第189話 ルヴェールに出発だ!
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あれから、毎朝、走り込みが終わった後にスピネルが俺とギードを鍛えている。
剣術は学院で教わっているから、短剣術を中心になんというか隠密系の技術を教えてもらっている。
気配消すとか、気配察知とか、相手の意識を逸らすというか外すやり方とか。
短剣術はスキルがあるから上達した感覚がある。
熟練度が上がってるはず。剣術よりもずっと俺に合ってる!
「スピネル、短剣をこう、服に仕込めないかな?」
「ルオ様、素晴らしいです。暗器も教えましょう!」
スピネルが感涙しながら鍛錬を厳しくしてきた。
ギードが横で苦笑していた。
俺、なんかのスイッチを押したっぽい。
剣術よりは楽しいからいいか。
単位取得祭りで俺たちは頑張った!
「よし、これくらい単位を取っておけばいいだろう。来期も頑張れよ。明日の終業式の後、うちの馬車が迎えに来る。それに乗ってうちの屋敷に向かい、旅装を整えて出発だ」
研究室で、俺たちの成績を見て合格を言い渡した!
俺たちはほっと息を吐いた。師匠は優しいけれど、甘くはないからね。
「はい!」
みんな揃ったいい返事。
みんなの荷物は先に屋敷に届いている。アリファーンの荷物が届いたときは使用人のみんなが色めき立った。お忍びだと聞いてすぐ平常モードになったけれど。
そこはみんな優秀だよね。
そして終業式が終わってみんな同じ馬車に乗った。師匠は乗っていない。まだ仕事があるとかで、魔馬で往復すると言っていた。
「なんだかドキドキする」
『なんでや』
今日は召喚日で、肩にフェニックスがいるアリファーンが頬を赤らめながら言ったセリフをフェニックスが台無しにした。
「……わ、私もドキドキします! 王都以外は里への往復の道しか通ったことがないので!」
『なるほど』
「私は話していいと言ったかな?」
『ぎく!』
ぎくって口で言うの初めて聞いたなあ。
『チ、チチ!』
「よし」
なんだか、アリファーンがトレーナーに見えるんだけど、気のせいかな?
待て、じゃなかった。だんまりができるフェニックスになったの?
あんなおしゃべりなのに、凄いな!
「アリファーン殿下は優しいのに、どうしてあの小鳥にだけ厳しいんだろうな?」
タビーがこそっと聞いてくる。
「でもあの小鳥に厳しくする気持ちはすっごくわかる」
「……俺もわかる」
タビーも頷いた。
「でも、ここは知ってる人しかいないし、大丈夫じゃない?」
俺は一応フォローしてみた。
「ルオ、甘やかすのはよくない。ルオのラヴァは大人しくしているじゃないか。私は落ち着きのある従魔になって欲しいと願っているんだ。まあ、従魔じゃないが似たようなものだろう? いつ他人が目撃するかわからない状況で、小鳥がしゃべるのを聞かれるのはリスクが高いと思うんだ」
まあ、確かに外には護衛の騎士さんがいるけれど。
そう護衛。
師匠がいないから屋敷の騎士が護衛についているんだ。俺の普段の登院にはつかないけど、アリファーンが乗っているからね。
「わ、わかった。じゃあ、フェニックス、そういうことで……」
『……チ、チチ!』
いや、そんな目で見られてもね。フェニックスがアリファーンと契約したいんじゃない?
あ、ルーンが困った顔になっている。
そしてそんな空気感のまま屋敷に着いた。
もう、馬車の準備はできていて、旅装に着替えて出発するだけになっていた。
今回は騎士の護衛と師匠と俺たち四人の少人数での移動だ。
「ここが放浪の賢者の屋敷……」
アリファーンが感動していた。
「あれ? アリファーン殿下、来たことなかったっけ?」
「ない。申請は通らなかったから。だからすごく嬉しい」
そういえばアリファーンは師匠の大ファンだった。
中に入って感激して、工房を見て感激していた。
旅装に着替えていると、どうやら師匠が帰ってきたみたいだ。
旅装を整えてエントランスに行くとみんなが待っていた。
「ごめん! 待たせた?」
「大丈夫。ヴァンデラー先生が来たら出発だってさ」
タビーが教えてくれた。
「いいかい? 私がこうして馬車に乗ってルヴェールに行くのは本物の君に会いに行くからだよ。だから直接会うまでは大人しくしていて?」
アリファーンが肩に乗ったフェニックスに言い聞かせていた。
フェニックスは感動で涙目になってこくこく頷いていた。
……飴と鞭?
「またせたな! 出発だ」
いつものローブ姿で現れた師匠が、馬車に先導する。
ルヴェールへ出発だ!
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