第206話 エルフ問題(二)
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戻ってきた師匠とレカルは疲れた顔をしていた。
「あいつら、うるさい」
ぼそっと言った師匠の目の下の隈が酷い。うるさいというとずっと文句を言ってたのだろうか?
「あの、大丈夫なの? エルフたち暴れない?」
「大丈夫だ。フェリシアの結界の中に閉じ込めてきたから。それから全里に向けて通告を送ったからエルフの目はうちの里に向くはずだ」
レカルがきっぱりと言った。
「もう全員運んだから、あとは今後くるエルフの対応だけだな」
師匠が息を吐き出しながら言った。
父に報告はしたそうだ。夕食も済ませて、居間で休憩中だ。
ここには師匠とレカル、俺だけだ。
タビーたちは今、お風呂に行っている。
『本当に申し訳ない』
精霊王様の声が響いた。
(王様!)
(王様大丈夫?)
(元気ない)
フェリシア、カルヴァ、ラヴァの声が心配そうだ。
『私が何とかしたいのだけど、彼らの目が曇っているようで……』
精霊王様のため息が聞こえた。
「精霊王様、初めてお声を拝聴いたします。僕はアルセイデス・レカルストフォ。レカルとお呼びください。彼らは私の治める里に収監しております。老害はもう処刑してもいいと思いますが、如何でしょう?」
レカルの過激なエルフたちに対する対処方法はどうにかならないだろうか。
『レカルだね。君にも祝福を。フェリシアを救ってくれてありがとう。フェリシアからはよくしてもらってると聞いているよ』
レカルにきらきらと祝福の光が降り注いだ。
『あの子たちも悪い子じゃないんだ。昔はよく祈りが届いていたけれど、最近は少ないから心配していたんだよ。どうして瘴気なんかに侵されてしまったのか』
「瘴気、ですか?」
師匠が精霊王様に聞く。
『だから私の声が届かないんだ。精霊を見る目が塞がれていて、このままだと種族の加護を失いかねない。それは私にとっても、防ぎたい事態なんだ』
「瘴気の祓い方は基本、浄化ですが……私が浄化すれば何とかなりますか?」
師匠が難しい顔をして聞いた。
『瘴気の原因がわからないから一時的になるかもしれないけれど、その祓われている間に私が話せば何とか今回の事態は収まるかもしれないね』
精霊王様がしょんぼりしている感じはひしひしと伝わってくる。
すっごく罪悪感感じてるのかもしれない。優しいもの。
盗賊が襲ってきた時は怖い面も見えたけれど、エルフは基本、精霊王様を尊敬してるみたいだし彼らの事、大切なのかもしれない。
「では明日にでも。お声をかけることはできますか?」
『見ているから呼び掛けてもらえればいいよ』
「ありがとうございます」
師匠とレカルが跪いて祈りを捧げるのに、俺も慌てて跪いて祈る。
「精霊王様、ありがとう」
『では明日……本当に申し訳ない』
精霊王様!
気配が消えると三人で息を吐いた。
「精霊王様と話した! これはもう一生の思い出だ!」
レカルがキラキラとした目で語りだした! やっぱりエルフ族は精霊信仰なんだな。
(主様……)
ちょっとフェリシアが引いてた。
「ルオも来て欲しい。俺の魔力が足りなかったら浄化を手伝ってほしいんだ。基本精霊王様はルオに話しかけることが多いから。本当は避けたかったが……」
「わかった。ついていけばいいんだね?」
「ああ。ありがとう」
師匠はずっと駆け回ってくれたからゆっくり休んで欲しいな。
「師匠、お風呂行こう!」
「そうだな。ちょっと疲れをとるか……」
「お風呂? 僕も行くよ」
レカルは水の精霊の祝福のある温泉にすっかり虜になっていた。
「うちの里にも欲しい」
「あー、なんでもできる場所とできない場所があるそうだ」
「そうなんだ? うちの里、できればいいな」
ラヴァも温泉に浸かって器用に泳いでいた。
エルフ問題が明日で解決すればいいけれど。どうなるかな?
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