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第202話 トラブル体質

評価、ブクマありがとうございます!

 俺たちが教会を出ようとしたとき、ルーンが意を決した顔で言ってきた。

「わ、私は残ります。私の里の者が迷惑をかけてるのですから」

(主……)

 ユーグが心配な表情で、ルーンに寄り添う。

「そういえばあの傲慢な老害はルーンの里の者たちか」

 レカルの言葉に苦笑してルーンは頷いた。

「父とその取り巻きです」

「その木の精霊は里の精霊じゃなさそうだね」

「一週間ほど前、霊峰の麓の森で出会いました」

(そう。私の本体はあの森の奥にあるの)

 ユーグも頷いた。


「あの者たちは君の契約している精霊も、他の精霊も見えてなさそうだったね。フェリシアはわざと姿を見せたから見えたんだろうけど」

「里にも精霊はいます。でも、なぜかみんなを避けているようで」

「ああ、ルーンは見えていたのか。そうか」

 うんうんとレカルは微笑んで頷く。

「君と僕は似ているようだね」

 レカルは手を伸ばしてルーンの頭を撫でた。

「大人に任せなさい」

 そう言ってレカルは師匠の方を向いた。

「とにかく子供たちは安全な場所へ。領主の屋敷に戻るんだろう?」

「ああ。馬車で来ている。それで戻ろう」


 馬車の中には一人残されたチャロが不安そうにしていた。教会にはいかなかったの?

「な、何が起こったんですか?」

「あ、こっちに残っていたのか。ちょっとした緊急事態だ。屋敷に戻る。ほら詰めて」

 酷い、師匠。チャロが目を白黒させている。

「悪いね。僕が乗ることになったから」

「エ、エルフ族……あ、はい」

 チャロは素直に座席の端っこにくっついた。その隣にレカルと師匠。

 反対側の座席に俺、タビー、アリファーン、ルーンが座った。

「すまない、屋敷に戻ってくれ」

 師匠が御者に言うと静かに馬車が走り出す。

 屋敷の方向から父がブルーに乗ってこっちへ向かってくるのが御者の方についている窓から見えた。

(主、お父さん、来た)

「うん」

 馬車が停まって師匠が降りて行った。

 声が聞こえる。

 父に説明しているみたいだ。

 ブルーのいななきが聞こえ、門の方に走っていった。

 師匠が馬車に戻ってきた。

「事情は説明した。レカル、あとで領主様に挨拶してくれ」

「わかった。もちろんだよ」


 屋敷に戻って、馬車を降りるとローワンが迎えに出ていた。

「お帰りなさいませ。事情は伺いました」

「ああ、一旦ダンジョン行きは中止だ。それと私の友人のレカル。薬師だ。彼を泊めてもらいたいんだが……」

「かしこまりました。客室の用意をいたします。しばし、応接室でお待ちください」

「私は門に戻るから馬を借りる」

「はい。ではレカル様、どうぞこちらへ」

「コル、気をつけて」

「ああ」

 師匠はエルフの相手をするつもりなんだ。

「師匠、頑張って!」

 俺がそういうと笑って師匠は手を振って厩舎に向かっていった。

「さあ、みなさん、中へ」

 ローワンがそう言って、俺たちは屋敷の中に戻った。

 チャロは使用人棟の自分の部屋に戻っていった。

 あとでポーションを作るそうだ。


 俺たち四人はレカルと一緒に応接室に向かった。

 ネリアが紅茶とお菓子を出してくれ、みんなでとりあえずお茶にした。

「……! これは美味しいね」

 焼き菓子を口にしたレカルは目を瞠った。

 うん。エリック特製お茶菓子だからね。美味しいはず。

「コルの奴、ここに留まるはずだよな」

「レカルさん」

「レカルでいいよ。ルオ君」

「ええと、じゃあ、僕もルオで……その、レカルは師匠とすごく仲いいんですね」

「ちょっとした縁があってね。王都で世話になったんだよ。僕はもう、里に戻らないつもりで王都で薬師をやっていたんだけど、僕の故郷の里が問題を起こしてコルに解決してもらったのさ」

「師匠が?」

「君の師匠はほんとトラブルと魔法に好かれているから、大変だよ」

 くすくすと笑うレカルはすっごくイケメンだった。

 まさしくエルフっていう感じだった。

「……確かにヴァンデラー先生、いつも大変そう」

 ぼそっとアリファーンが言う。

「確かに。ルオのせいがほとんどだと思うけど」

 タビーも言った! ええ、俺のせいなの?


 そしてルーンが紅茶のカップを持ったまま俯いてしまっていた。

「ルーン……」

「あ、はい!」

 びくっとしてルーンは顔を上げた。

「気になるなら、精霊の目を借りたら? カルヴァが傍にいるから多分、見えると思うんだ」

「え、精霊の目を借りるの?」

 ルーンがびっくりしている。

「さっき、師匠が門の方、精霊の目を借りてみてたよ。下級精霊の目も借りられるけど、カルヴァの方が安定してると思う」

「へえ、君たちはほんとに精霊と仲がいいんだね」

 レカルが感心したように言った。

「精霊魔法の遠見って奴だね。他の精霊に目を借りるのって結構相性があるんだよ。だから成功しない時もあるんだ」

 魔法名があった!

「もともとカルヴァがラヴァに目を貸してくれてそれで見えたんだ。それから下級精霊の目もちゃんと借りられたよ」

「……君は愛し子だね」

 レカルは諭すように俺に言った。

「愛し子?」

「精霊王様の愛し子だね。加護とかもらってない?」

「……あった」

「君は特別精霊に好かれる体質なんだよ」

「え」

「体質だから君の出来ることが他の人にできるとは限らないよ」

 ルーンが目を見開いて俺を見ていた。


「ああ、だから、ルオの周りはこんなに精霊がいるんだね」


次の投稿は18時になります。


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