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第215話 ダンジョン探索最終日(三)

評価、ブクマありがとうございます!

リアクションも嬉しいです!

「なんだかよくわからないけど、倒したってことでいいんだよな」

 いちばん最初に立ち直ったタビーがみんなに同意を求めた。

「そ、そうですね」

「宝箱の側に魔石が落ちているから倒したんだろう。遺骸がないのが非常に不思議だが、レイスのようなものだったのかもしれないな」

 アリファーンが顎を手で押さえながらじっと魔石と宝箱を見ながら言う。

「とりあえず、宝箱を開けようか」

 罠はないと思うけど、鑑定しよう。


 ダンジョンマスターの贈り物(宝箱)

 愛し子の来訪に浮かれたダンジョンマスターが用意した宝箱。

 罠はもちろんない。


 鑑定さん!! そのテキスト、どういうことなんですか?


「どうしたんだ? 両手をついて。なにかあったのか?」

「な、なんでもない。罠はなさそうだから開けるよ」

 俺は宝箱を開けた。

 閉めた。

「え、なにかあったの?」

 ルーンが首を傾げる。

「変なものが入っていたのか?」

「空だったとか?」

 タビーとアリファーンが畳みかけてくる。

「ええっとそうじゃないんだけど」

 俺は宝箱のふたを開けるとみんなに見せた。

「え、すっごいぎっしり!」

「凄いね!」

「隠し部屋の一回きりの宝箱だからか?」

 宝箱の中には金塊、アダマンタイトの鉱石、ヒヒイロカネの鉱石、ミスリルの鉱石、水晶、他鉱石たくさん、解体によさそうなナイフが4つ入っていた。

 入口にたたずむ師匠が笑いをこらえる顔になっていた。

 宝箱、鑑定したでしょ!

「とりあえず、ポーチに入れとこう」

 宝箱の中身をマジックバッグに入れてふたを閉めると宝箱が消えた。

 魔石も拾って仕舞う。

「よし、みんな出よう」

 師匠が声をかけるとみんなが頷いて裂け目から出た。出ると裂けめはなくなっていた。

「一回きりの隠し部屋?」

「だから宝箱が豪華だったんですね」

「ダンジョンは初めてだからわからないが、結構稀な体験だった、とか」

 タビー、ルーン、アリファーンが興奮して話している。

「みんな、話は控えろ。ここはダンジョンだ。警戒は怠るな」

 師匠がみんなに声をかける。

 そうだ。

 ダンジョンマスターが好意的でも、ダンジョンはダンジョンだ。部屋に行くまでは普通に魔物が襲ってきていた。

 油断したら危険だ。

「はい!」

 声を揃えて返事をする。家に帰るまでがダンジョン探索だ。


 その後は通常通りの探索を行ってダンジョンから出た。

 馬車に乗り込むとみんな疲れたのか早々に眠りに落ちていた。俺も眠気に抗えず短い距離なのに居眠りをしてしまい、屋敷に着くと夕食を取ってすぐに眠ってしまった。


 コンコンとノックの音がした。

(主、起きて)

「ん……?」

 再びコンコンと音がした。誰だろう?

「はい?」

「俺だ。コランダムだ」

「師匠」

 俺はドアを開けた。夜だというのにフードを着ている。

 師匠を部屋に招き入れ、ドアをそっと締めた。

「ダンジョンへ行くから着替えてくれるか?」

「え、いまから?」

「三人がいるとできない話をしに、ダンジョンマスターのところへな」

「すぐ着替えるね!」

 俺の着替えが終わると師匠がそっと手を出した。

「転移して、ダンジョンマスターの部屋に直行だ。今回はいいがこのままダンジョンマスターの歓迎が続くと、ちょっと困る」

「接待プレイのこと?」

「せ……」

 師匠が噴きだした。

「言い得て妙だな」

 師匠の手を俺が握ると、周りが一瞬光って光が収まるとダンジョンマスターのいるところだった。


『愛し子!』

「こんばんは。突然ごめんね。ちょっとお話いい?」

『大歓迎だよ!』

「え、ええとね。今日はありがとう。でもね。もうしないでいいよ?」

『……!!』

 物凄いショック受けた顔した! フードで顔がよくわからないけど、背景に稲妻が走った気がした。

「あ、いやとかそういうんじゃないんだ。僕だけ、特別扱いはしなくていいというか」

「俺からもいいか? ダンジョンでは、危険があることが前提で、自分の力を試しに来ている。冒険者はみんな同じように頑張っている。ルオだけじゃないんだ。ルオは他の頑張っている人たちと同じように頑張りたいんだ。頑張って、貴方のところへきっと来る」

『ここに?』

「うん! 会いに来るよ。でもすぐには来られないからもっと強くなってからね」

「たまにはこうして遊びに来ることもできる。貴方が祝福してくれたからな」

『魔法神の愛し子!! ありがとう!』

「今度ダンジョンに来たら、特別扱いはなしでね」

 俺がお願いするとダンジョンマスターは頷いてくれた。

「採掘ポイントは今までと同じようにお願いするよ」

 ちゃっかり師匠は実益をとった。

『わかった! なるべく早く会いに来てね』

「うん! 宝箱ありがとう!」

『! またね!』

「じゃあ、また」

 師匠が俺を連れて元の部屋に転移した。


「はあ。何とかなったな。だが、まだ懸念がある」

「懸念?」

「他のダンジョンでも同じようなことが起こる可能性だ」

「あ! 違うダンジョンマスターかもってこと?」

「そうだ。まあ、次に行くとしたら王都の新しいダンジョンになりそうだが……」

「そうかも。公開されたらだけど、タビーに引っ張っていかれそう」

「がんばれ。レベル上げをするならダンジョンのほうが効率はいいからな」

「その前にガラスだよ!」

「ガラス……そういえば献上品と言うか、アリファーン殿下へのプレゼントはできたのか?」

「ちょっとデザインに悩んでいて。でももう誕生日が近いから、屋敷に戻ったら、ガラス作らせて!」

「あ……ああ、わかった! 頑張れ!」

 師匠は転移で部屋に帰っていった。


 こうして、ダンジョン探索は無事に終わった。

 無事かな?

次の投稿は明日になります。


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