第190話 ルヴェールへの道中
評価、ブクマありがとうございます!
リアクションも嬉しいです!
「小鳥が大人しいな」
師匠が目を瞠りながらフェニックスを見ている。
「躾けは大事です」
アリファーン躾けって言っちゃってるよ!
フェニックスが嘴開けてびっくりした顔してるよ!
「そ、そうか」
師匠がたまらず視線を逸らした。
馬車の中は師匠と俺たち四人とラヴァとカルヴァとアームとフェニックス。
意外に多いな。
カルヴァとアームは見えない感じなんだけど。
(とりあえず私も大人しくしておくわ)
(大人しくしてる)
カルヴァとアームは大人しくしてるんだ。
(僕も大人しくしてる?)
(ラヴァはいつも大人しいでしょ?)
(そう?)
嬉しそうに俺の頬を舐めた。つい頭を撫でてしまう。
全員に生暖かい目で見られた。
王都からルヴェールまで二週間。
ただ、今回はもう少しスピードを上げる予定だという。
魔馬の精鋭を揃えたという話だけど。
カリーヌとギードとハンスとチャロの乗る馬車も精鋭をつけてるの?
今回は三台の馬車で移動するし、騎士もいるから安全だと思うけど。
「アリファーン殿下はずっとフードを被っている予定?」
馬車の中でもローブ姿のアリファーンは魔術師みたいだ。
ルーンは弓術士仕様、タビーは盾術士仕様、俺は錬金術師仕様の恰好だ。
師匠は貴族の格好にローブ姿だ。
「お忍びだから変装している約束なんだ」
「そ、そうなんですね!」
ルーンが挙動不審だ。
どう見ても緊張している。タビーは平常運転だけど。
馬車からガラス窓で、風景を見たいな。
今は閉ざされている馬車の窓を見てそう思う。
でもこれは防犯上仕方ないんだよなあ。開いてるのは御者の方の覗き窓だけなんだよね。
王都を出て街道を進む。
(主、精霊増えてる)
(ほんと? じゃあ、不作も無くなるかな)
(ルヴェールまでの土地はないと思う)
(そうか、よかったなあ)
(主の祈りが効いたんだよ!)
(精霊王様の祝福じゃないかな?)
(あら、ルオの祈りが一番効いたと思うわよ)
(そうなの?)
(人の願いは力になるのよ)
(そうだ)
アームも頷いた。そういうものかな。
土の精霊のアームが頷いてるから、不作は脱したんだって思っておこう。
「ねえ、飛ばしすぎてない? 揺れるよ。師匠」
「酔い止めならある。一本銀貨二枚だ。ちなみに弟子価格だ」
「割り引いてそれってこと?」
さすが、師匠。タダでは渡さない気満々だ。
「ああ。かなりお安くなっているぞ」
「わ、私たちもその価格ですか?」
「ああ。研究生割引だ」
割引率同じって! 俺も作れるようにならないと、ぼったくられる!
お尻が痛みに耐えられなくなったところで、宿泊する村に到着。
もう侯爵領だ。
「酔い止め飲んでもちょっと……」
青い顔のルーンがよろよろと馬車を降りた。
俺たち四人はみな結局酔い止めのポーションを購入した。
飲みきったら瓶が消えた。
本物だろう? とドヤ顔していた師匠がちょっとイラついた。
王都に近い村だからか、こじんまりしているけど宿屋があった。
多分、貴族用だと思う。
この先に寄り子の領があるし、この先で街道が別れているからね。
俺たち四人は一緒の部屋になった。
フェニックスが涙目で送還されていった。
次は一週間後だ。
残った小鳥の細工を師匠に渡しておしまい。
「たまに割ってしまいたくなる」
ダメ! 俺も思うけど、俺の大事な作品だから!
宿の部屋で、収納袋に入っていた携帯食を食べる。
一応毒見済みのものをアリファーンは食べないといけないんだって。
王族の闇は深いね。
もしかしたら天井に影がいるかもね。
迂闊な話題はダメってことだ。
「早く寝よう。明日夜明けとともに出発だと言っていたから……」
アリファーンが師匠の予定を繰り返した。
さっきギードがやってきて、浄化しまくって出ていった。
安心して寝られる。
「じゃあ、みんなお休み!」
ラヴァも前足を上げて挨拶して、簡素なベッドに潜り込んだ。
あっという間に寝落ちて朝、すぐに村を出た馬車は爆走した。
師匠ドーピングでもしたんじゃないのかな?
すっごいスピードなんだけど。
街道は広いし、それほど歩いている人もいないからいいけれど、交通事故だけは起こさないで欲しい。
そんな特急電車みたいな馬車の旅が十日になる頃、霊峰が見えた。
『もうすぐやで!!』
三日前ドヤ顔したフェニックスは『しゃべらない約束は?』とアリファーンに睨まれて汗が出ないはずなのに冷や汗を流していた。
フェニックス、なんであんなに胡散臭い感じなの?
エセ関西弁だから?
いや南部訛りなんだっけ?
「あれが霊峰」
アリファーンが覗き窓から見える雲に覆われた霊峰をじっと眺めていた。
次の投稿は明日になります。
樺ユキ先生のコミカライズコミックス第二巻が好評発売中です。
書籍第二巻が7月3日発売します!
加筆いっぱいしましたのでぜひご覧いただきたいです!
師匠も活躍!!
もちろん第一巻もドラゴンノベルスより好評発売中です。




