第187話 卒院祭が終わって
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そして剣術大会はギードの優勝で幕を閉じた。
派手さのない堅実な試合運びで、玄人好みの剣術だと、賭けをしていた観客が言っていたらしい(精霊情報)ので、賭けた人は少なかった模様。
「俺は賭けたがな」
師匠!
「途中でオッズを変えるわけにもいかなくなって、胴元が悔しげな顔をしてたのは知っている」
研究室で嬉しげな顔をして革袋をじゃらじゃら言わせている師匠の姿は講師に見えないんですけど!
「終業式が終わったらルヴェールへ出発だ。うちの馬車で向かう」
今日研究室に集合したのはルヴェール行きの話があると師匠に呼び出されたからだ。
結局、アリファーンはお忍びで加わることになった。
俺たちと一緒に行くのは師匠が護衛を兼ねているからだ。
師匠がいるなら任せると王家に許可をもらえたらしい。ちゃんと護衛代と滞在費ももらったって言うから、凄いな師匠。
ルヴェール行きの許可だけじゃなく現実的なお金のかかる部分を交渉するあたり凄いというか……守銭奴?
「ルオ、何か言ったか?」
「な、何も言ってないよ!?」
思っただけだよ!
「まあ、いい。卒院式が六月十五日、終業式は六月三十日だ。卒院生は卒院式までの間進路に向けて王都にいる間に色々やることがあるからほとんど学院には来なくなるがな。在院生も単位が足りないものとかは必死になる期間だな。そうだ、ルオ。飛び級できるほど単位は取れたか?」
「と、取れてません……」
「ルオはダンスと乗馬がな……」
タビーがそう言った途端みんながああといった顔をしたのに納得がいかない。
「ルオは馬に好かれるんだが、何故かブルーには……」
「ブルーは父様以外認めてないんだよ!」
必死に俺が言うとみんなの目が生暖かくなった。
「そうだな。まあ、練習あるのみだ。頑張れ。そんなお前たちに最高の教師を呼んである。来年度に向けて、復習と履修の指導だ」
師匠がベルを鳴らすと奥の扉からギードとカリーヌが出てきた!
「この二人には今回一緒にルヴェールへ向かってもらう。ギードはルヴェール子爵のもとで領主見習い、カリーヌは引き続き、服飾工房の手伝いと、侍女見習いをすることになっている」
「みなさん、よろしくお願いします。わからないところがあれば何なりと」
「みなさま、よろしくお願いいたしますわ。マナー、ダンスはお任せを」
ギードは執事としての礼、カリーヌは侍女としての礼をして挨拶をした。
「よろしくお願いします!」
俺たちはいっせいに返事をした。
ギードとカリーヌは卒院後もうちで働いてくれるんだ。
「それから、ダンジョンに行く時は二人が護衛に就く。まあ、俺も行くが、基本は四人で組んで戦うようにしろ」
「はい!」
ひときわ声を大きく上げて返事をしたのはタビー。タビーは本気でダンジョンに挑戦したいんだな。
みんなの生暖かい視線がタビーに集中した。
「出発は七月一日。終業式の後、うちの馬車で屋敷に来てもらう。それまでに荷物はまとめて俺の屋敷に送ってくればいい」
みんなが頷いた。
「ところでアリファーン殿下の肩にいる小鳥は……」
カリーヌが突っ込んだ!
「従魔です」
アリファーン殿下がにっこり王族スマイルで答えた。
「そ、そうですの」
なぜか羽根をばたばたしている肩の小鳥。もちろん話してはいない。
そっとギードは視線を逸らした。なにかを感じたらしい。
二人には魔法契約書を買ってもらう事態になって欲しくないなあ。
「伯爵の紋が入っている馬車に何かする奴がいるとは思えんが魔物は襲ってくるからな。油断しないように頼むぞ」
全員がはいと返事をした。揃ったいい返事だった。
「取れる単位はできるだけ取ってしまうように。九月からはもっと研究に時間を使いたいからな」
副音声で、もっと金を稼ぎたいと聞こえた。
(主、勉強? 僕、鳥さんと遊びたい)
(え? フェニックスと?)
(うん。行ってくる!)
ラヴァがフェニックスに突撃していった。フェニックスは驚いて肩から落ちた。
え、落ちた?
床に落ちる寸前でアリファーンが両手で受け止めそっと床に降ろした。
そこにラヴァが突撃して、フェニックスは研究室中を逃げ惑った。
アリファーンはすでに勉強に集中していた。
俺も頑張ろう。うん。
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