表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
200/262

第195話 交渉

評価、ブクマありがとうございます!

リアクションも嬉しいです!

 師匠の目の下に隈が出来ている。

 もう年なんだから無理はしないで欲しいなあ。


「さて、今日は森に行くことになっている。危険が伴うから、きちんと防具、武器を身に着けるように」

 引率の先生だ。いや、引率の先生なんだけれども!

「それからアリファーン殿下、契約には代償が必要です。大抵は魔力ですが他の物を要求されたらすぐに返事はしないように。契約自体は仮の契約になっているようですが……」

 アリファーンが神妙に頷いている。

「ともかく他の護衛は連れていけませんので、隠形の魔道具を使って屋敷を出ます。よろしいですか?」

「わかってます。大丈夫です」

 ぐっと拳を握り締めたアリファーンの瞳には決意の色があった。


 俺とタビー、ルーンも一緒についていく。

 師匠が先頭だ。

 俺の農場を越えた先の森に行く。


 農場には作業をしているラントがいた。

 俺たちは師匠から借りた隠形の魔法陣が付与されたマントを着ている。

 気付かないとは思うけど、声をかけたい気持ちを押さえてそうっとその後ろを通っていった。

(ラントさんがいたな。アースもいた)

(うん。あとで声をかけなくっちゃ)

 俺とタビーはこそっと小さく会話をした。


 農場を抜け、森に入る。

 いつも採取をしている森だ。

 あ、薬草がある。

 いつもの癖で、つい摘み取ってしまう。

「ルオ、今日は薬草を採取しなくていいんだぞ」

 師匠から突っ込みが入った。

「つい癖で……」

「つい……」

「癖……」

 タビーとルーンからも突っ込みをもらってしまった。

 アリファーンはにこにこしていた。


『待ってください。まだ人里に近い……』

『待てへんのや!』

『その変な訛り、止めてください』

『変やない! 我の大切な者の話し方やで!』


「あー、なんか揉めてるな」

「精霊王様が不憫」

「い、今の声は?」

「小鳥と……誰?」

「ほんとにもう」

 アリファーンは苦虫をかみつぶした顔になった。

「あんまり我儘だと、契約しないよ」

 ぼそっと呟いた。


『っ……』


 息を飲んだのがわかった。

「もうすぐ会えるんだから、大人しく待っていて」

『ま、待つ!』

「いい子だね」

 喜んだのが気配でわかった。

 名トレーナーがここにいる。


『私は役に立たなかったようだね』

 精霊王様! 悪いのはフェニックスなんです!


「ああ、領域に入ったようだ」

 一歩足を進めると、結界を通った感覚がした。

「領域……」

 俺は思わず呟く。

「霊峰の主の領域だ。波長があの小鳥のだ」

「波長がわかるの? 師匠。あれでしょ? 人によって違う魔力の……」

「それがわからなければ魔力キーなんて発明できないぞ。ギルドカードだって同じ仕組みだぞ」

「ええと、ヴァンデラー先生、普通はわからないんじゃないでしょうか?」

 ルーンが手を挙げて言う。

「……そうだったかな?」

 師匠!


『アリファーーーーーーン!!!』

 めっちゃ遠くから叫びながらくるものが。

 あー魔力が大きいのはわかった。

 魔力というより神力?? 精霊王様に似た気配。


「げ……あれが本体?」

 タビーが嫌そうに言った。

「燃え尽きそう」

 ルーンが呆然と呟く。


 空を覆うような大きさの鳥の形をした炎。

 それが猛スピードで近づいてくる。

 熱いんじゃないのかな?

「け……結界!」

 俺はみんなを覆うようにドーム型の結界を張る。

 それに突っ込んできたフェニックスがぶつかり、落っこちた。

 結界は無事だった。


『痛いやないか!』

「その大きさでぶつかられたら僕たち死ぬよ」

 俺はきっぱりと言った。

「本当にそうだよ。気をつけて。君はいつものサイズになれないのかな?」

『なれるで』

 ぽんといつもの小鳥サイズになった。

 最初からそれで来て!


『止めきれず、申し訳ない』

「大丈夫! 悪いのあっちだから」

 精霊王様がションボリしてる!


「あー、いいか? 契約をするんだろう? 霊峰の主様、条件とかあるのか?」

 師匠が仕切り直すようにフェニックスに言う。

『せやな。我は今回、アリファーンの傍にいたいねん』

「……え……」

 物凄く嫌そうな顔したけど! アリファーン。

「とはいっても、サイズダウンしてもその神気は問題がある。人族の街では騒動になる。それに、霊峰から動けないと言っていたと思うが」

 師匠が畳みかける。


『あれや! 我を呼び出すための形代! あれに分体を宿せばいいねん!』

「えー」

 俺の作品にこの小鳥が宿るの? 俺の作品奪われるの?

「タダではあげないよ」

 対価はもらわないと!

『え……』

「そもそも勝手に出てきたし、僕、迷惑しかかけられてないし!」

「ルオ、落ち着きなさい」

「うー」

 伝説のフェニックスだけど、ただの小鳥だから!


「霊峰の主殿。あのガラスの小鳥はこのルオが渾身の力を振り絞って作製したこの世に一つしかない作品です。精霊王様がガラスの精霊の誕生をお祝いしていただいたこともあり、ガラスはルヴェールの基幹産業です。その作品をよもや、搾取するとは言いませんよね?」

『……うう』

 炎の塊なのに汗を流せるんだね。



次の投稿は18時になります。


樺ユキ先生のコミカライズコミックス第二巻が好評発売中です。

書籍第二巻が7月3日発売します!

書影公開されました!

加筆いっぱいしましたのでぜひご覧いただきたいです!

師匠も活躍!!

もちろん第一巻もドラゴンノベルスより好評発売中です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ