表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
111/115

第107話 友達(二)

 応接室でお茶会だ。

 エリックと、師匠の料理人が腕を振るった数々のお菓子がテーブルに目いっぱい載っている。

 スピネルがお茶をみんなに淹れ、ホストの師匠がみんなに勧めてお茶会が始まった。

 出席者は師匠、父母、俺。主賓はタビー。


「こほん、あー、ルオとは試験会場で知り合ったとか。今後ともよろしく頼む。それでだが、貴族名鑑によるとテイバート君は次男だそうだね」

「はい。兄は三つ上で、卒業し、入れ違いで学院に入学しました」

「なるほど」

「そうなのね」

 にこにこした大人三人。なんだこれ。面接会場か?

 タビーの緊張がピークなんだけど!

「ス、スピネル! お菓子取ってあげて!」

「かしこまりました。ルオ様」

 スピネルが取り皿にお菓子を取り分けてタビーの前に置く。

「あ、ありがとうございます」

 タビーがお礼を言う。

 スピネルが笑顔だ。人としてはいいが、貴族のマナー的にはバツなのかな。

 俺もつい言っちゃって、訂正させられるからなあ。言い方があるんだよな。

「兄は王宮の文官試験に通って秋から見習いの文官です」

「まあ、優秀ね」

「はい。自慢の兄です。お……私はそこまで優秀ではないので、騎士を目指そうかなと思っています」

「盾が得意とか」

「はい。職業に関係するスキルの影響で得意です。防御寄りなので、強さという面ではまだまだです」

「いや、要人警護なら防御型のほうが向いている。チームで戦う時も、前衛で敵を引き付けてくれる味方がいると後衛も戦いやすい。なかなかいいスキルだと思うが」

 父がそういうと、タビーがちょっと意外なことを言われたみたいな顔になって照れた表情になる。


「ありがとうございます。そういうふうに言われたのは初めてです」

「そうなのか? ロックウォールが使えるっていうのは盾がなくても防御に不安はないってことだからものすごく危険な場面では有効な魔法を持っていることになる」

 タビーがちらっと俺の方を見た。

 俺、話しすぎたかなあ?

「ありがとうございます」

 そこでタビーは紅茶を飲んだ。

「もう、タビーは俺の友達なの! 俺にも話させてよ! 部屋に招待したいけど、いいかな!?」

「……ああ、わかった。お茶とお菓子はあとで届けさせよう」

 師匠、笑いたいの我慢してる顔だよ!?


 スピネルが俺たちを俺の部屋に案内した。

「どうぞ。ソファーに座って」

「ありがとう。いやー緊張した! 反則だよ! 伯爵家だって言ってなかったじゃないか!」

「あーそうだっけ。まあ、師匠はさっきは貴族的対応だったけど、普段はもっと砕けてるから」

「そうなのか? いや、ヴァンデラー卿は賢者として有名な方じゃないか! 父が腰抜かしてたよ?」

「みたいだね! 師匠なんでも出来るもの」

「ルオも何でもできるのか?」

「ううん。ポーション作りとガラス作るくらいかな?」

「ガラス? あのバカ高い奴か」

「バカ高いの?」

「うちでは一生買えない奴」


「……」

 そうなんだ。それじゃあ、ほんとに庶民価格じゃないよ。まず、廉価で卸せるようにならないと。

 一家に一台鏡、家にはガラス窓。

 そうなってからじゃないと興味は持ってくれても、買える人がいないって話になる。

「きっと、お小遣い感覚で買えるようにする!」

「急にどうした?」

「ガラスだよ」

「……ガラス作りが好きなのか?」

「うん! 大好き!」

「お、おう」

 ノックが聞こえ、スピネルが入ってきた。ワゴンに紅茶とお菓子が載っている。


 紅茶のカップを俺たちの前に置き、スピネルが出て行く。ご自由にって事だった。

「このお菓子、めちゃくちゃ美味しい」

「うちの料理人は凄いからね」

「うちは女中がすべてやっているかな?」

「前はうちもそうだったよ」

「ええ?」

「ここは師匠のうちだから、伯爵相当な感じだよ? うちの領地はもっと質素だから!」

「そ、そうなんだ? ええと、ちょっと気になっていたんだけど、その、肩にいる……」

「ラヴァ? この子は俺の相棒だよ」

「使い魔? いや、テイムしてる?」

「契約はしてるね」

「へえ。見たことのない魔物だね」

「……火トカゲ?」

 俺は首を傾げた。

「なんで自信なさそうなんだよ?」

 だって精霊だもの。


 それからいろいろ他愛ないことを話して、随分と時間が過ぎた。

「ルオ様、そろそろお帰りの時間です」

 スピネルがノックをしてそう言った。

「あ、それじゃあ、俺は帰るわ」

「うん。また入学式でね!」

「うん。また!」

 玄関へタビーを送っていこうと降りた。

 そこに、ラントたちの馬車が戻ってきた。今日着くんだったんだ。

「ラント、アグリお帰り」

「ルオ様。お土産がたくさん……お客様でしたか。失礼を」

 ラントとアグリが下がって使用人棟へ行こうとした時だった。

「え? あれ? え?」

 急にタビーがかくりと力を失ったように倒れた。

(僕にも契約者ができた!)

 聞いたことのない声が響いた。

「え?」

(主、土精霊が)

「すみません、ルオ様、私と契約したのと別の土精霊がその方と契約をしたと……」

 俺は顔を片手で覆った。

次の投稿は明日になります。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ