第203話 師匠の魔法
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(主、ししょう、魔法使う)
「え?」
(主、大きな魔力が)
「え、あ。コルか!」
フェリシアがレカルに言い、はっとレカルは顔を上げた。
ドオン!
大きな音が聞こえて、地響きがした。
(ラヴァ、カルヴァの目を貸してもらって)
(わかった!)
(もう、主目の前が……ラヴァ? ええ、いいわよ)
ラヴァとカルヴァの声が響く。
視界が切り替わり、もうもうと舞う土埃が目の前を何も見えなくしていた。
「え、ええ?」
思わず呟いた俺にタビーが聞く。
「どうした?」
「なんか、目の前が土埃で全然見えないんだけど、師匠なにしたの?」
(主、ししょう魔法使ったって)
「魔法使ったんだ」
俺は呟いた。魔法使ってあんな音するんだ。
『いい加減、大人しくしてくれないと、地面ではないところに打つかもしれないぞ』
師匠の肩にカルヴァがいるみたいで、視線の先には対峙しているエルフたちがいた。
もう拘束はされてないけれど、両手を縛られていた。
カルヴァが視線を師匠の後ろに移すと、魔法陣がいくつも上空に浮かんでいた。
凄い。
「なんか魔法陣がいっぱい空に浮かんでいるけど」
「本当か? 行こう」
レカルが立ち上がって部屋を出る。
一旦視界を切った。
俺たちはレカルを追いかけることにした。
レカルは屋敷の敷地から村の門を見下ろせる場所に立った。俺たちはその両脇に立つ。
遠目にも魔法陣がいくつも見えた。
「あー、あの魔法は」
(主の里を滅ぼした魔法ね)
「え?」
驚いて俺はレカルを見た。みんなも同じ表情でレカルを見ている。
「僕の里は近くのドワーフの里に襲撃をかけてね。ドワーフの里に味方したコルが僕の里を滅ぼしたのさ。まあ、僕が依頼したんだけど」
レカルは肩を竦めた。
「コルは争いごとは好まないんだけど魔法の申し子だから、物凄く強いんだよね。魔法で何でもできるんだけれど、普段は錬金術の方しか腕前は見せないようにしているんだ。そこを頼み込んで最初は仲裁に入ったんだけど、話聞かないしね。結局戦争さ」
戦争。
「コルが本気だしたら国の一つや二つ滅ぶレベルなんだけど、ああいう性格だからさ。そういうことにならないように立ちまわってるから安心していいよ。弟子も出来たんならなおさら」
師匠は優しい。そうだ、魔法は何でもできる。全属性持ってるって言っていた。
「脅してるだけで本気で打とうとはしてないし、基本は領主様が交渉するだろうしね」
浮かんでた魔法陣が消えた。
(主、カルヴァが大丈夫って)
視点が切り替わる。
エルフたちは大人しくなった。悄然としたエルフたちを兵士が取り囲んだ。
「コルの奴、エルフ族の間では【紺の破壊者】とか二つ名がついているからなあ」
え、そんな二つ名が?
「エルフの人たち、馬車でどこかに連れていかれるみたい」
結界内に入れないし、門の前は街道だしね。
カルヴァの視界から自分の視界に切り替わった。
「そうか、とりあえず終わったね。応接室に戻ろうか」
応接室に戻る途中で、ローワンに会った。
「皆様、外におられたのですか。心配いたしました」
「大丈夫、問題はありませんでしたよ」
「そうでございますか。レカル様、客室のご用意が出来ましたのでご案内します」
「ではお願いします。君たちも一旦部屋に帰って旅装を解いておきなさい」
「はい」
俺たち四人は声を揃えて返事をした。
部屋に戻って、部屋着に着替える。
(主、ダンジョンはもう行かないの?)
「エルフ問題が片付かないと難しいと思う。多分」
(主楽しみにしてたのに)
頭の上に乗っかったラヴァが顔を覗き込んでくる。
「まあね。でも、安全が確認できなかったらダメなんだからそこは我慢しなくちゃね」
(あんぜんかあ。主を危険な目には合わせないからね! 僕頑張る!)
「ありがとうラヴァ」
俺はラヴァを胸に抱いてぎゅっと抱きしめた。
「師匠は戻ってこないのかな?」
(ん? まだ時間かかりそうだって言ってる)
「じゃあ、お昼も難しいのかもしれないなあ」
俺は着替えてみんなの部屋に向かった。
アリファーンの部屋が一番広いので、そこに俺とタビー、ルーンがお邪魔した。
俺よりもずっとダンジョンを楽しみにしていたタビーが暗い。
「わかってる。わかってるよ」
あ、目に光がない。
(主、しっかり)
アームが励ましている。
『あの、エルフ族たち、まだぐちぐち言ってはるで』
チーがしゃべった。
「チー、それは本当なのかい?」
アリファーンが一応許したようで、チーの顔に喜色が浮かんだ。
『そうや。馬車で近くの街に運ばれて、兵士の宿舎に放り込まれたんや。両手以外は自由だからルヴェールの悪口大会になってるで』
「え、父さんたちが悪いのに悪口?」
ルーンが思わずという感じで言う。
『せや。【紺の破壊者】がいるとは思わなかったとか、暴力に訴えるとはとか』
「紺の破壊者」
タビーが俯いていた顔を上げた。
「すっげーかっこいいな! やっぱ髪の色?」
タビーが厨二病患者に!
「先生の目の色の方ではないでしょうか?」
ルーンが頷く。そうだね。藍色の目だから。
「髪も青みがかった黒だから、髪の色じゃないかな? 光に透けると紺色に見えるし」
アリファーンも乗っかる。
「もしかしたら外套の色が紺だったとか」
俺も言ってみる。何とかの剣士とかそうだった気がするんだよなあ。
「とにかくすごい攻撃力の魔法だったって事だろうな」
それから師匠の使った魔法は何かで盛り上がって昼の時間になった。
食堂に行くとぐったりした父と師匠がいた。
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