第176話 研究室の研究テーマ
評価、ブクマありがとうございます!
リアクションも嬉しいです!
一体なぜ土下座文化はこの世界に根付いているのか? 不思議でならない。
王子様なのにためらいなく土下座しなくてもいいのになあ。
「落ち着いてアリファーン殿下。土下座はしなくていいと思うよ?」
「そうだ。別に教えないと言っているわけじゃないぞ?」
俺と師匠が慌てる。
影の人とか見てたらまずいんじゃない? あ、いたら、カルヴァとかラヴァが言ってくるからいないか。
ルーンとタビーはぽかんとしてみていた。
「あ、つい」
ついなんだ!
アリファーン殿下が椅子に座り直した。
「オーア王国は戦争も久しくなくて、平和だけど、王家も裏では結構ドロドロしていて、毒盛られたりとか結構あるんだ」
え、これ、俺たち聞いていい話?
救いを求めるように師匠を三人で見るが首を横に振られた。師匠も諦めたんだね。
「薬を作るのは宮廷薬師だけど、毒も作れるし、紐付きの薬師も結構いて。政争の敵方の薬師を治療に呼んだりとかしたら、まずいわけなんだ。まあ、私も何度か危ない目に合っているわけだけど」
ひい!
「解毒薬も、ポーションも程度が低いものしか回ってこないことがあって、いろいろ学んだんだ」
あ、アリファーン殿下の目にハイライトがない。王族怖い!
「自分で! 作ればいいんじゃないかって!」
ぐっと手を握り締めたアリファーン殿下の気迫に一同一歩後退った。
「あ~わかった。だが、調薬も才能がいる。ルオのようにできるとは限らない」
「それでもいいんです! お願いします!」
「まあ、錬金術の基本はポーション作りだ。まずみんな覚えるように」
「はい!」
俺たち四人全員声を揃えて返事をした。
「まずは薬草を採取、乾燥させて粉にする。それからルオがしたように完全に溶けたら火を落とし……あ……火を落とす前にポーション瓶に入れていたな」
「火を落とすと劣化が始まるんでしょ? なら火を落とすのはポーション瓶に移してからの方がいいかなって」
「待て、俺がもう一度やる。とりあえずみんな見ていろ」
それから師匠が粉にするところからポーションを作った。
鑑定しながらだと思う。
そして、俺のしたように火を消さずにポーション瓶に移して封がされて、結果は。
「最上級だ」
師匠の手が震えた。
「……いいか、みんな。とりあえず最後の工程は通常のポーション製作の手順でやる。粉が溶けきったらこの火を消す器具を火に被せて消し、素早くポーション瓶に移す。やってみろ。重要なのは粉にする手際と、クリエイトウォーターだ」
「クリエイトウォーターが重要なんですか?」
手を挙げてアリファーン殿下が聞く。
「ポーションの効果は薬草の成分がいかに魔力水に溶けだしているかで決まる。質のいい魔力水が必要なんだ」
「わかりました」
みんなが頷き、ポーションを作る準備をする。
師匠は俺の顔をじっと見た。
「ルオは火を消さないポーションを作り続けろ。俺も作る。作った日付と等級と本数を記録する。いいか、ルオ、これは重要な発見かもしれない」
「検証をするっていうこと?」
「そうだ。同じ最上級が作り続けられるか。俺とルオは魔力や属性がほぼ同じだ。俺の方が熟練度は高いがルオの方が今は作る量が多い。そうだ。チャロにもやらせよう」
「個人差が出るから?」
「ああ。チャロも大分品質を安定して作れるようになったからな」
「研究室っぽいね!」
「俺はちゃんと研究者だぞ。定期的に論文も提出してるんだ」
「ごめんなさい」
「まあ、ここのところ、なかなか研究らしきことはできてなかったが。一つこの研究室の成果が出せるようになるかもしれない。論文は四人で書け」
にやっと師匠が笑う。なんだか黒いよ。
「まあ、その論文はちゃんとお金に変わるようにしてやるから、安心しろ」
三人のゴリゴリという音が響くと、俺と師匠も乳鉢を用意して、薬草を粉にする作業を始めた。
俺と師匠の作ったポーションは最上級の記録を伸ばした。今のところ、最上級しかできない。
「だが、俺とルオはなあ」
師匠がちらりとラヴァを見た。
精霊と契約してるからかもって思ってるのかも。ん? そうするとタビーも似たようなことになるかも。
「タビーもだよ。だから、チャロと殿下とルーンの出来次第かも?」
「あ、そうだったな」
その日のポーションの出来は、タビーは上級、アリファーン殿下がノーマル、ルーンが低級だった。
「あれ? ルーンはエルフだからよさそうな気がしたけど」
「わ、私、才能、ないんですかね……」
「いや、普通だろう。みんな上出来だ」
師匠が手をパンと打ってみんなの注目を集めた。
「これからこの研究室の研究テーマを発表する。ポーションの製作手順の改良だ。検証と論文を卒業までに完了すること。今作ってもらっているポーションのレシピは一番基礎になるレシピで、これに材料や手順を加えて、薬師や錬金術師の独自レシピになる。いいか、テーマは基礎のレシピの改良だ。これは公開する。まあ、タダでじゃないけどな」
頼もしい! 師匠! さすが守銭奴!
師匠がぎろりと俺を睨んだ。え、心読んでる?
(主、声出てた)
ああああ! やっちゃった!
「まあ、いい。作ったポーションはギルドに売るからちゃんとお金になるぞ」
「え、薬草や器具とかの使用料は」
タビーが心配そうに言った。
「もちろん経費は差っ引く」
みんなががっくりとした顔になる。
「一番高い物はポーション瓶だから、作るスキルが生えれば、タダになるがな」
みんなの目が見開いた。
あれ? みんなも守銭奴なの? 俺の周り守銭奴しかいないの?
みんなのポーションが売れても助手代俺持ちなの?
答えて! 師匠えもん!
次の投稿は明日になります。
樺ユキ先生のコミカライズコミックス第二巻が好評発売中です。
書籍第二巻が7月3日発売します!
加筆いっぱいしましたのでぜひご覧いただきたいです!
師匠も活躍!!
もちろん第一巻もドラゴンノベルスより好評発売中です。




