第183話 対価は払ってもらうぞ
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「師匠、もう出さない方がいいかも」
「そうだな」
師匠がインベントリに仕舞おうとすると、その手首に止まった。
『そないな事いわんと! イケずやな!』
「僕はイケずでも、けったいな鳥が自動召喚されるよりはましだと思う」
そう言うとフェニックスは涙目になった。
『けったい……我は、この土地の守り神やねん。そない冷たくせんでええやろ』
やっぱり守り神なの? 伝説の神鳥なの?
「呼んでないのに出てくるってどういうこと?」
『その鳥の像と我が繋がった瞬間な、我の方から顕現できるようにしたんや』
「なんで繋がったの!?」
『それは我もわからんわ。強いて言えば我と契約するべき人の子がおったからやろか?』
あー、アリファーン? アリファーンを見る目はきらきらしてたよね。俺たち見る時は半目だったけど。
「アリファーンとそんなに契約したいの? アリフさんとやらとはどうして契約したの?」
『アリフは優しかったんや。生まれ変わったばかりの我を助けてくれてな。面倒見てくれたんよ。アリフはなんでか、おなごにモテモテやったけどな。国作るって言って、東に旅立っていったんや。まあ、東も我の縄張りで、心配はせんでよかったさかいな』
「アリフさんについていかなかったの?」
『いろいろ制約があんねん。言えへんこともたーんとある。一番の理由は我は霊峰から離れられへんのや』
「今ここに出てきてもいいの?」
『それが不思議なんや。その像を介してなら我は自由に移動できそうなんや』
「やっぱり封印をした方がいいかも」
こんな危険物作っちゃうなんて、俺の馬鹿!
「そうだな。永久に俺のインベントリで眠っててもらおうか?」
師匠も頷いた!
『あんさんら、ほんとイケずやな。せめて交渉とかないんか?』
師匠の目がギラリと光った!
「いいだろう。交渉に応じよう。もちろん、対価は払ってもらうぞ?」
『ありゃ? 我、早まったかいな?』
それから師匠とフェニックスの交渉が始まった。
『あんさん、手ごわいなあ』
「いやあ、フェニックス様もだ」
『敬ってないように聞こえるで。これでひとまずは収めてくれへんか』
「わかった。その代わり、手を回してきちんと契約できるようにするから、強制召還は絶対にやめてくれ」
『……ええ』
「絶対にだ! そこは譲れないぞ?」
『仕方あらへんな』
ということで、フェニックスとの取引条件が決まった。
1.召喚は週一度。
2.フェニックス側から勝手に出てこない。
3.対価はフェニックスの羽(換毛によるもの)
4.今年の夏にアリファーンと契約。
「よし。魔法契約書も完璧だ」
『守り神に魔法契約書つこうた奴あんさんが初めてやで』
「契約と対価はきっちりしないといけないからな」
「じゃあ、とりあえず帰ってね」
『……ええ』
「送還、フェニックス」
『ちょ……』
「行ったな」
そそくさと師匠はインベントリに木箱を仕舞った。
「疲れた……魔力半端なく持っていかれた」
「そんなにか?」
「フェンリルに戦ってもらった時より持っていかれた気がする」
「存在の格の違いか?」
「そこはわからないけど……ルーンがちょっとかわいそう」
「ん?」
「相棒がいないから」
「ああ……一番精霊とかこだわるのにな」
「そのうち現れるのかな? エルフって風と水の精霊の加護を受けてるんでしょ? どちらかと契約できそうだけどなあ」
「そのうち現れるだろ。俺も疲れた。あの鳥、がめついな」
「がめついって……王国の守り神に……僕も思ったけど。そしてうるさい」
「よくしゃべるしな」
「訛りのせいかな? すっごく早口だし」
「俺の実家はあの言葉を使っている地域に近いから、少しあるかもな。イントネーションとか、そんな感じだが」
「そう? 全然わからないけどな」
「そうか?」
「うん。じゃあ、師匠、おやすみなさい」
「おやすみ」
俺が部屋に戻ると待ち構えていたギードが浄化の魔法を使ってくれた。
すぐに寝間着に着替えて、ベッドに入る。
(主、お疲れなの?)
(あの鳥に疲れた)
(さっきは神気が凄くて僕、声が出せなかった)
(神気か。やっぱり神様なんだね)
(きっと僕が生まれたところにいたのかも)
(霊峰って言ってたものね)
(今夜はちょっと手加減してね)
(てかげん)
(そう、おやすみ、ラヴァ)
(おやすみなさい、主)
そして一週間が過ぎて、フェニックスを呼んだ。
『アアリファーン!』
「アリファーンです」
『どっちでもええ。会いたかったで』
「名前を憶えてくれない人とは契約しませんよ?」
『アリファーン!』
「よくできました」
呼んだら速攻でアリファーンの肩に止まった。アリファーンを好きすぎる。
とりあえずフェニックスは放っといて研究だ!
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