第227話 大歓迎
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ダンジョンに行くたびに大歓迎かもしれない。
俺はそう思った。
ふよふよとダンジョンの精霊は空中を漂っていて、ゆっくりと近付いてきた。
表情はフードに隠れて見えないが目らしき光だけは見える。
「こんにちは。ルオだよ。初めまして」
(初めまして! 僕ラヴァ!)
ラヴァも挨拶した。
「言っていいのかわからないが、ルオの師匠だ。初めまして」
『は、初めまして』
恥ずかしそうにもじもじする精霊は可愛い。
可愛いけど、ね。
「ええっとね。歓迎してくれて嬉しいよ。ありがとう」
そう言うとダンジョンの精霊の全身から嬉しい! という感情が溢れた気がした。
俺、そんなに好かれてるんだね。
あんまり自覚なかったけど、これはちょっと考えないとダメかなあ?
『と、とんでもない! い、いつでも歓迎だよぅ』
来る度、金銀銅の宝箱で歓迎されるのか。石コロコロとどっちがマシだろう。
いや、普通にダンジョン探索させてくれるだけでいいんだけど。
「今回で歓迎の気持ちはすっごくわかったから、次に来る時は他の人たちと同じような対応でいいからね?」
『え、歓迎しちゃ、ダメ?』
ガーンという文字が彼の背景に見えるようなほどショックを受けたようだった。
「そ、そういうわけじゃないけど、他の仲間と一緒にダンジョンを探索してる時に僕だけ宝箱が毎回出たら、不公平でしょ? だから、このメンバーじゃないメンバーがいる時は他の冒険者たちのように扱ってほしいの」
『愛し子は偉いね! わかった! そうするね。でも愛し子が師匠とラヴァとだけ来たら歓迎してもいい?』
俺はつい師匠を見てしまった。
師匠はとりあえず頷いておけって顔だった。
「うん」
とりあえず頷いた。
『わ~い! じゃあ、僕も師匠がダンジョンの中で転移魔法使えるようにしておくね!』
ぶわっと金色の光が溢れて俺たちに降り注いだ。
も、って言った、【僕も】って!
ダンジョンの精霊はダンジョンネットワークとか、精霊ネットワークとかで繋がってるんだろうか?
「ありがとう」
師匠がお礼を言った。
『い、いいよぅ。ここは最下層だからね。これでいつも遊びに来られるよ?』
「ありがとう。とりあえず近いうちにまた来るね」
遊びに来なきゃいけないんだ。そっかー。
『待ってるよぅ』
多分にこにこしているだろうダンジョンの精霊が嬉しそうに手を振る。
「では、また。ルオ、ラヴァ、帰るぞ」
「じゃあね!」
(ばいばい)
師匠は俺とラヴァを連れてダンジョンの第一階層へ転移した。誰もいなさそうな所へ転移した。
「ルオ、何とかしろ」
「無理だよ! あんなに好意示されて無下にできる!?」
「出来ないな」
(むり~)
とりあえず、他の人と一緒に潜る時は大丈夫だと思おう。
(それで、すぐ帰ってきたのね)
カルヴァは屋敷に残っていたので、話を聞いてあきれた顔をしていた。
(ダンジョンの精霊、贔屓しすぎよ。じゃあ、今度私が一緒に行ったらどうなるのかしら?)
「そっか、他のメンバーになるのかな?」
「ああ、そうなるか?」
師匠が唸る。
(カルヴァは違うメンバー?)
(いやあね、私と主はいつも一緒なのに)
「持って来た酒樽が心配だから行けないって言ったのはカルヴァだろう?」
(そこは酒精霊のサガだもの。仕方ないわ。美味しくなってるはずだから楽しみにしていなさい)
「お、おお?」
師匠が変な声をあげて嬉しそうな表情を浮かべた。
「師匠、ほんとお酒好きだね」
「ルオも大人になったらわかるぞ」
「えー? 師匠ほどじゃないと思うよ」
(私の作ったお酒はちゃんと大人になったら飲むのよ!)
「うん。大人になったら、絶対ね!」
それはちょっと楽しみにしている。でも、ドワーフさんたちのようにあんなに執着はしないと思うんだ。俺はガラスの方が大切だからね。
「成人なんてすぐだろう。それまで、ちゃんと勉強と修行をしないとな」
「はい!」
(はい!)
ラヴァは返事はしないでもいいんだけどな。可愛い。
(そうなると神業農業師にもっとお酒の材料作ってもらわないとダメね。精霊王様に捧げなきゃいけないし)
そういえば精霊王様もお酒好きだった! 帰ったらまた農場広がってたらどうしよう。
「まあ、ダンジョンはなるようにしかならないだろう」
うん、何が起こるかわからないのがダンジョンだもんね。
ちなみに冒険者ギルドへはドロップ品は買取には出さなかった。滞在時間がすごく少なかったからね。
次の投稿は明日になります。
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