第212話 ダンジョン探索二日目
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ダンジョン探索二日目。
第二階層に降りる階段までまっすぐ進んだ。
今日も採掘ポイントは主張が激しい。
「もしかして、来なかった分、湧いているとかじゃないか?」
「ええ? まさか……」
ぽろぽろといくつも転がってくる石に呆れた顔をした師匠が俺に問いかける。
もしかして、来なかったことを責められている?
「そ、そんなわけないと思うけど……」
タビーたちが第二階層へと降りていくのを追いかける。
第二階層へ着くと途端に記者会見のフラッシュのような状態になった。
眩しい!
思わずしゃがみこむ。目を開けるとラヴァが心配そうに顔を覗き込んでいた。
(主、大丈夫?)
(大丈夫。ちょっと眩しかっただけ)
「おい、ルオどうした? 大丈夫か?」
「大丈夫。採掘ポイントがあちこちに……」
光ったところに視線を向けて鑑定をすると、一斉に石が転がってきた。
「え?」
さすがに師匠もびっくりした顔をした。俺もだ。
(主、石いっぱい)
(うん。いっぱいだね)
他の冒険者はあたりにいなかったので、収納に仕舞った。
試しに一つ石を鑑定してみた。
鉱石
珪石を少量含む
第二階層出土
項目が増えてる!
「し、師匠……」
師匠に石を見せた。
「鑑定してみて!」
「ん? 珍しい鉱石……」
師匠の口があんぐりと開いた。
「見なかったことに……」
「出来ないよ!」
「うん。そうだな」
師匠が目を逸らしながら俺の頭をぐりぐりと撫でる。
石を返してもらって、収納に仕舞った。
記者会見フラッシュ攻撃は第二階層の通常の通路では起きなかった。
「ルオ、大丈夫か? 顔色が優れないが」
「大丈夫。大丈夫だから」
俺専用の罠かな? 採掘ポイントを追っかけて、奥へ行くとラスボスへの道が開けるとか。
まさか、そんな。
「ルオは一旦帰るか? 第五階層から参加でも構わないぞ?」
「大丈夫。僕は負けない」
「何と戦ってるんだ」
「何とだろう?」
採掘ポイントによる精神攻撃?
俺が採掘ポイントに気を取られていると、いつの間にか先に進んでいる三人の姿が小さくなっていた。
「師匠、だいぶ離れちゃった」
「そうだな、急ぐか」
急ごうと一歩を踏み出すと足元で魔法陣が輝いた。
その瞬間、師匠が腕を掴んで俺を抱き込んだ。
「第二階層だぞ! くそ!」
師匠、言葉遣いが乱れてるよ。
(大丈夫よ!)
カルヴァが励ます声が聞こえた。
俺と師匠、カルヴァとラヴァは転移罠を踏んでしまったのだと、そう思った。
魔法陣の光が収まると洞窟ではない、人造の建築物の中にいた。
「ここはどこだ?」
師匠が俺を離してくれて、周りを見回す。
白い石を切り出して建造した、石造りの部屋だ。
広さは十五平米くらい。照明は見当たらないけれど、明るい。
「どこだろう? こんな部屋、来たことないんだけど」
「俺もだ。他のダンジョンはそこそこ深くまで潜ったことはあるが、見たことはない」
師匠も警戒しつつ、部屋を見回している。
『ここはダンジョンマスター……僕の部屋だよ』
誰もいなかった部屋に小さな影が現れた。
「ダンジョンマスター?」
『愛し子、初めまして。ここまで来てくれると思ってたんだけど、帰ってしまいそうだからあわてて呼んだんだ』
小さな影は俺の目の前に来た。よく見るとフードを被った小人のようだった。彼の周りが陽炎のように揺らめいて見える。
「え? すぐ帰るつもりはなかったけど……ここはダンジョンの中なの?」
『うん。人の言う最下層だね。僕はダンジョンの精霊の一人でこのダンジョンの主なんだ。中の創造や、宝箱とか、魔物の配置とかそういうことをしているんだ』
あ、師匠が頭を抱えてしゃがみこんだ。それを見て、彼は師匠の前に移動する。
『魔法神の愛し子、いつも愛し子を護ってくれてありがとう』
彼がそう言うと光が師匠に降り注いだ。
『通常、ダンジョンの中は人は転移魔法は使えないけど、このダンジョンの中だけ、使えるようにしたよ』
「あ、ありがとうございます」
師匠は戸惑った顔で礼を言った。
『愛し子は転移魔法を覚えたら祝福をするね』
「ありがとう?」
小さな影は照れた顔をしてくるくるあたりを飛び回った。その様子がカルヴァに似ていてついカルヴァを見てしまった。
(なあに?)
「な、なんでもないよ」
俺は顔を横に振った。
「あの、聞いていい?」
『何でも聞いて! 禁忌に触れないことなら答えるよ』
「採掘ポイントが凄くいっぱい光ってたんだけど、君が配置したの?」
『そうだよ! 僕は外の様子知らないから他の精霊に聞いたんだ! 河原でいつも石を拾っているからきっと石が大好きなんだって精霊の間では有名なんだよ! 喜んでもらえると思って愛し子が中にいる間はたくさん石が手に入るように設置したんだよ?』
河原の石拾いがこんなところに影響するとは!
あれ? 師匠の肩が震えてる。それに顔が笑いをこらえてるみたいに唇の端が微妙に上がってる。
「ええと、前に入ったくらいの頻度でお願いしてもいいかな? しばらくは毎日ダンジョンに来るから」
『いいの?』
「うん。無理しないで欲しいし。あとね、下に行くほど、希少な鉱石で採掘ポイントも少なくていいからね?」
『愛し子のお願いなら仕方ないね!』
「ありがとう。ええと、元の場所に戻してもらってもいいかな?」
『わかった! 楽しんでいってね!』
「うん。ええと……またね?」
『また!』
彼は嬉しそうに微笑むと俺たちをもとの場所に返してくれた。
「本当にルオは精霊たちに愛されてるな」
くすくす笑いながら師匠は俺の頭を撫でた。
「みたいだね。と言うかダンジョンは精霊が作ってたとか、知ってしまったけど」
もう十三歳なんだけど、師匠に撫でられるのは恥ずかしいより嬉しさが勝つ。
「他の人に話せないな」
「そうだね」
小さく見える三人の姿に追いつくよう足を速めながら俺と師匠は頷きあった。
「カルヴァもラヴァも内緒だぞ」
(わかってるわ!)
(うん! 僕も言わない!)
頬を摺り寄せるラヴァをそっと撫でながらダンジョンを進んでいった。
次の投稿は18時になります。
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