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第188話 十三歳になった!

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「誕生日おめでとう!」

 研究室に入ったら、アリファーンとルーンに出迎えられた。

「誕生日おめでとう」

 タビーにも祝われた!

「あ、ありがとう!」

 俺は今日、十三歳になった。


「そこのテーブルに座れ。ささやかだがお祝いだ。本格的なのは屋敷に帰ってからだな」

 師匠!!


 師匠の淹れた美味しい紅茶と、屋敷の料理長の作った美味しいお菓子が人数分用意されていた。美味しい!

「ルオ、プレゼント」

 アリファーンからもらったのは木箱。

「開けていい?」

「もちろん」

 木箱を開けるとそこにはガラスの小皿が! 薄緑の色ガラスでできていて筋が入った片手の手のひらに収まるくらいの円形の小皿。

「ガラスぅ!」

 俺が飛び上がって喜ぶとみんなの視線が生温かった。

「ガラスが好きだって言ってただろう? 調べてみたらガラスって高価で……ホントはペアグラスとか思ったんだけどね……ラヴァのエサ入れにでも使ってくれたらと思う」

(主! 僕の?)

(え、ラヴァの?)

「ラヴァの……」

 じっと小皿とラヴァを交互に見た。

「あ、葛藤している」

「そ、そうだね」

「まあ、ルオの持っているガラス製品ってホント少ないからな」

「え、そうなの?」

 タビー! 言い当てない!

 ルーンも同意しない!

 師匠はばらさない!

 アリファーンはきょとんとしない!

 今日はエセ関西弁の小鳥はいない!

「うん。ラヴァの……」

(ありがとう! 主!)

 キラキラした目で見つめられると、そっとテーブルに鎮座していたラヴァの目の前に置いた。

 俺のガラス……。


「俺からはこれだ」

 タビーがくれたのは剣帯につけるアクセサリー。茶色の革でできた円形のトップ。

 そこに小さくトカゲの絵が彫り込んである。

「ラヴァと似てるからこれがいいかなって」

「ありがとう!」

(主! 僕?)

(そう、ラヴァの絵が描いてあるんだ)

 俺はラヴァに見せた。

(嬉しい!)

「あ……」

 ラヴァが輪になっている紐の部分に頭を突っ込んだ。

 あまりに似合っているので外せと言えない。

 俺のアクセサリー……。


「ル、ルオ! 私からはこれです!」

 ルーンが差し出したのは組み紐で、輪になっていて葉っぱの飾りがついている。

 葉っぱの飾りにわっかを通して留める構造だ。

「これはエルフの里のお守りなんです」

「へえ……あ、もしかしてこれ手作り?」

「そうなんです。親しい人から渡すのが良いとされています」

「ありがとう!」

 こんなの貰えるなんて!

「へえ、それって指輪?」

 タビーが輪になっているのを見て首を傾げた。

「髪留めに使ってくれたらと……」

 のそっと俺の肩に乗ったラヴァがじっと組み紐を見つめている。

(興味あるの?)

(うん! 尻尾につけたらいい感じ!)

(いい感じ……)

 じいっと見つめられて、圧に負けて尻尾につけてあげた。

(似合う?)

「似合うよ。ラヴァ……」

 めちゃめちゃ喜んでテーブルの上をはしゃぎまわるラヴァに誰も何も言えなかった。

 俺の髪留め……。


「まあ、なんだ。屋敷に俺からのは用意してあるから……」

 師匠に肩をぽんと叩かれて頷いた。


 師匠からは和紙のレターセットだった。

 領地から試作品として届いたもので、ガラスペンとセットで売り出す。

「一番に試してほしいからな」

 そして、藍色のインク。

「やっとできましたのよ!!」

 カリーヌが領地とやり取りして頑張ったそうだ。

「ありがとう!」

 そしてギードからは短剣をもらった。

「護衛はしますがもしものことがあるといけません。スピネル様と一緒に選びました」

「ありがとう!」

「ギードと一緒に鍛えますから頑張りましょう。旦那様には許可をもらっております」

 スピネルから更なる鍛錬の告知が!

「みんなありがとう!」

 ちょっと豪華な夕食にも感激した。


 そして夜。

 着飾ったラヴァが俺の手元を覗き込む。

 ハンスにもらったガラスペンで、師匠にもらったレターセットでお礼状を書いている。

 藍色のインクは和紙と馴染んで、綺麗に発色している。

(何しているの?)

「お礼状だよ。物をもらったら書くんだ」

(物をもらったら……)

 ラヴァがはっとした顔で俺を見る。

「そうだ。ラヴァもお礼をしよう。それをくれたみんなにね」

(お礼?)

 ラヴァの前足の足型を藍色のインクで俺の署名の後にラヴァの名前を書いた横に押してもらう。

(これがお礼?)

「ここにね、俺が代わりにありがとうって書いたから大丈夫」

 最後の行を示した。

(お礼!)

 ペタペタと白紙の便せんに足型を押すラヴァに笑った。

 ちなみにガラスの小皿にインクを入れて足を浸してもらった。


 ラヴァの誕生日はわからないから、出会った日を記念日にしよう。

 記念日にちゃんとプレゼントをしよう。

 俺はラヴァの頭をそっと撫でた。



次の投稿は明日になります。


樺ユキ先生のコミカライズコミックス第二巻が好評発売中です。

書籍第二巻が7月3日発売します!

加筆いっぱいしましたのでぜひご覧いただきたいです!

師匠も活躍!!

もちろん第一巻もドラゴンノベルスより好評発売中です。

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