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第192話 温泉に入りたい

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『ぼくのこと、忘れてない?』

 ガラスの精霊が俺たちに向かって飛んできた。

 ハンスはどうしたんだ?

 あ、そうか、本邸には呼ばれてないとこれないんだっけ。

 フェニックスフィーバーですっかり忘れてた!

 ガラスペンを奉納しに行かないといけないんだった。

『そうだった……』

 忘れないでください! 精霊王様!

 いや、俺も師匠もすっかり頭から飛んでた!

 師匠の表情がスンとなった。


「少し休んだら行こう。しなきゃいけないことはさっさと済ませる。その方がいい」

「はい」

『主に言っとくね!』

 ガラスの精霊はひゅんとものすごいスピードで遠ざかっていった。

「献上品も司祭に祝福を授けてもらわないといけないんだったな」

「僕、まだアリファーンへのプレゼント作ってない……」

 俺はしょんぼりと肩を落とした。

 色々あってそれどころじゃなかった。

 ガラス、全然作れてないし!

 ガラスぅ~~~~!

「……王都に戻るまでに作ればいいさ」

 ぐしゃぐしゃっと師匠が俺の髪をかき乱した。

「もう! 髪ぐしゃぐしゃだよ!」

 師匠は笑って歩き出した。


 俺たちは応接室の扉を開けた。

 タビーたちがうちの家族に質問責めにあっていた。


「父上、母上、イオも! みんな戸惑ってるじゃない!」

 俺は両親とイオの座るソファーに向かった。

「ルオ、一年も離れていたんだぞ? 気になるじゃないか?」

「そうよ。色々聞きたいわ」

「剣術上達した?」

 イオ、その言葉は余計です。

「いいの! 僕は元気にしてたから!」

「元気にしてたな。王都でも除雪していましたよ」

 師匠がさらっと助け船を出してくれた。

「あら、王都はあまり雪が降らないのに」

 母が反応した。

「今年は雪が多くて学院もお休みになったりしていました」

(ルオ、主がみんなを連れ出せって言ってるわ。教会に行く時声をかけるって)

(わかった)

「みんなを俺の部屋に招待するよ。行っていい?」

「行って来い。疲れてるようなら休むんだぞ」

 師匠が退室許可を出した。

 両親がええ~って顔しているけど、みんなが助かったって顔してた。

 貴族なんだからもう少し隠そう。

「では失礼します」

「失礼します」

「失礼します」

「失礼します!」

 俺も言って退室した。



「みんなごめんね」

 部屋に案内しつつ謝る。

「いや、いいご両親じゃないか」

 タビーが言う。まあ、タビーは会っているからなあ。あのテンションは知っているし。

「そうだね。うちの母もあんな感じだから構わない」

 そういえばお茶会ではグイグイ来てたな王妃様。

「うちは結構無関心なので、ちょっと羨ましい感じはします」

 ルーン、羨ましいって。

 みんなに優しく肩を叩かれたルーンはえ? という顔をした。


「どうぞ。ネリアが掃除してくれてたみたいだから綺麗だよ」

 扉を開けて中に招く。

 勉強部屋の方にみんなを通した。

 こっちならソファーセットがあるんだ。

 机の上に石コレクションと今までのガラス製品が置いてあるけれど。

「なんで石?」

「河原で拾ってたんだ。色々な石があって面白いでしょ」

「へえ。あ、これガラス? え、すっごい高価なんだよね?」

 ルーンが机の上をしみじみと見ながら言う。

「全部自作だよ」

 行商人から買ったグラスは今厨房でパン種育成に頑張ってもらってる。

「そういえば私の貰ったガラス細工も手作りって言ってましたね」

「うん。僕、ガラスでいろんな物作りたいんだ」


(主、カルヴァが明日森に行くって伝えてくれって)

「あ、そうだ。師匠から伝えておけって言われたんだ。明日、森に行ってフェニックスと会うって」

 アリファーン、嫌な顔しない!

「え、でも場所わかるんですか?」

「フェニックスの方からやってくるんじゃないのかな? アリファーン殿下が行けばきっと出てくるよ!」

「そうだな。出そうだな」

「うん。出ますよ」

 なんだかゴーストっぽく言われてるよ。フェニックス。

「別に出てこなくても……」

 アリファーンとフェニックスの温度差が酷い。

「まあ、そういわず……」

 ついフェニックスの肩持っちゃう発言しないといけないのはなんでだろう。

(主、師匠がくるって!)

(わかった)


「あ、あと僕、これから下の村の精霊教会にお邪魔しないといけないから、みんなは温泉にでも入って旅の疲れを癒してよ」

「凄く興味があります」

 ルーンが目を輝かせた。

「教会に? 急ぎの用なのか?」

 タビーが首を傾げた。

「急ぎ、急ぎかなあ?」

 ノックの音がした。

「俺だ。入るぞ」

「どうぞ。開いてるよ」

 ガチャリと音がして師匠が入ってきた。

「待たせたな」

「ううん」

「ヴァンデラー先生、精霊教会に行くんですか?」

 アリファーンが聞いてきた。

「そうだ。野暮用でな。詳しく聞かないでくれると助かる」

「じゃあ、みんな、温泉行ってきてね」

 俺は師匠と精霊教会だ。温泉はその後になっちゃうなあ。

「俺も早く入りたい」

 師匠! 本音が漏れてるよ!



次の投稿は明日になります。


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加筆いっぱいしましたのでぜひご覧いただきたいです!

師匠も活躍!!

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