第228話 ガラス~~~~!
評価、ブクマありがとうございます!
おかげでランクインしました!
「兄様、またね!」
「また!」
イオが手を振って別れを惜しんでくれた。
俺も思いっきり手を振る。
その日、両親とイオ、ハンスがルヴェールへ帰っていった。
これで会うのはまた来年の夏になる。
これからハンスはガラスペンをたくさん作ることになったらしい。
王様や王妃様が広めてくれたそうだ。
広告料がガラスペンとは安上がりなんだろうか?
一本おいくらするのかは聞いてないけれど。
当面は高位貴族から注文を受けて行く予定らしい。
階級社会だよなあ。
「師匠、僕、ガラスペン作らなくて大丈夫?」
作りたい。作らせて!
「当分はハンスが頑張るそうだ」
「ええ~」
「ルオは勉強と錬金術で今手いっぱいだろう?」
「それはそうなんだけど」
ガラス……。
しょんぼりと肩を落とした俺の頬をラヴァが舐める。
「売る用のガラスペンではなく、違うのを作った方がいいんじゃないか?」
師匠!
「い、いいの?」
「売る用の物を作らなくていいってことだけで、別にガラス自体を作るのを禁止したわけじゃないぞ? もちろんやるべきことを済ませてからなら特に作ることに関しては問題はない」
「やった!!」
「ただし、食事を忘れたり、睡眠をおろそかにしたり、勉強や修行をさぼったりしたらダメだがな。やることを済ませてから、だぞ?」
「はい!」
よかった! ガラスが作れる!!
(ガラス! 僕も頑張る?)
「もちろんだよ! ラヴァが協力してくれなきゃね」
よーし! ガラス作り頑張ろう!
甘かった。
そうだよ。学院の課題やら研究室のポーション作りやらで普段は何もできない!
休日しかできないよなあ。
「どうした? なんか浮かない顔してるな」
タビーが話しかけてきた。
今は座学の合間の休憩時間だ。
「ガラスを弄りたいのに時間の余裕が……」
「あーそもそも学院の課題やらなんやらで……一番の忙しい原因はヴァンデラー先生の研究だけどな」
「そうだった!! まあ、成果物はお金になるからいいんだけど」
「お金にこだわるのは先生譲りなのか?」
「お金は大事だよ!!」
「それはわかってるけどな。うちも貧乏だし」
「うん。そう! お金がないとガラスも作れないんだよ。材料費高いから」
「ガラスはそもそも貴族もおいそれと買えないがな」
「錬金術で作るのはなかなか難しいし」
「難しいのか? ポーション瓶はバンバン作ってるじゃないか?」
「ポーション瓶はお金になるんだよ。それに中身が透けて見えるからガラスだと思いがちだけど、あれはポーション瓶というものであってガラスじゃないんだ」
「おーい」
「錬金術のスキルって結構癖があって、実際に何度も手で作らないと再現できなかったりするんだよ。師匠は簡単にこなしちゃうから簡単そうに見えるけど、簡単じゃないんだよ?」
思わず声が低くなる。声変わりはまだしてない。
「お、おう?」
「そこ、もう講義が始まるからちゃんと着席しなさい」
座学の先生に怒られた。
「こんにちは。どうしたの? なんか暗い顔してるね」
師匠の研究室に来たらルーンとアリファーンが先に来ていた。
「アリフ、こんにちは。いや、特には」
「こんにちは。ルオの奴、ガラスが作れないからどうもストレスが溜まっているらしい」
「ガラス……」
アリファーンが手に持っている俺の作ったガラスペンに視線を向けた。
「ガラス作る暇が……」
俺は椅子に座るとがっくりとテーブルに顔を伏せた。
「よ、夜帰ってからとかはダメなんです?」
「課題とかがあるしね。炉にくべた火をすぐ落とすなんてもったいなくてできないし」
ラヴァがテーブルに飛び移った。
(僕、頑張るよ?)
俺の頭をツンツンする。鼻先でつついてるのかな?
「ありがとうラヴァ」
手を伸ばしてラヴァの頭を撫でた。
『チチ』
チーが撫でてというように頭をアリファーンの顔に向けた。
「はいはい」
アリファーンがチーの頭を撫でていた!! 前まではスルーしてたのに!
俺とタビーは思わず目を丸くした。
「慣れた」
ちょっと遠い目をしたアリファーンは苦労してるんだと思った。
「お、揃っていたか」
師匠が部屋に入ってきた。持っていた書類やら本などを執務机に置くと俺たちのいるテーブルまで来てて座る。
「ポーションの実験状況のデータは大分溜まった。今日はそれをまとめる作業をしようと思う。合同演習の件だが例年なら3学年合同でチームを組むが、ダンジョンで人数を多く組んでも通路の広さ的に難しい。なので、今どういうチーム分けをするか協議中だ。今回は初めての王都のダンジョン演習だ。初見は避けた方がいい。絶対に。何が起こるかわからんからな。特にルオ」
いきなり指名された! ダンジョンで接待されるのって俺のせいなの?
「え、僕?」
全員が半目で俺を見て頷く。
「えええ~」
酷い。石コロコロは多分、そんなにないはずだよ。
「というわけでみんなが予定の合う休日に王都のダンジョンへ行くつもりだ。俺が引率する」
アリファーンが手を挙げた。
「いいんですか? その、私たちだけで行くんですよね?」
「研究室に入ってる生徒にはその研究室の先生が何らかの手助けをしている。優秀な生徒を失いたくないからな。だから大丈夫だ」
休日がダンジョンで潰れるということが決定した。
ガラス~~~~!
次の投稿は18時になります。
書籍第二巻ドラゴンノベルス様から発売中です!
特典SSペーパー付の店舗様もありますので
公式ページまたは作者のX(@sakuyan_08)をご覧ください。
本日発売のgood!アフタヌーン8号に樺ユキ先生のコミカライズ最新話が
掲載されます!マガポケ、コミックDAYSにも公開されますのでよろしくお願いします!




