第171話 ラヴァの色
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翌日すっかり晴れた!
でも道は除雪が間に合わないから今日も貴族学院は休み。
「よーし! 雪を溶かして工房への道を……」
「ルオ様、屋敷の周りは除雪しておきました」
「ギード、おはよう。もう除雪しちゃったの?」
「はい。あとで外を見られるといいですよ」
「そうかー」
なんかちょっと残念。
「ではお着替えを手伝いますね」
「はーい」
(あるじ~ゆき~)
ラヴァはまだうとうとしているらしく、寝言のようだ。精霊も寝言いうんだな。
ギードに着替えを手伝ってもらって終えると、そっとラヴァを抱きかかえて首に巻く。
ほんのり温かい
俺はギードに先導されて食堂に向かった。
「おはようございます! 師匠!」
「おはよう。元気だな」
「うん。工房にいけると思うとついわくわくする」
「除雪はしたからな?」
「念を押さなくても大丈夫だよ!」
「座学の予習復習をしてから行くんだぞ?」
「はい!」
座学を終えて、外に出る。ぬかるんだ地面がほとんどだけど、石畳はすっかり乾いてる。
雪は庭の端にどかされていて溶かした後がある。
「ルオ様、雪はあのままで」
後ろからスピネルに言われた。
どうしたの? みんな。
しないでいいなら雪は溶かさないよ?
スピネルが頷いて去っていくとラヴァがピクリと動く。
(主、起きてた?)
(起きてたよ~)
(うう、遅れちゃった)
(大丈夫大丈夫)
(主、ありがとう)
ラヴァが頬を摺り寄せてくる。ふふ、あったか~い!
俺は工房への道を軽い足取りで進んだ。
「ルオ様、こちら使わせていただいてます」
細工室に行くとハンスがいた。相変わらずガラスの精霊が周囲を飛び回っている。
「ハンス、魔力増えた?」
「魔力ですか? 増えるのですか?」
「うん。魔力枯渇を繰り返すと増える」
「魔力枯渇? したことはない気がしますが?」
ガラスの精霊がさっとハンスの後ろに隠れた。なるほど。
毎晩搾り取っているということだね。
「あ、気にしなくていいよ。なんとなくだから」
俺はハンスに手を軽く振ると、炉のある部屋に行く。
作業用の服とゴーグルを身に着けた。
(ラヴァ、僕用のガラスペンが作りたいんだ)
(まかせて!)
ラヴァが炉の炎を二千度くらいにあげた。とろりとガラスの材料が溶けていく。随時鑑定して程よいところでガラス棒と管ガラスにしていく。
その後は本来、徐冷庫に入れないといけなかったのだけど、俺は新しいスキルを覚えたんだ。
「徐冷」
これで、割れることなく一瞬でガラス棒と管ガラスが出来上がる。
便利。
そしてもう一つ。
「抽出、加工、ヒヒイロカネ」
手に現れたヒヒイロカネの箔。
バーにしないからこれくらいでいい。
それらを持って細工室の作業机に向かう。作業机の椅子に座って材料を机に並べた。
(ラヴァ、ラヴァの頑張りが必要だ。炎、出してくれる?)
(任せて!)
管ガラスの表面にヒヒイロカネを蒸着させる。あの揺らめく赤を想像する。それにラヴァの姿。ガラスに模様を施していく。
「加工」
「錬成」
「ラヴァの赤、ガラスペン」
手の中のガラス管がぐにゃりとラヴァの炎で溶ける。その溶けたガラスが加工で色がラヴァの色に変わる。それに透明なガラスを被せる。錬成すると中心の管ガラスの溝はラヴァの姿のような形になった。
仕上げだ。
ペン先をつけてそっとガラスを切る。ペン先の調整をした。
「徐冷」
熱かったペンは冷たく硬くなってライトの光にかざすとピンクにも見えた。
「できた」
(僕の色? 僕?)
「うん。これは僕の使うガラスペンで、ラヴァの色とラヴァの姿を写し取ったの」
ラヴァがじいっとガラスペンを見る。
(僕だ!)
嬉しそうに跳ねまわるラヴァにハンスが驚いていた。そして俺の手元を見てますます驚いていた。
ハンスが驚くなら師匠相談案件だよね。
「わかった。これは王家に献上が終わってから使うように」
眉間をぐりぐり指で伸ばしながら師匠が言う。
そう言えばガラスペン関係は献上してからだった。
ヒヒイロカネで色付けが楽しいからついやっちゃったけど。
またダンジョンに採掘にいかないともう鉱石ないんだよね。
「ルオ、ダンジョンに行こうとか、思ってないか?」
「ええ? お。お、思ってる」
「北側の森のダンジョンの調査が春になったら再開されるようなんだ。そこで溢れの兆候がなければダンジョンが解放されるぞ」
「行っていいの?」
「タビーやルーンと一緒に行きなさい」
「はい!」
「それまでは我慢なんだぞ? いいか? 我慢だ」
「はい」
師匠は心配性だなあ。
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