第222話 謁見の日(二)
評価、ブクマありがとうございます!
おかげでランクインしました!
待合室を出て、謁見の間に向かう。
謁見の間はいくつかあって格式や案件により使用する部屋が違う。
前にカルヴァを通して見た謁見の間は三番目に高い格式の部屋だった。
今回通された部屋は先ほど待っていた部屋の倍くらい。
扉を入って正面には三段上がったところに椅子が並んでいる。そこから真っ直ぐ敷かれた絨毯の上で跪いて待つ。両親と師匠が最前列、俺とハンスがその後ろだ。
きょろきょろするのはアウトなので見まわしたりはできない。
「国王陛下、王妃殿下、第一王子殿下、第二王子殿下、第一王女殿下、ご入室いたします」
え、フルメンバー?
衣擦れの音がして、人が入ってきたのがわかった。
その衣擦れの音が止んだ。
「面を上げよ」
男の人の声が聞こえた。国王陛下の隣にいる文官の声だと思う。
そうっと頭をあげる。
第一王女だけ、俺は顔を知らない。
大きな豪華な椅子に国王陛下、その右隣に王妃殿下、第一王子殿下、アリファーン。
アリファーンの隣にイオくらいの幼い少女が座っている。少し、そわそわとしているのか視線を動かしている。国王陛下譲りの赤みがかった金髪に王妃殿下譲りの青い目。顔立ちは王妃殿下に似ているのだろうか?
とっても可愛い。
可愛いけど、非常に見覚えがある顔だった。
やっぱり、中央広場で出会った女の子だ。今日もルヴェール染めの水色のドレスを着ている。
水色がとても似合う色だからかな? 青い目だし。
「直答を許すとの仰せである」
国王陛下の左隣に立つ文官がそう言った。いつの間にか父と国王の間に台が置かれ、ガラスペンが並べられていた。
「筆記具とのことだったが……これへ」
「はっ」
国王陛下が文官に合図をすると台の傍にいた男の人が捧げ持って国王陛下に渡した。
「素晴らしい。ガラスがこんな芸術品になるとは……デザインが違うようだが……」
国王陛下は赤いレースガラスのガラスペンと、台に置かれた他のガラスペンを見比べた。
横に立つ文官が頷く。
「ルヴェール子爵、答えよ」
「はっ。陛下の手にありますのが陛下専用のガラスペンでございます。その隣が王妃殿下、第一王子殿下、第二王子殿下、第一王女殿下のそれぞれの専用のガラスペンになります」
「ほう。それぞれにデザインを変えてあるのか」
「はっ」
今度はそれぞれの手元にガラスペンが渡る。
アリファーンが嬉しそうな顔で俺に視線を向けてきた。
照れる。
「職人も連れてきていると聞いたが」
「はい。こちらに。ハンスと申します。我が領のガラス工房の工房主でガラスペンを作成した職人でございます」
「素晴らしい作品であるな」
国王陛下がハンスを見た。ハンスが硬直する。父がこっそり、返答を教えた。
「も、もったいないお言葉……」
ハンスの声がひっくり返っている。
満足そうに国王陛下が頷いて、試し書きをする。
「羽ペンより書き味が滑らかだ。ん? 思ったよりインクが途切れないな。なるほど、この溝にたまっている分、書けるということか」
「はい」
父が頷く。
「これは画期的だな。持った感触もいい。素晴らしい品だ」
「本当ね。この和紙に模様が入っているわ。素敵ね」
「はい。紙を作る段階で組み込むことでこのような紙になります」
「これが羊皮紙との違いね。素晴らしいものをありがとう」
「はっもったいないお言葉でございます」
それからしばらく国王陛下と王妃殿下と父のやり取りが続き、退出する時間になった。
ちらちらと俺を見る王女殿下の視線は感じたが、反応は控えた。
「本日はこれまで!」
頭を再び下げて、国王陛下一家が退出するのを待つ。
ご褒美は王自らが広告塔になることだった。
署名はガラスペンでするそうだ。
全員が出て行った後、献上品も運ばれていった。
「本日は終了でございます。こちらからお帰り下さい」
案内人が扉を開けてくれ、馬車まで案内してくれた。
馬車の扉が閉まると、青い顔のハンスが両手で顔を覆った。
「まさか、国王陛下にお声をかけられるとは!!」
平民が直接ってほぼない事態だよね。慰問とかじゃない限り。
「ハンス、ハンスが作ったガラスペン、使ってくれるんだよ。良かったね」
「畏れ多い!!!!」
あ、これ、しばらく復活できない感じだ。プリュムもおろおろとハンスの頭上を回っている。
「ハンスが頑張ってくれたおかげだ。ありがとう」
父がフォローに入った。
「これから忙しくなるな。休憩はちゃんと取れ」
ハンスの肩を師匠が叩いた。
「が、頑張りますぅ」
情けない声だったが仕事はきっちりするだろう。なんせ、プリュムがついているからね。
「あのー、王女殿下にイオと一緒に市場に行った時に会ったんだけど……多分、お忍びだったと思う。その時はどこかの貴族の女の子かなって思ったけど」
「ウォルトから聞いたあの件のことか」
「女の子の名前教えてもらえなかったからね」
「隠したかったんだろな」
父が眉をよせた。
「まあ、悪いことをしたわけでもない。顔を覚えてるとは限らないから、何かあるまで放っておけばいいだろう」
「はい」
俺とイオにアリファーンからのお茶会の招待状が来た。使者が持ってきたのは謁見の日の夕方だった。
次の投稿は18時になります。
ドラゴンノベルスから書籍第二巻が発売になりました!
本屋さんや通販サイトでご購入いただけると嬉しいです!!
よろしくお願いします!




