第109話 秘密の共有
評価、ブクマありがとうございます!
月間、週間、日間異世界転移転生ファンタジーランキングにランクインしました!
俺と師匠は顔を見合わせた。一応、お願いをするつもりだったので、師匠がまず対応することにしていた。
「あーまずは自己紹介を、カルヴァ」
(はーい! 酒の精霊よ。よろしくね!)
「ラヴァ」
(ラヴァだよ! 火の精霊! よろしくね!)
「よろしく。タビーと呼んでくれ」
(アームだ。よろしく)
「ルヴェール領は精霊が多くて、祝福や加護をもらっている人間が多いんだ。でも精霊といえばエルフだ。エルフでもないのに、精霊と契約しているなんて、大騒ぎになること請け合いだ。だから、秘密にしたい」
「なるほど、じゃあ、俺も口を噤んどくよ。俺もいらない騒ぎに巻き込まれたくないし」
「いいのか?」
「うん。いざとなったら使い魔ですって言うよ」
「ありがとう」
「あ、もちろん、二人のことと、あの別の土の精霊と契約者についても黙っとく。こいつ、ほんとあの契約者に執着してたみてーでさ」
(い、今は主一筋だぞ)
「ほんとかなあ?」
(ほんと!)
「わかった。そう思っとく」
俺と師匠はぽかんとしてそのやり取りを見てた。
え、ラントに付いてきてたの? アグリじゃダメだったの?
えええ?
「ええと、夜になったら搾り取られるから気をつけてね」
俺はつい心配して言ってしまった。
「搾り取られる?」
きょとんとした顔で繰り返すタビーに師匠が言った。
「マジで搾り取られるから!」
(いやーん! 今はちゃんと加減してるわよ!)
あれ? カルヴァが言うとなんか違った意味に聞こえそう。
(僕も加減してるよ!)
思わずラヴァの頭を撫でた。
「ええと、何を?」
「魔力だ。精霊は魔力を糧にするそうだ。まあ、甘いものとかも好きみたいだがな」
(私はお酒もいけるわよ!)
(火が好き)
(土の中)
「まあ、よく食べてよく寝ることだな。腹が余計減るようになるぞ」
師匠が言うとはっとした。
「そういえば食べる量増えてる!」
「ルオはもっと食べてもっと寝ろ」
頭を掴まれてぐらぐらされた。どうせ年の割には小さいですよ!
「ぷはっ……伯爵、全然違う人みたいです」
「まあ、地はこっちだ。あっちは貴族用の顔だな」
「父様といると私って言うよね」
「弟子の親だし、貴族の当主の前なんだから、俺なんて言えるわけないだろうが!」
「そうだったんだ」
「なんか、親戚のお兄ちゃんと子供って感じする」
「師匠と弟子だ」
「うん。師匠と弟子」
「わかりました」
「あー、それでだな」
師匠が指で頬を掻く。言いにくそうだ。
「将来騎士になるつもりならルヴェール領に仕えるつもりはないか?」
「はい?」
「え?」
タビーをうちで雇うの?
「卒業後の就職先の一つに考えて欲しい。ルオはこんなだから心配でね。気安い護衛がいたらと思うんだ」
タビーが俺を見る。そして頷く。え、どこに頷いたの!?
「そうですね。両親とも相談しないといけないので、返事には少し時間をもらっても?」
「もちろんだ。ではもうしばらく寝ていなさい。医者を呼んでくる」
「あ、はい。ありがとうございます」
師匠が部屋を出て行った。
「は~なんだか、いろいろ起きすぎて、いっぱいいっぱいだ」
「タビーごめんね」
「なんでルオが謝るんだ? 契約者になったのは俺の意志だし、ルオと友達になったのもそうだし。そうだ! 秘密を共有なんて親友っぽいな!」
「親友!」
「そう思ってもいいか?」
「もちろんだよ!」
そんな俺たちの間にラヴァとアームが割り込んだ。
(しんゆう)
(しんゆう)
俺の目の前にはラヴァの顔のドアップ。そしてタビーの顔の前には多分アームの顔のドアップがあるんだろう。
「くくっ……」
タビーが吹きだすと、俺も笑いをこらえられずに吹きだす。
「あははっ」
俺はラヴァを抱きしめた。
「ラヴァも親友だよ?」
「ああ、アームも親友だな」
タビーがアームを抱きしめた。
それからお医者さんが来て、どこも異常がないということで、タビーを馬車で送っていくことになった。
タビーの迎えの馬車は返しちゃったからね。どうも借り物の馬車だったらしい。
御者はウォルトで簡単に挨拶だけして戻る予定になっている。
「じゃあ、また入学式で」
「うん。入学式で!」
「いい子でよかったな」
「ほんとだよ」
師匠と父の呟きが聞こえた。
入学試験の結果が来て俺はBクラスだった。
「それ、爵位順だからな。そこに入学試験の成績を加味して一クラスあげるんだ。あとは人数調整する。Aは爵位以外で入れないからBってことは何かの成績が良かったんだな」
Aが王族~伯爵の上位、Bが伯爵中位~子爵上位、Cが子爵中位~男爵、Dが準男爵~騎士爵だそう。
「ああ、筆記試験と魔法試験がトップだな。これが原因かな? ……まあ、仕方ない。剣が中くらいなのが残念だな」
え、試験問題優しかったよ!? 魔法試験は、ちょっと、どうかな? わかるようなわからないような?
「爵位のままならCクラスだ。周りは格上だからがんばれ」
もしかして、タビーとは同じクラスになれない? ええ? どうなの? タビ―!
次の投稿は明日になります。
本日発売のgood!アフタヌーンに樺ユキ先生のコミカライズ第10話が掲載!
コミックス一巻、二巻も絶賛発売中です。
よろしくお願いします。




