だね。もう少し威力落とそうか?」

 冷静に言えるアリファーンがすごい。

(次は僕だね!)

 スライムが通路に現れるとラヴァが口を開いてかっと火炎放射器のようにブレスを吐いた。

 跡形も残らなかった。

「ラヴァ、もう少し威力落としてね」

(わかった!)


 それから始まる蹂躙劇。

 物足りないと言って第二階層に降りる。

(い、愛し子、魔物多くした方が……い、いい?)

「え?」

 ダンジョンの精霊の声だ!

(そ、そこはあんまり、ま、魔物に遭遇しない階層なの。だから、魔物との戦闘をしたいならって……)

(大丈夫、だと思う)

(そう? 気になってたんだけど、す、すごい神気を愛し子の側から感じるよ。だ、大丈夫かな?)

(あー、チーはフェニックスの分体だからかな?)

(ひぇ!?)

 あれ? ダンジョンの精霊が震えてるのを幻視したよ?

(こ、この国の守護神獣が、何故?)

 頭の中に響く声も震えるんだね。

(滅ぼしに来てる!?)

(大丈夫だよ! 今日は日帰りで、様子見だから!)

 そう言ったけど、サクサク進んでもう第五層。


 集団で向かってくる魔物を瞬殺していくチーとラヴァ。

 二人とも炎系のスキル持ちだから、魔物が燃え尽きて(ついでにドロップ品も燃えて)あとに残らないまま進んでる。

 ちなみにチーとラヴァ以外は全く戦闘をしていない。

 これは、ダンジョンアタックの意味がないんじゃないだろうか?

 従魔が強すぎるとこうなる見本のような気がする。


「これは酷い」

 ダンジョン散歩になりかけているけれど、ダンジョンの中に気になるお店はない。

 師匠が呟いて頭を抱えた。

「ラヴァに戻るよう言う?」

「そうだな。そうしてくれ」

「ラヴァ、もういいよ? 僕にも討伐させてもらえると嬉しいな!」

(わかった~)

 ラヴァはアリファーンの肩から俺の肩へと飛び込んでくる。

「チー。私の訓練にならないから、もうそろそろ交代しよう?」

(まだいけるで? あ、はい、交代するわ~)

 アリフに睨まれたチーも小鳥に戻るみたいだ。

「よし、戻るぞ! 帰りの魔物討伐はルオとルーン中心にな!」

(フェニックスは帰ってくれるんだね!)

 めっちゃ声が明るくなった。

 ダンジョンの精霊に悪いことした。次はチーに大人しくしてもらおう。


 それからは普通に通路を戻った。

 魔物は出てきてたけど、俺の短剣と、ルーンの弓で倒した。たまにアームとユーグも手伝ってくれた。カルヴァは見ているだけだった。

 そして馬車の中で反省会をした。

次の投稿は明日になります。


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