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第207話 レカルの里 アルセイデス

評価、ブクマありがとうございます!

 翌朝、朝食を済ませて工房に向かった。

 師匠は艶々の革のマントを着ていた。それが紺色だった!

「ルオ、なんで俺の周りをぐるぐる回るんだ?」

 革鎧も着ていて腰には革のベルトにダガーと片手剣を装備している。

 革のブーツは金具で補強してあって、あれでけられるとダメージ深そう。

「かっこいい」

 マント説が正解かも!

「お? そ、そうか?」

「このマント、何の革なの?」

「ワイバーンの特殊個体だな。大抵のワイバーンは体表は黒なんだが、この個体はこの色だろう? 色の違う個体は総じて強いんだ。こいつは岩山に巣を作っていて側にあった村から救援要請が来て、たまたま近い冒険者ギルドにいたから俺が受けて討伐した。これは戦利品を鞣して防具にしたんだ」

「コルは簡単そうに言うけど、基本ワイバーンは空中にいるし、こんな綺麗な傷のない状態で倒せないんだよ」

「素材は傷つけないで狩るのは当然だろ。もったいない」

「はいはい」

 レカルが師匠の守銭奴発言を軽くいなした。

 師匠は顔も隠してなくて、後ろで髪も結んできりっとしていて、高レベル冒険者って感じがする。師匠の戦闘は見たことあるけれど、魔法すごかったもんなあ。

 凄いなあ。

「その目で見ないでくれ」

「憧れるよねえ」

 俺が師匠を見ていると師匠は口を手で押さえて顔を背けた。照れてる?

 レカルはにやにや笑って師匠を肘で小突いてた。そのレカルはいつものローブ姿。

 俺も学院の実習で着ている実習着に革鎧とマントを着けている。

 タビーたちには座学の復習をしておいてと師匠が課題を出したので、今頃必死に課題をこなしているはずだ。


(温泉、欲しいって聞いた)

 水の精霊が現れた!

(む。なんか魔物扱いされた気分)

 心を読まれた!?

「水の精霊……」

 レカルがキラキラした目で水の精霊を拝んだ。

「おはよう。ええと、欲しいというのはこのレカルで……」

(エルフ族。今評判最悪)

「申し訳ございません」

 華麗な土下座!!

 流れるような姿勢移動だったよ!

(む? 潔い態度はまる)

(あのね、このエルフ族はいいエルフ族よ)

 カルヴァが庇った。

(本当?)

 水の精霊が半目で俺に聞いてきた。

「そうなんだ。今、レカルの里に押し寄せたエルフ族を預かってもらってて……何とかしようって言ってるんだ」

(なんとか)

「まあ、僕は処刑してもいいって思うんだけどルオ君のこと考えたらそれはまずいと考え直した」

 レカルがハイライト消えた目で言った。怖いんだけど!

「こらこら、ルオが怯えてるぞ。あんまり物騒なことは言わないように」

「老害は百害あって一利なしなんだよ」

 レカルに闇を感じる。本当、なにがあったんだろう。

「まあ、俺はわかるが、子供の前だぞ」

「わかった。なるべく控える」

(なんとなく、わかった。それで、温泉はどこに作ったらいい?)

「作ってくれるの? レカルの里だよね?」

 俺はレカルに確認した。彼が顔だけ上げて頷く。

(わかった。温泉ができるかは土地次第。里に着いたら呼べばいい)

「ありがとう! また蜂蜜お供えするね!」

(! わかった。期待に応えられるよう頑張る)

 水の精霊の嬉しそうな顔にほっとして頷く。水の精霊は姿を消した。


「ルオ君。拝ませてくれ」

 レカルがキラキラした目で土下座の体勢から拝む体勢になった。そこで師匠が後頭部をスパンと叩く。

「エルフはこれだから……ルーンと変わらんな。ほら立て。バカやってないで里に行くぞ」

 師匠に二人で掴まる。足元に魔法陣が輝いて光が収まると森の中だった。

「こっちだ」

 レカルが先導して森を歩く。そうすると木々が道を開ける。

 そこを進むと、後ろで道が閉じていく。

「ええ?」

(うふふ。驚いた?)

 フェリシアが悪戯が成功したような表情で微笑む。

「フェリシアに木々が自ら道を開けてるのさ。木々の女王様だからな」

(まあ。私はそんなつもりはないのよ?)

 レカルが振り向いて笑って言う。心外だと言った顔でフェリシアは言うが、すぐに微笑む顔になる。

(里はすぐそこよ)

 開けた場所に出た。

 広場を囲うように半円に家が並ぶ。木造の平屋だ。高床式で玄関に階段が作られている。家の数は二十くらいか。

「うちの里は若いエルフしかいなくてね。世帯も少ないんだ」

 肩を竦めてレカルが言う。


 そのレカルが立ち止まった後ろ、広場の中央に茨の檻があり、そこにルヴェールに来たエルフたちが囚われていた。

次の投稿は明日になります。


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