第110話 入学式
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そして入学式の日がやってきた。
通知が来てから入学式の日まで、準備に追われた。
制服があるので、それの試着とか(可変術式が付与されてるとかで、どんな体型でも着れるそう)靴とか教材、実技で使う運動着、筆記具等々。
馬車に俺とスピネルが乗り込む。家族も出席できるので、あとから合流する。
「師匠が朝からいないんだけど……」
「ご用事で出かけましたよ」
「そっか。入学式出てもらいたかったのにな」
「あとから合流するそうですよ」
「ほんとに? よかった!」
せっかくの入学式だから、見てもらいたかったんだ。
今日は実体化したラヴァも一緒。入口で従魔登録証を見せて一緒に通えるように許可を取る。申請書は入学手続きの時に出してあって、一応の許可は出ている。これが最終手続きだ。
「ではお帰りの時間に迎えに参ります」
スピネルは馬車とともに帰っていった。
馬車寄せは同じ入学式に出る子女でいっぱいだ。俺は急ぎ足で、門でラヴァの従魔登録手続きをした。
(これで一緒?)
「そうだよ。一緒に通えるね」
ラヴァはいつもより小さめのサイズで肩に乗っている。
でも、ちらちら見られてるんだよね。貴族の子が従魔持つってあんまりないのかな?
門を少し入ったところに掲示板があって、入学式次第と集合場所や時間が書いてある。
まずは教室に行けってことか。
場所はまっすぐ行って右の校舎、第一講義棟二階。
綺麗に磨き上げられている廊下を歩く。教室の入口にクラスの表札がかかっている。
「1-B、ここだ」
教室のドアを開けて入室する。一瞬、視線が集まったけれどすぐそらされた。
席は適当なのかな? 教壇と黒板があるところは一緒か。
教壇に向かって机と椅子が四列に並べられていて、それが四列。
全部で十六席。
こんなものなのかな?
「ルオ、久しぶり」
タビーの声だ! え、タビーもB? よかった!
「タビ―! タビーもB?」
「なんか、魔法と武術が良くてさ。筆記も結構上位だったんだよ。兄さんに扱かれたのが良かったのかな? でも上の爵位の人ばっかりのクラスだろ? 俺くらいしか男爵家、いないかもしれないから緊張する」
「うちだって、ずっと男爵だったから子爵って慣れないよ」
タビーの座っている席の隣に座る。
「これって席適当?」
「特に指示がないからな。こういうのは後ろの隅っこにいれば大概何とかなるんだよ」
「なんとかなるの?」
「なるなる」
大体の席が埋まって、前の入口から教師らしき人が入ってきた。
「揃っているか? 講堂に移動する。ついてくるように」
みんなが席を立って教師に続く。
講堂は正門から入ってまっすぐ進み、左手になる。右の講義棟とは向かい合わせになる。
他の教室からも生徒が出てきて講堂に向かう。
一クラス大体二十人前後みたいだ。Aクラスは人数が少なそうだけど。
講堂には椅子が並べられ、正面の一段高いステージに向かって四列に並べられていて左からA・B・C・Dのようだ。その椅子の列を取り囲むように椅子がまた並べられ、もう人が座っている。どうやら家族席のようだった。
ステージには椅子が並べられているから、そこは教師の席かもしれない。
生徒が席に着くと教師はステージの袖の方に向かって壇上に上がった。
全部のクラスが揃うと壇上に女性が現れた。
「王国歴二百五十七年入学式を始めます」
全体的に前世の入学式と変わらない。司会がいて、お偉いさんのごあいさつ。
新入生代表のあいさつで、第二王子殿下のお言葉をもらった。
そして、教師の紹介……教師? あれ? 壇上に座ってる煌びやかなイケメン、すっごく見覚えがあるんだけど。
「今年から三年限定で特別講師として、魔法の授業をご担当いただくコランダム・ヴァンデラー卿です」
紹介されて椅子から立ち上がった師匠は胸に手を当てて一礼して、席に座った。
目があって、ウィンクしたからわざと黙ってたんだ!
ウィンクしたら女子生徒からキャーッて悲鳴あがったけど!
驚いたよ!
式は滞りなく終わり、このまま今日は解散。
俺とタビーは家族と合流だ。
すでにうちの家族と挨拶合戦が始まってたみたいだ。
タビーのご両親は優しげな人たちだった。
トレメイン男爵はひょろっとした細い人で、こげ茶の髪にこげ茶の目で、タビーの髪と目の色にそっくりだった。目の下に隈があったからブラックな業務についているかと心配だ。
男爵夫人はタビーと顔立ちが似ていて髪の色が少し明るい色で、そこだけが違う。
「タビーをよろしくお願いします」
声も涼やかで優しい美人だった。
「こちらこそ、ルオをよろしくお願いします」
母が頭を下げた。
「フルオライト・ルヴェールです。よろしくお願いします」
タビーはもううちの家族に紹介しているから、改めて紹介の挨拶はしなかった。
次の投稿は18時になります。
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