第225話 新学期一日目
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「こんにちは」
ルーンとアリファーンが先に来ていた。
「こんにちは! 元気だった?」
俺はいつもの席に腰を下ろした。
チーはいるけど、ユーグはいないみたい。タビーもアームを連れてきてないから、仕方ないかな。
「ラヴァも元気そうだね」
アリファーンが微笑んで挨拶した。
(僕、元気)
俺の肩から机に飛び降りてピッと前足を上げた。
みんなの口元が緩んだ。
やっぱりラヴァは癒しだな。
『我は? 我も元気なんや! だれも聞いてくれへんのか?』
いや、その、チーはなんとなくお触り禁止っぽいからね。みんながチーから目を逸らした。
(チー元気?)
『あんさんだけやで!』
チーがアリファーンの肩からテーブルに降りてきて涙目でラヴァに訴えた。
(遊ぶ?)
ラヴァとチーが追いかけっこをし始めた。
「チーがラヴァに迷惑かけてすまないね」
「アリファーン……」
なんかアリファーンが保護者に見える。
「アリファーン殿下と言った方がいいんだろう? なんか、ルヴェールで殿下付けてなかったからちょっと違和感ある」
タビーが苦笑していた。お忍びだったからね。敬称はつけなかったんだよね。
「そうだ! 僕も呼び捨ててた!」
いつの間にか殿下とっちゃってたよ!
「このメンバーの他に誰もいないなら別にかまわないよ。あ、あとヴァンデラー先生もね。それにアリファーンは長いからアリフでいいよ」
ええ? 王族を愛称呼び!
『アリフ!!』
すごい勢いでチーが飛んできてアリファーンの顔に飛び付いた。
『我も! アリフ呼びしてええんか!?』
アリファーンはチーの首根っこを摘まんで引き離すとくすっと笑った。
「いいよ」
『!!!!!』
チーの目がハートになった。
(チー、めっちゃ喜んでる)
俺の肩に戻ったラヴァが目を丸くしてチーを見ていた。
それからしばらくして師匠が来た。
「遅れてすまないな。会議が長引いて……」
師匠はなにか資料をたくさん持っていて、それを執務机に置くと俺たちのいるテーブルに来て座った。
「さて、本学年の目標は安定した実験結果のデータと、早期単位取得だ。それと合同演習が北の森にできたダンジョン探索になったのは聞いたか?」
俺たちは全員頷いた。
「調査の結果、第五階層までは初級の魔物が出るくらいで罠もない。その代わりあまりいい稼ぎにはならないということだったが、魔物を討伐する経験を積めるのに適しているということで合同演習に組み込まれた」
アリファーンが手を挙げた。
「なんだ?」
「質問なんですが、今ダンジョンは公開されているということですか?」
「ああ。王都の冒険者ギルドが管理して、冒険者が依頼を受けて潜っている」
タビーが勢い良く手を挙げた。
「じゃあ、ダンジョンに行けるっていうことですか?」
「ああ、冒険者登録をしていればな。行くなら俺が引率する。危ないからな」
ルーンが手を挙げた。
「学院生だということで、何か規制とかは……」
「講義のない日がもちろん原則で、勉学をおろそかにしたり、成績が著しく下がるようなら禁止される」
「そ、そうですか」
タビーとルーンは潜って稼ぎたい派だからなあ。
「この四人で、たまに潜るなら構わんさ。ポーション作りの方が儲かると思うがな」
「はい!」
俺たちは声を揃えて返事をした。
それから師匠は時々、北の森に薬草採取に出かけることも課題にした。
北の森はダンジョンが出来るくらいだから薬草もいっぱいありそうだよね。合同演習の時はあまり見てなかったけれど。
「では、これからポーション作りをする。ちゃんと記録をするように」
それから俺たちはポーション作りとデータを書き残す作業に専念した。
屋敷に戻るともらった授業の予定表を睨みながら講義の予定を組んでいく。
なるべく早く単位を取って、ガラスを作る時間を捻出するんだ。
それとダンジョン。
また、石がコロコロしたり、接待を受けたりするのかな?
「師匠!」
「こんな夜遅くにどうした」
いてもたってもいられず、師匠の部屋に突撃した。
「ダンジョンのことで相談が」
師匠は息を吐いて部屋に招き入れてくれた。
「結界」
部屋全体に結界が張られる。これは防音だ。
「ダンジョンか。大体はわかる。あの事だろう?」
「うん。接待されちゃうのかもってことだよ!」
「あー、うん」
師匠は遠い目をした。
「こっちのダンジョンはしないかもしれないが、された場合魔法契約させないとまずい案件になりそうだな。俺がサポートにつけるかわからないしな」
「そう! 石がたくさんコロコロしたりしても困るよ」
「あー……」
師匠はさらに遠い目をした。
「行っておくか」
「行く?」
「王都のダンジョンだ。確かめよう」
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