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第205話 エルフ問題

評価、ブクマありがとうございます!

 エルフ族はいろんな里から押し寄せて、最終的には五つの里から来た百二十人ほどが、兵士の宿舎とその鍛錬場に設置したテントに収容されている。

 エルフたちが結束して実力行使に出ないか俺は心配したんだけれど、師匠の結界装置で閉じ込めてるみたい。

「里同士でもマウントの取り合いするから協力なんかしないよ」

 レカルはそう言ったので、どれだけエルフは尊大な種族なのかとちょっと呆れそうになった。

 小さいころ読んでもらった精霊の本のエルフ族との印象が全然違って、俺は残念な気分になった。


 ◇◆◇


「食費が馬鹿になりません」

 守銭奴の師匠の眉がぴくぴくと動いて上がっている。

「確かにな」

 父がはあとため息を吐く。

「そもそも、祝福がどうたらと言っているが……私にはどうしようもできないことだからな。エルフ族の主張は下手したら宣戦布告だとみなされる。しかし王や侯爵に連絡した方がいいかというとそれも……」

 そこで父がちらりと俺を見た。

 俺は朝食のサラダを口に入れて咀嚼中だった。

「処刑でいいのでは」

 レカルがにこにこと笑って言う。

 穏やかな人なんだけれど、こと自種族であるエルフのことになると過激な発言が飛び出すんだ。

「いや、さすがにそれは……」

 父が軽く引いている。

 師匠は顔を手で覆っている。

「人族に迷惑かける馬鹿は、こうでいいと思っています。ほんとに恥ずかしい」

 レカルが首のところで手を横に素早く動かした。

 え、物理的に首を切るってこと!?

「エルフ族の不始末は私が拭いましょう。我が里に連れ帰りますよ」

 ふふふとレカルは黒い笑顔で言う。


「しかし、人数が人数だ。移動も大変だろう?」

「そこはコルに頼んでね」

「え」

「君、うちの里に来たことあるよね。もちろんタダじゃないよ。それ相応の対価は払うよ」

「うーん。でも、それだと根本的な解決にはならないだろう」

 対価と聞いて師匠の顔にちょっと元気が出た。守銭奴だ。

「まあ、たしかに。あいつらどこにでも湧きそうだし」

 G!? Gなの!?

「あの、師匠に頼むってどういうことですか?」

「うん? ああ、コルは転移魔法使えるでしょう? 運んでもらおうと思って」

「そういえば」

 合同演習の時に転移して助けに来てくれたっけ。

「え、転移魔法が使えるのですか?」

 アリファーンが驚いた顔をした。

「すっげー」

 タビーが目を丸くする。ルーンも驚いた顔をしている。

 転移魔法は物凄く魔力を消費する魔法で幻って言われている魔法だ。

 やっぱりすごいな。師匠は。

 父も目を丸くしていた。

「頼んでいいかね」

「対価はもらいますよ」

 師匠は苦笑して頷いていた。


 俺たち四人はエルフ問題が終結するまで座学とポーション作りと剣術の鍛錬に励むことになった。

 ポーションは俺の工房で作る。

 調合室でチャロがポーションを作っていた。出ていこうとするのを制して声をかける。

「あ、大丈夫。こっちの部屋で作るから」

 炉のある部屋に移動して道具を用意する。これは研究だから記録をつけないといけないので紙と筆記用具を用意する。


「ヴァンデラー先生ってほんと凄い人なんだなあ」

 タビーがキラキラした目で言う。

「マジックバッグ作れるってことは転移魔法に適性があるってことなんですね」

 ルーンが道具を整理しながら言った。

「マジックバッグは時空間属性が必要なんだって言ってた気がする」

 薬草を乳鉢に入れながら俺は言った。

「時空間属性って……ものすごく希少な属性じゃないです?」

 ルーンが首を傾げた。

「え、そう、なの?」

 俺は少し動揺する。

「そうだな。空間属性はそこそこいるけれど、時空間属性を有する者はこの国でも一握りじゃなかったかな? 秘匿している者もいるだろうけれど」

「……僕、持ってる」

 みんなが俺を見た。


「マジックバッグ作れるようになれって言われてる」

 そういうとみんなが生暖かい目になった。

「納得した」

 タビーがうんうんと頷いている。

「大丈夫だよ。ルオはヴァンデラー先生の弟子なんだし。マジックバッグは高額商品だからお金いっぱいもらえるよ」

 アリファーンがお金儲けできるって言うとは!

「そ、そうですよ。将来安泰です」

 ルーンが拳を握って応援するように言ってくれる。

「あ、ありがとう。じゃあ、ポーション作ろうか」

 みんなは頷いて作業に入った。


 剣術の稽古のために工房から出たら屋敷が静かだった。

「ルオ坊ちゃま、旦那様とヴァンデラー卿とレカル様は村に行きました。夕食には戻るそうですよ」

「ネリア、ありがとう」

 イオはどうやらいるようだ。みんなと裏庭に出る。

 ウォルトとイオがいた。

「ウォルト! こっちに来て大丈夫なの?」

「ええ。エルフの問題が片付きそうなので、領主様からお願いされました」

「そうなんだ。よかった」

 それからウォルトの指導でみんな一緒に鍛錬に励んだ。



次の投稿は明日になります。


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